りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 85ページ目

マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年製作の映画)

3.0

クローネンバーグは肉体から精神へと興味が移ったのか。「危険なメソッド」「コズモポリス」といった近作同様、精神を病んだ人々が集うハリウッドを皮肉ったゴシック調のブラックコメディ。

物語自体に大した魅力
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オーシャンズ8(2017年製作の映画)

3.5

「多様性」がトレンドのハリウッドで、女性が主人公かつ多国籍なスターキャストが集結した本作は、だからと言ってキャラクターや作品にジェンダー的・人種的な何かを背負わせることは全くなく、あくまでもゴージャス>>続きを読む

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)

4.4

夢を追いかけながら生きる人は輝いている。けれども、その輝きには年齢制限があり、どこかで諦めや妥協や踏ん切りをつけないと、その姿は惨めで滑稽に写ってしまう。太賀が演じる口だけ達者なミュージシャンの男は、>>続きを読む

現金に体を張れ(1956年製作の映画)

3.8

ケイパーもののクラシックであり、影響を受けた作品も多々ある傑作。一連の犯行の準備、計画、実行、そして破滅に至るまでを、まるで神の視点から実況するようなナレーションを挟みながら、綿密に描いていくからこそ>>続きを読む

ハロウィン(1978年製作の映画)

4.2

オープニングがいい。殺人を犯す側の主観視点で2階へと登り、マスクを付け視界が遮られ、殺しが行われる。この殺人犯の正体が判明した時の驚き。恋人ではなく、実の姉を殺すことを選択する幼き弟。それはイチャつい>>続きを読む

ニューヨーク1997(1981年製作の映画)

3.6

カート・ラッセルはいい役者だなと再確認。ルール説明を手早くこなし、後はその世界観にカート・ラッセルを放り込むだけ。眼帯をし、それほど強くないにもかかわらず、その気だるさが画になる役者。

ラストのテ
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

5.0

個人的には『エイリアン』級の大傑作だと思う。まるで意志があるかのような犬の不気味なインサート。そこからの見事なモンスター造形。それでいて疑心暗鬼を火種とした、人間の内なる恐怖も見事に描き出す。密室した>>続きを読む

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)

3.7

『マッドマックス』的な世界観の中に、首狩族のようなものがいる設定。徹底的にエンターテインメントに徹している所が良い。ドラムのビートが鳴り響くアクションシーンが最高。そう見ると「幽霊」たちのボスのメイク>>続きを読む

スパルタカス(1960年製作の映画)

4.5

ダルトントランボのシナリオは、旧来の歴史劇に顕著であったキリスト教的な善悪の対立ではなく、被征服者が国家への反逆を通して個の尊厳を取り戻す過程に主眼が置かれている。

一方、キューブリックの演出は、ダ
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

5.0

球、円、弧、回。至る所に散りばめられた丸のイメージが、HALの赤い灯に、デイヴィッドの瞳孔に、スターチャイルドの瞳に収斂していく。

そのイメージと対照的な黒々と角ばったモノリスとが一直線上に並ぶ構図
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アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.5

10年余の歳月をかけて描いてきたマーベルユニバースの集大成となる本作は、まさに最期に相応しい見事な出来栄えで、大袈裟ではなく3時間もの長尺を一瞬たりとも飽きさせない、観る者を万感の想いに誘い心を震わせ>>続きを読む

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年製作の映画)

3.6

宇宙を危機に晒すような強大な力を持ってしまう6つの石を巡り、それを集めようとするサノスと、阻止しようとするアベンジャーズ軍団との攻防を描く。

ほぼ無敵でいかつい表情をするサノスだが、石を集め力を得て
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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015年製作の映画)

3.7

アベンジャーズ全員がひとつの画面に映り込んだとこでスローモーションになる演出アガる!相変わらずハルク最強問題や人間に被害は出てないのか問題は残されているが、そんな細かいことは気にせず純粋に楽しく観られ>>続きを読む

アベンジャーズ(2012年製作の映画)

4.3

『マーベル・コミック』のヒーローたちが夢の競演を果たした、まさに「オールスター感謝祭」のような作品。ツッコミどころ満載の細部には積極的に目を瞑るとして、「祭り」としていかに「燃える」「アガる」展開を用>>続きを読む

暗戦 デッドエンド(1999年製作の映画)

4.5

物語が全く停滞せず二転三転していく面白さ。
犯人と刑事のホモソーシャル的な熱い友情。
犯人とある女性のバスの中でのロマンチシズム。
それでいて適度にコミカルなシーンもあり、作品が暑苦しくならない。
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マッスルモンク(2003年製作の映画)

3.3

これはB級映画の皮を被った怪作。
こんなに東洋思想をきちんと描いた作品に未だ出会っていない。
日本人には到底分らないような業(カルマ)。
前世が現世に影響し、現世が来世に影響する。
そこまで自分が責任
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エレクション 黒社会(2005年製作の映画)

4.2

陶器のレンゲを皿の上で粉々に砕いて、口の中に流し込み、バリバリと音を立てながら噛み砕く。
自らに反対する者を木の箱に押し込み、高い崖の上から蹴り落とす。
牧歌的に釣りを楽しんでいると思いきや、大きな岩
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スリ(2008年製作の映画)

4.4

とっても小洒落た映画。
だが、フランス映画のような敷居の高さや嫌味を感じさせない。
1人の女に翻弄され、弄ばれる男たちの滑稽さ。
それを、肩の抜けた軽妙なタッチで撮れるとは。
男たちの熱い友情というよ
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MAD探偵 7人の容疑者(2007年製作の映画)

3.8

吊り下げられた豚の死体を殴る。
自分の耳を切り取り、退職する所長に送る。
スーツケースに入って、殺された少女の気持ちを読み取る。
土に埋められた死体と同じ境遇に自らを置くことで、事件の真相を暴いていく
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奪命金(2011年製作の映画)

3.1

ギリシャ債務危機によって人生が狂わされた人々の悲喜こもごも。
金の世界で生き抜いていた人間たちはあっけなく命を落とす。
逆に運と決断力で成金になった人間たちもいる。
点在していた人間たちが、金によって
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ドラッグ・ウォー 毒戦(2012年製作の映画)

4.0

オープニング謎の事故
仲間だったと思ってたのに
警察と犯罪者
演じることでダマす
変装せず話し方や身振り
真面目なのにほつれ
狭間に置かれる
カメラ設置したライター攻防
麻薬吸えば契約
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ホワイト・バレット(2016年製作の映画)

3.5

前半から中盤にかけてテンポが悪く、いかにも伏線張りましたという描写だらけでヤキモキしていたが、群像劇から映画的カタルシスが爆発する一点に集中させていく様は見事。本作に関してはそれが行き過ぎた地点まで到>>続きを読む

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009年製作の映画)

4.4

ジョニートーのアクション場面の舞台設計に恍惚。もはや様式美を重視し過ぎて時に笑ってしまうのだが、それでも男たちは暗黙の了解に則り、そして決して無駄撃ちせずに一発一発の銃弾に意思を感じるからこそ、絵で魅>>続きを読む