遊さんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

-

ヌーヴェルヴァーグの作品群で描かれる自由や解放がいかに男性のひとりよがりであるかを痛感せざるを得ない恋愛ホラー 倫理ホラー
そんな界隈のなかに居ながら敢然と制作に取り組み、燦然と輝く作品をつくり続けた
>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

2回目
97%くらい起きてた 本当に劇場でまた観てよかった
土砂降り、ずぶ濡れ靴下でオールナイト上映のタルベーラは状況ができすぎだった!!

インターミッションのときスタッフさんが気つけのコーヒーを
>>続きを読む

ザ・シャウト/さまよえる幻響(1978年製作の映画)

-

R-1で野田クリが大会近いもんなのネタに「作り手側として、どうすればそのフレーズに面白を見出してネタにできるのか分からない」という主旨の賛辞(たぶん)を送っていて、この映画にも近いとこがあるかもな気が>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

-

自分はノーランが大好きだっただけで、バットマンそのものには全然興味が無かったことがわかった

ポールダノの登場の瞬間だけはめちゃくちゃアガった

狼の時刻(1966年製作の映画)

-

人間の得体の知れない不気味さと緊張感でゾワゾワさせてくる感じ、黒沢清の源流という感じする

「この島でおかしなことがあった」と語る女性自身も正常なのか疑わしい、このパターンの信頼できない語り手はよくあ
>>続きを読む

コロンブス 永遠の海(2007年製作の映画)

-

申し訳程度のストーリー、オリヴェイラ組のいつもの役者陣、映像にしても目の保養となる風景たち、ぼーっと眺めるのにちょうどいい尺・ちょうどいいコンテンツ
レオノール・シルヴェイラが映っているだけでありがた
>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

-

ベルイマンは「難解なことを確実に伝えてくる」ところが凄い

「メタファー」と「象徴的な出来事」ばかりで構成されて、かつ物語としても筋が通ってて オリジナルの神話を創り上げちゃってるようなレベル

映画
>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

-

wonder 君は太陽と同じにおいがする、THE 一般受け感動映画 揶揄ではなくて! このような映画が世の中には必要

主人公が属するふたつの世界を描いて、片方の世界ではもう片方の世界についての理解が
>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

-

スピッツの草野マサムネが3.11のとき直接被災したわけではないのにパニック障害になっていたことを思い出した その時は感受性が豊かなんだなくらいに思っちゃってたけど、世界で起きていることを画面を通して>>続きを読む

緑色の髪の少年(1948年製作の映画)

-

ディーン・ストックウェルのファンとして

ストレートな反戦映画
このとき12歳で人気子役だったディーン・ストックウェルが数十年後はデヴィッドリンチやヴェンダース作品の名脇役になるの、寺田心がおじさんに
>>続きを読む

王女メディア(1969年製作の映画)

-

これは物凄いものを観た...
台詞は少なく、表情が感情を語り尽くしてる

あらすじの予習をしておいてよかった
ギリシャ悲劇だからたぶん「お話はみんな知ってる」前提で、むしろストーリーの説明は省いて「ど
>>続きを読む

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

-

観てないとは言えない名作をやっと観た

暴力の応酬である戦争に対して当然怒りを覚えるのとまったく同じ理屈で、おれは格闘技とか大乱闘スマッシュブラザーズとかが不愉快で嫌いであるということをいつもかなり真
>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

-

映画じゃねえか!!!!!
2001年宇宙の旅にもインターステラーにも迫る大きな大きなものごとを、こんなにもミニマルに表現できるのか

「スケールが違いすぎるゆえに、ストーリーが論理じゃない」というケー
>>続きを読む

ムーンライティング(1982年製作の映画)

-

緊張感がスクリーンを超えて伝われば映画ってもう成功だと思うけど、これはもう行動《万引き》も人間関係《ブラック企業》も情勢《ポーランドの戒厳令》も金銭面も仕事の納期もなにもかも全部ガチガチにギリギリ綱渡>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

-

パンフレット読む前の書きつけ

「個人」とか「直線時間」とかの、もう染みつききって落とせない近代的な概念から真に解放された世界観をアピチャッポンは映像にしているとして、
ブンミおじさんの森では登場する
>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

愛を否定するやつは殴り倒されて然るべきなので、本当に良かった 今泉力哉のこの脚本はとても大きな責任を受けて立っている
「関係あります?私たちに」で泣いてしまった

河合優実の出る映画は全部(とりわけ彼
>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

-

亡霊が出るというお屋敷を キャタピラが踏みつぶして 来春ごろにマンションに 変わると代理人が告げる また僕を育ててくれた景色が 呆気なく金になった

という歌詞を一瞬思い出した それ以外何も覚えてい
>>続きを読む

Blue(2018年製作の映画)

-

もえさかる炎はすべてを無に帰すべく進軍してくる脅威に見えるいっぽうで、発され続ける燃焼音はすべてを取り込みフラットにする救済のようにも聞こえる

厳重に監視された列車(1966年製作の映画)

-

隣り合うチェコとポーランドで同じ年に生まれたふたりの映画作家が、両者とも20代後半に童貞の性への目醒めという同じモチーフを使って脚光を浴びたの面白い 丁寧に積み上げたキャラクターやメタファーたちが活>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

いつ出てくるんだ、いつ出てくるんだ、あなたを観にきたんですけど!!ってお預けを食らい続けて 満を持して 上がりに上がったハードルをぶち超える登場をかましてくれるオーソン・ウェルズ パリ、テキサスのナ>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

マトリックスの、"上位存在"が自分の意識をコントロールしている可能性、の話
東野圭吾の「変身」の、自分の意識が徐々に侵食されていく感覚があり、その「入ってくる意識」が自分と密接に関わった存在である、と
>>続きを読む

出発(1967年製作の映画)

-

主役のジャン=ピエール・レオの演技のみならず、映像そのものからも「多動」を感じさせる総合的な演出、強い作家性を感じる

CGのない時代にこれだけ工夫して「面白い視覚効果」をつくり上げていることにも感動
>>続きを読む

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

-

ブルーレイになって画質がグンと上がったのも相まって、海外のオシャレなバイオレンス映画を字幕なしで観ているような嬉しさがある ときどき急激に緊張が走り暴言の応酬に突入し、何事もなかったように次の場面に>>続きを読む

ロスバンド(2018年製作の映画)

-

北欧・ロックバンド・ロードムービーという掛け合わせで期待値上げすぎちゃった!4人のキャラも魅力的だったけど、話が早送りというか段取りじみた展開に感じられてハマれなかった〜
音楽の入り方も ムム...と
>>続きを読む

上海から来た女(1947年製作の映画)

-

すぐに天才ってワード使うの好きじゃないけど、オーソンウェルズは本当に天才なんだなと思った 他の40年代の映画より、カット割りや演出の古臭さが圧倒的に少ない 当時は異端児で、今はそれがスタンダードになっ>>続きを読む

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

-

タルベーラの映画鑑賞は本当に肉体的な体験

今回は絶対に寝ないぞと思って開演前に355ml一気に飲み干したMONSTERパイプラインパンチの甘ったるい後味が舌の根にまだ残ってるうちにゆっくりと瞼が重く
>>続きを読む

アメリカの友人 4K レストア版(1977年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

ああ〜走るなって言ったじゃ〜ん!!!!

いやなんでお前来てんだよ!!!!

って顔はかっこいいのに行動がいちいちカッコよくないウジウジ間抜けおじさん二人につっこみながら見守る いい友達だほんと
初め
>>続きを読む

白夜のタンゴ(2013年製作の映画)

-

冒頭にカウリスマキが出演しているというだけで気になってた映画をたまたまDVD見つけたので鑑賞
タンゴは本当はフィンランド発祥だと主張するカウリスマキにムッとしたアルゼンチンのタンゴ奏者3人が、フィンラ
>>続きを読む

落下の王国(2006年製作の映画)

-

めちゃくちゃ綺麗なエル・トポ
物語を紡ぐという行為の原点に触れる
頭の中に湧き上がり言葉となって編まれる物語は、語り手の精神と肉体の状態をそのまま映し出す

ビッグ・フィッシュが好きな人には必ずおすす
>>続きを読む

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

-

アイルランドの長編絵本を堪能した感じ
北欧の音楽が好きすぎるので耳が本当に心地良かった
人間と自然の関係、自分と異なる見た目の相手との関係などの寓意に満ちた物語、少し難しいけど、子供ができて8歳くらい
>>続きを読む

ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている(2021年製作の映画)

5.0

ビリーがいつ音楽活動を止めてまったく別の人生を歩み始めようと、誰ひとりその選択に口を出す権利のある人はいない 他人の人生に要求できる人間はいない
それは当たり前なんだけど、17歳から全世界の人間に人
>>続きを読む

いとこ同志(1959年製作の映画)

-

まだ初期の2作しか観てないけど、シャブロルはヌーヴェルヴァーグの作家たちの中ではすごく分かりやすく、共感性の高いキャラクターと状況でもってヒットしそうな作品を狙って作ってるなと感じる 実際この作品の大>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

-

Apple TV+の無料期間終了前に急いで鑑賞
シェイクスピアの原作を忠実に再現している(らしい)かつ映画として観やすくてしっかり面白くて2時間弱にまとまってるって、コーエン(兄)優秀すぎるな
シェイ
>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

-

不愉快だなあ、なんでみんなこれ好きなん?ってずっと思ってしまったのは1961年版を観てる時と同じだった
すぐ喧嘩したり命を粗末にするのはそれがあなた方の生き方なので良いと思いますが、だったらナイフ刺さ
>>続きを読む

春のソナタ(1989年製作の映画)

-

視点が変わることなくずっと客観で4人の男女を映しているのに、2時間弱の中で「こいつの人間性が終わってるから関係がこじれてるな...」と思える人がはっきり変わってゆく
観てるほうのスキルの有無に関わら
>>続きを読む