ピポサルさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ピポサル

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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.3

『ノーカントリー』のシュガーを思い出すようなサイコっぷりの阿部サダヲは言うまでもなく最高で、観客も惹きつけるような語りかけにずっと映してくれ〜もっと見せてくれ〜と思った。少し高めの声色で、知性と優しさ>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.4

ジェシーをはじめ子どもたちの洞察力があまりにも高くて、フィクションとわかってはいるけど途中から言葉のひとつひとつが"ありがたいお言葉"のように感じてしまい、なんだか乗り気でなくなってしまった。ホアキン>>続きを読む

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.3

抑圧されてもなおティンヤにとって母親は母親であるというのはたしかに悲しいけど、それによって生まれたもう一人の自分が引き起こす混乱が思ったより地味で、なんだか物足りなさを感じてしまった。抑圧されて生み出>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.3

「一昔前ではノロマとして扱われるけど、今は適切な治療が行われるから」と果たして本当に安心できるだろうか。その社会通念が現代の日本にどこまで浸透しているかわからないし、わかったとしても本人含め全員が望む>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.3

家族とは何なのかってテーマ、カンヌ好きがち。あらすじも予告も何もチェックせず観たけど全然SFじゃなかった(いやSFか)。車がバインバイン揺れるのどうやって撮影してるんだろうと思ってたら映画が終わってた>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.7

そこに住む全員が家族のように接する故郷を後にする者と残る者。慣れ親しんだ土地を去る決意は並大抵ではないけど、悲哀というよりはユーモアを交えて全員を応援するようなつくりになっているのはベルファスト出身で>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.8

この手の映画はいくらでもできるのに決して高尚な見せ方にしていないのがいいよね。ちゃんとお話もあるし。サービス精神旺盛なオチも好き。洗礼とかいう学生の身分でないとできない無茶苦茶な自治も開始早々に笑って>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.6

気を衒ったものではないけど、ちゃんとストーリーがあった。ダラダラしてるのかなと勝手にイメージしていたのでそれだけでも好印象。スタンの行動原理は決してカネだけではなく、自分は父親とは違うことを証明したい>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.5

復讐こそがゴッサムシティを救う手段であると信じ暴力で悪党と対立するバットマンが、受け入れ難い事実や自分とは別の救済をしようとする周囲の人物に翻弄、触発されながらバットマンとしての本当の使命を見出してい>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.0

一見主人公タシャは抑圧から解放されているけど上司であるガーダー、引いてはトレマトン社の駒として手のひらの上で踊らされているかのようで憐れみを感じる。あーこれがノワールかと。ノワールと呼ばれているものっ>>続きを読む

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

4.9

完全に自分の性癖にブッ刺さっている。ユーリ少年はもちろんのこと、団地そのものが主役の映画なんて観たことない。

孤独によって育まれたユーリの想像力。自分が生まれ育った団地は自分が守らなければいけないと
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.0

開始10分くらいでお話に興味が持てず寝てしまった。こういうのを傑作だと言えるようになりたい(純粋な気持ち)。

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.1

ふたりのコントラストがとても良くて、言葉にしないと居ても立っても居られない葉はちょっと思い出すきっかけが照生の姿を直接見たことで、一方、照生は葉ではなくこれまで接したことのある人物(泉美や尾崎世界観)>>続きを読む

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

4.2

結末を見るに、この映画の根源は物語を描くというよりイランの現状をありのまま発信すること、そして死刑制度への問題提起に目を向けてもらい議論をしてもらうことなんだなと思った。真実がわかったうえで得られた生>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

自分の本当の気持ちと向き合うことは大事だね。だから劇中でも我慢せずちゃんとトイレに行けばよかった。ラスト30分くらい、結局集中して観れなかったので。
最初から最後まで情報量がきちんとコントロールされて
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

5.0

ウエストサイドストーリーは吹奏楽の演奏をきっかけにバーンスタインの音楽から入って普段から聴いていて、3年前にミュージカルも観ていたのでそれはもう期待して観に行ったけどスピルバーグさんがきちんと素晴らし>>続きを読む

プリシラ(1994年製作の映画)

3.4

元気が出るっちゃ出るけど女性やアジア人への差別がだいぶしんどい。それもありドラァグクイーンのポジティブさも表面的なところしか切り取っていないような気がしてしまってちょっと残念。このドラァグクイーン見た>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.4

ギブアンドテイクのあり方が変わることでルビーと家族が人生の次のフェーズに進むお話。それまでルビーは漁の手伝いだけではなく通訳として家族と社会をつなげる貢献をしてきた。監視員同乗の日にいなかったことで家>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.9

上林のバックボーン、そして幸太のルーツを知ったうえでの憐れみが切ない。残飯を食べて飢えを凌ぐしかない石ころのような存在だと常に自覚していたため、上林にとって幸太を殺めたのはある種救済のような感覚だった>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

3.9

不貞腐れないこと、ひたむきであることの美しさ。赤髪の彼を含めて全員が負けを知っているけどそれでも腐らずにボクシングに向き合うことと相手へのリスペクトを忘れていない。
そこにいて当たり前だと思ってたけど
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さがす(2022年製作の映画)

4.5

『岬の兄妹』と同じように障害を持った本人と家族の生々しい感情を扱っているけど、死生観にも触れていて前作以上に一歩踏み込んでいる。目を背けたくなるシーン多数。
佐藤二郎は普段コミカルなキャラクターを求め
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ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

3.2

スヌープドッグの飄々とした立ち振る舞いとジョナヒルの十八番である信用ならないクソったれっぷりが最高。我々会社員の対極にいるようなムーンドッグをみんな支持するんだろうけど、自分は倫理観強めというか思考が>>続きを読む

ドンテンタウン(2019年製作の映画)

3.7

たまたま見つけた団地映画で1ミリも期待してなかったけど意外と良かった。主人公のソラだけでなく、贋作で生計を立てていた前の住人であるトキオも最終的には自身のオリジナル作品を小さな規模ではあるものの世の中>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.3

何かを変えようとしていることを勇気づけてくれるような映画。観終わったあと気持ちが軽くなった。ふたりの思考や関係性が変わっていきながらきちんとタイムループから抜け出す解決をしていて好印象。なかでもスピー>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.9

なんとかユニバースはよくわからないので続編なのかリブートなのかは気にせず楽しめた。キャラクターひとりひとりの能力だけではなく背景や考え方などの個性を活かしながら物語が進んでいくので見応えがある。ブラッ>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.3

ハリウッドザコシショウの誇張モノマネを見ているような...正常性バイアスや分断、差別をはじめ今社会で起こっていること、そして象徴となるような人物や技術を全て詰め込んだ内容で、何年経っても人間の思考はど>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.8

間伸びせず物語がどんどん進んでいくので事件のことを知らない自分は楽しめた。普段から接点のないラグジュアリーブランドの歴史や哲学みたいなのを純粋に楽しめる。グッチ一族は今はもう経営にノンタッチらしいけど>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.8

個人的な経験と重なって...やられた。あるホワイトカラーの中産階級の家族を肯定も否定もせずただ見守っている。ヤンヤンが主役かと思いきやそんなことはなく、家族それぞれが置かれた環境で誠実さや世界の情理と>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.3

偶然がきっかけとなって本心と向き合う。会話によって徐々に素直な気持ちを各々が見出していくけど、その会話がスルスルっと頭の中に入ってきて心地がよく、ずっと聞いていたい気持ちになる。会話の主導権がころっと>>続きを読む

酒徒(2010年製作の映画)

3.4

食っていくために文学への志を捨てなければいけず、酒と女の世界に逃避する。世間の文学、ひいては芸術へのリテラシーを自分ひとりの力ではどうすることもできず、金が物を言う世界では意に反して求められているもの>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.2

お話もエピローグもなんか観たことあるような、いやでもそんなのは関係ない、めちゃくちゃおもしろかった。
予告もあらすじも見てなかったんだけど、疑心が確信に変わるあの鍬で大きな絶望を食らって...そこから
>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

あーどうせ『ネオンデーモン』みたいなビジュアルオサレ映画でしょと思いきやちゃんと物語の動機がきちんとしていて参っちゃった。今年観た『キャンディマン』に近いかも。純粋さとおばあちゃんにめっぽう弱いので.>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

4.0

マトリックスといえばやっぱり終末世界におけるネオとトリニティのLOVEだよねということでいろんな立場の人たちがそれぞれの持ち場で役割をこなしてふたりの純愛、イチャつきをドラマチックに仕立てあげる、なん>>続きを読む

MERU/メルー(2014年製作の映画)

3.7

撤退の勇気と仲間への信頼が並大抵ではない。数ヶ月前、南アルプスの北岳に小屋泊で行く予定だったけど天気が悪そうで、甲府に前入りしたけど泣く泣くキャンセル料払って行くのやめた、がこんなの比べものにならない>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.8

背筋をピシッと伸ばすような映画が好きだけど、映画は娯楽だと思い出させてくれるようないい意味で気の抜けるような作品。ホラー好きからの評価が高い理由がわかる。今の時代こういうのってあんまり劇場で公開されな>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.9

動機が極めてシンプル、そして死を恐れていないことは人をめちゃくちゃ強くするんだな。ラスト、フランは恐怖に怯えずきっと不自由ない人生を送れるのだろう、マーラに後悔は見えなかった。社会通念では因果応報とさ>>続きを読む