もとまちさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

出発(1967年製作の映画)

4.0

盗んだポルシェで走り出す!ちょっぴり背伸びしたいお年頃な童貞少年の、青春の疾走とほろ苦い成長。どうしてもポルシェに乗りたくて、そのためなら何でも出来て、ひたすらハイテンションに突っ走っちゃう青臭さが最>>続きを読む

ルチオ・フルチのザ・サイキック(1977年製作の映画)

3.8

オープニング。崖から飛び降りる母親の姿を透視してしまう少女。母親の顔面は尖った岩に何度も衝突して、ぐちゃぐちゃに砕けて血まみれになる。いきなりの入念な顔面破壊にフルチ節が効きまくっているが、本作のゴア>>続きを読む

ラビッド・ドッグス(1974年製作の映画)

3.7

お下劣強盗団が繰り広げる地獄のバイオレンスドライブ。人質に放尿を強要したり行きずりのおばさんを刺し殺しちゃったりと、ほとんどお下劣どころでは済まされない暴れっぷりである。そんな彼らのイカれた逃亡劇に理>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(1992年製作の映画)

3.9

悪徳警部補ハーヴェイ・カイテルが破滅外道をまっしぐら。息子たちを車で送ったらすぐさまコカインを吸引。事件の捜査そっちのけで野球賭博に金をつぎ込み、賭けたチームが負ければ拳銃でカーラジオをぶっ飛ばす。暇>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.2

人間の不寛容と無関心を、とにかく底意地の悪いユーモアで抉り出す超絶ドS映画。笑うに笑えないブラック過ぎるエピソードの数々、絶妙に気まずい会話の間、微妙にクズな登場人物たちなど、観客を苛立たせるための演>>続きを読む

ナインスゲート(1999年製作の映画)

3.8

チープで大仰な物語。まるで70年代のB級オカルトホラーのような内容だが、それでもこれほど面白く見れるのは、ひとえにポランスキーの演出力の賜物だろう。相変わらず上手に映画を撮る人である。音響やカメラワー>>続きを読む

-less [レス](2003年製作の映画)

2.0

ホラーというより不条理コメディをやりたかったんじゃないかと思うけど、演出のセンスがことごとく微妙なため出来の悪いコントにしか見えない。尺のほとんどがバカでクズなキャラたちのいがみ合い。合間に恐怖シーン>>続きを読む

春夏秋冬そして春(2003年製作の映画)

3.9

一人の男の人生を通して、キム・ギドクが自らの人生との対話を試みた作品だと考えるのは、いささか短略的過ぎるだろうか。「冬」パートの主人公を監督が演じているのは単に役者とのスケジュールが合わなかっただけら>>続きを読む

組織(1973年製作の映画)

4.2

好き。ジョン・フリンらしいざらついた世界観と乾いたバイオレンスは相変わらずだが、要所要所に和みポイントが配置されている作品でもある。「組織」に立ち向かうロバート・デュヴァルとジョー・ドン・ベイカーの半>>続きを読む

昼下りの女 挑発!!(1979年製作の映画)

3.8

なんじゃこりゃ。頭のネジがことごとくぶっ飛んだキャラたちによる暴力→セックス→暴力→セックスの怒涛のサイクルでどんどん話が転がっていく異常な脚本。こんなの桂千穂しか書けねぇ。
金玉が縮み上がるようなタ
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(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

3.9

大阪下町底辺地獄。
真夏のうだるような暑さの中で、その日暮らしの日々を送るどん底人間たち。売春婦の母と娘。知的障がいを持つ弟。恋人に売春させる男。揃いも揃って救いようのない人ばかりである。彼らには「こ
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天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)

4.0

随所に原色が配置された映像が本当にカッコいい。和室の窓から差し込む夕暮れの光が、徐々に赤や青のネオンサインへと変化していくシーンの照明も見事だし、蟹江敬三が夜の繁華街を彷徨うところのライティングも美し>>続きを読む

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー(1981年製作の映画)

4.2

究極のオス映画! タンジェリン・ドリームのシンセサウンドをバックに、冷たい夜の街が映し出されるOPからしてマイケル・マン節全開。初期作品の時点で既に作家性が完成されている。でも『ヒート』の頃のようなス>>続きを読む

弾丸ラナリスク(2020年製作の映画)

2.0

少年にピストルを握らせたい、という気持ちはよく分かる。
しかし終始チープな高校演劇みたいな薄ら寒いノリと演技が続くのはさすがに辛い。どのキャラクターもいかにもなステレオタイプだし、台詞回しも薄っぺらい
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セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ(2000年製作の映画)

3.7

ファミリー向けのお涙頂戴なクソったれハリウッド映画共に中指を立てる若者たちの青春&テロリズム。パンク全開のハイテンションで突き進む88分。主人公たちのイカれた映画狂人っぷりには、思わず私のボンクラなオ>>続きを読む

反撥(1964年製作の映画)

4.1

神経過敏地獄映画。
常に世界が蠢いていることの気持ち悪さ。
誰かがどこかで何かしている。何かがどこかで音を立てている。隣の人が。時計の針が。姉と愛人が。通り過ぎる車が。
そしてその事実が、彼女にとって
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魚と寝る女(2000年製作の映画)

4.0

女性に対して偉ぶり、一方的に搾取し、そのくせ女なくしては生きることのできない幼稚で愚かな男どもを徹底的に描く一方で、監督自身の「女に愛されたい、受け入れられたい」という身勝手な欲望も透いて見えるようで>>続きを読む

フランティック(1988年製作の映画)

4.3

言葉が通じないという不安、知らない場所にいるという不安、いるはずの人がいないという不安......。人間が普遍的に抱くであろう様々な「不安」が、計算しつくされた巧みな演出によって表現されている映画であ>>続きを読む

ズームアップ 暴行現場(1979年製作の映画)

3.7

夏。廃墟と化した建物を舞台に、様々な人間たちの狂気が交差する。誤って愛人を絞殺してしまった男、その現場を目撃してしまった絶賛浮気中の人妻とその間男、そして淡々と残忍な犯行を重ねる黒手袋の殺人鬼!(なぜ>>続きを読む

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

3.8

若者たちが海辺でわちゃわちゃ。
カメラがあっち行ったりこっち行ったり。
どこまでも奔放な演出に憧れる。

あとラストのチャリ二人乗り。これほどにエモいチャリ二人乗りは『キッズ・リターン』以来。いつかマ
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誰がため(2008年製作の映画)

3.8

温度の低い、陰鬱なトーンの画面。ロングコートを羽織り、古びたデンマークの街並みを歩くレジスタンスの男二人。メルヴィルを思わせる上質なノワールタッチの画作りがとにかく美しい。
しかしそんな雰囲気をぶち壊
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ローリング・サンダー(1977年製作の映画)

4.1

戦争によって心の死にきった男たちが繰り広げる乾いた暴力の応酬。

果たしてこれを復讐劇と呼んでいいのか。
主人公は殺された妻子の復讐のために暴力を行使したのではなく、あくまで暴力の口実として「復讐」と
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絞殺魔(1968年製作の映画)

3.9

名匠フライシャーの冴え渡る演出力。スプリットスクリーンやフラッシュバックを駆使したドキュメンタリックな映像は、今見ても斬新。犯人・デザルボを演じるトニー・カーティスの迫真の演技も素晴らしい。

ただ、
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ジョン・カーペンターの 要塞警察(1976年製作の映画)

4.4

程よい緊迫と、程よいユルさと。
そして突如訪れるドライな死。
カーペンターは天才としか思えない。

インタビュー見たらポテトじゃんけんの勝ち方をカーペンターが忘れてて吹いた。

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.3

普通に面白かったけど、阿部サダヲ無双すぎて萎える展開もちらほら。キャラクターもちょっとステレオタイプ的な描かれ方が多くて微妙だった。

あと鈴木卓爾の亡霊的な存在感。「喪中だぞ」が『オカルト』の「地獄
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湯殿山麓呪い村(1984年製作の映画)

2.8

昭和のレトロな雰囲気と精巧なミイラの造形くらいしか見所がない。

何の救いも存在しないラストシーンに唖然。

XX ダブルエックス 美しき獣(1995年製作の映画)

3.6

仙元誠三のカメラが映し出す90年代歌舞伎町の見事な猥雑っぷり。もはやサイバーパンク。

鬼談百景(2015年製作の映画)

2.9

第一話 追い越し
体をスライディングさせながら車にピッタリ着いてくる霊。
完全にギャグ。
爆笑した。

第二話 影男
霊っていうか暴漢?
お婆ちゃんが襲われるシーンになんとなくジャーロ味を感じた。
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勝手にしやがれ!! 逆転計画(1996年製作の映画)

3.6

「行き止まり」へ車でバックしようとするヤクザ、「売り物件」のビラが貼り付けられた煙草屋の店、そして自転車に括りつけられたウォークマン。終盤に登場する数々のカットが、漠然とした不穏な〈予兆〉を孕んでいて>>続きを読む

勝手にしやがれ!! 強奪計画(1995年製作の映画)

3.7

基本的にはゆる〜いコメディ。キャラクターたちのバカバカしい掛け合いにクスッと笑かされる。人情モノっぽい感じがするけど、語り口自体はドライなところがやっぱり黒沢清。
カメラワークも遊び心に満ち溢れていて
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.0

くたびれたオッサンたちに萌える映画。
俺もいつかはラスクを肴に友と酒の席を共にしたいものである。