遊さんの映画レビュー・感想・評価 - 20ページ目

散歩する惑星(2000年製作の映画)

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この映画を「分かる」って言ってる人全員の胸ぐら掴んで何が分かったのか問い詰めたくはなるが、その小難しさを差し置いても完璧な様式美に眼はめちゃくちゃ喜ぶ

絵柄ですぐに作者が分かる漫画のような個性だし、
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恐怖分子(1986年製作の映画)

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何気ないショットもいちいちキマってて目への刺激が絶えないから役者の顔が見分けられなかったり意識が遠のいたりして話についていけてなくても良い時間を過ごせたような気 ウトウトしちゃうのはこちらの責任なので>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

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ロメールの台詞回し、カサヴェテスの撮影、ブレッソンの演技の融合が濱口竜介だな〜と勝手に雑に理解していたのだが、ここにきてダグラスサーク的メロドラマの凄みを感じさせてきた 鏡ぶち破って世界がつながるとこ>>続きを読む

SKIN 短編(2018年製作の映画)

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先月観た「ウォーターメロンマン」と完全に何もかもが一緒だった しかもそっちは黒人が監督・脚本・主演して「ブラックコメディ」として仕上げてる、すでに仕上げ済み
50年前に仕上げ済みの皮肉が今も「センセー
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拳銃魔(1949年製作の映画)

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「拳銃が大好きだけど人は撃てない」ってのがもう愛せる設定
ボニーがクライドの耳引っ張って引きずっていくタイプの犯罪逃避行

序盤の「銃向けられてニヤニヤしちゃう」拳銃マニアな表情が最高におかしくて観
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コンフィデンスマンJP 英雄編(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

はいはいまたそのパターンね、みんな子猫ちゃんなのね、もう飽きましたよダー子さんって鼻白むつもりが、江口洋介のドMっぷりに「いつも通り」の嬉しさと暖かさと安心感を得て、こいつが銭形警部の役回りじゃんねと>>続きを読む

台北ストーリー(1985年製作の映画)

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「無題」とか「映画1」みたいなタイトルでもいい、そのくらい映画という表現形態そのものの良さを感じることだけで観続けられる

ストーリーの盛り上がりを肝としない、人間を丹念に描くことに注力して面白さを
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暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)

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トゥルー・ロマンスの香りが漂い始めるのはラスト20分
冒頭の音楽の入り方は完全に小津安二郎(というか当時の日本映画全般?)のソレ

シリアスマン(2009年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「答えを与えないのに なぜ考えさせるのか」
無宗教の人間からしたら ほんとそれ〜お前もそう思ってんなら辞めちまいなよ信仰なんて、って軽く思うけど、彼らには一生かけて向き合い続ける問いなんだろうな

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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

メタファーと思しきアイテムや演出が意味ありげに散りばめられまくる、考察捗り倒し映画

幼少期にヘミが落ちた井戸の話は、孤独のことだなと思った
家族にさえも、その存在すら認知されていなかったヘミの孤独を
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蛇の道(1998年製作の映画)

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幽霊よりも人間の方が、明らかな事象よりよく分からない状態の方が怖いというけど、まさに目的や行動原理が(絶妙に見えそうで)見えない人間たちを観る居心地の悪さがすごくワクワクした 香川照之の狂いがよかっ>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

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カメラの前で演技することの端的なメタとしてとらえていいのかな それだけで本当に興味深い
スタッフ10人未満でほとんどフィックス長回しで、学生の自主映画と変わらない規模感でも脚本と演出でこれだけ画面に
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夜の人々(1948年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

クラシックの名作
派手じゃないけどみんな観ておいていい映画

何もかもがかわいい
咲くのを待っていた花 それまでの鉄面皮を打っ遣って浮かび上がる愛の表情
走り出した初めての愛に見よう見まねでつかまっ
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レディ・キラーズ(2004年製作の映画)

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いつものコーエン兄弟という感じ 「エスプリの効いた」「無駄がなくほとんど寓話のような脚本構成」が「いつもの」になっている凄さ
人物と状況設定にゴスペルをうまく配置して、音楽も楽しめるようになってて抜か
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トラベラー(1974年製作の映画)

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わりと短いのに中盤うとうとして悔やまれるんだけど、自転車泥棒みがかなり強い 音楽も展開も 主人公の悪ガキの可愛らしさがカスさをギリギリ上回っててギリ憎めないなと思ってたら、寝てた中盤でかなり最悪なカツ>>続きを読む

冬物語(1992年製作の映画)

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偶然の出来事を(想像によって)物語に昇華する
濱口竜介がロメールの弟子筋を意識してるのわかるなあ

ロメールに出てくる女性は「心変わり甚だしい感情の化け物である自分」と「それを見つめる冷静な自分」が切
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ユニークで先の読めない展開に対してかなり遠くからの三人称視点が面白く効いてる気がする
あと【主人公の過去の経緯説明】→【物語(主人公の計画)開始】が常識的な親切設計だろうに、二つが同時進行で描かれ
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偶然と想像(2021年製作の映画)

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やっぱり映画は映像で勝負してナンボ、言葉で何でもかんでも表現しすぎちゃチープになるよ、という言論を根底から蹴り飛ばしてくれるような、深く重い言葉たちが嘘みたいに軽やかに紡がれる会話劇

会話劇というよ
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殺しが静かにやって来る(1968年製作の映画)

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同じ職場に居てほしくない俳優ランキング50年連続第1位ことクラウス・キンスキー

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

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画面いっぱいに想像の範疇を超えたグロが展開されると笑っちゃうんだということを教えてくれる作品 そういうところも時代を経てなお色褪せない傑作ポイントなのかな

スパイの妻(2020年製作の映画)

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かなりテレビドラマ感があった
蒼井優の表情と台詞回し、キャラクターのデフォルメ具合がフィクションだけどやり過ぎにはギリなってない絶妙のラインですごくよかった お話は普通にNHKドラマ

PASSION(2008年製作の映画)

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「逃げ」「甘え」「見ないふり」「一旦保留」「思考停止」「それっぽい結論をつけて自分をいい感じに騙しておく」
見たくないものを必死に見ようとしている、頑張って見た気がしても「頑張って見た、ということにし
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

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一回鑑賞しただけじゃ消化しきれない させてくれない

金はありあまるほど持っている
愛も内から延々と湧き出てくる
でもその流れ込む場所が見つからない 定まらない

愛は流れる 愛そのものがひとところに
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ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)

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スピルバーグの言わずと知れた名作群をかなり観れてないけど、超高水準のクオリティで安定してるんだろうと思わされる...早いとこ観なきゃ

ドント・ルック・アップのマークライランスが怖良すぎたのでこちらも
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スイート・スイート・ビレッジ(1985年製作の映画)

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都市から離れた小さな村の群像劇、一人ひとりのキャラが立っててエピソードたちも可愛らしくてずっと飽きなかった 激しさを抑えたクストリッツァという感じ 笑いの取り方も品が良くて上手い、塩の蓋緩めとくとか>>続きを読む

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)

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感情先行で論理が通じない、できればずっと刑務所に居てほしいヤンキーをレイリオッタがめちゃくちゃリアルに演じてる 短髪の固め方 瞳孔の開き具合 肌のブツブツの質感 高校のときこういう人いた

ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)

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一度しか使えない手をここまで存分に炸裂させられたら、こちらは悲鳴と歓声を上げて降参するしかない、そんなラスト

皮肉の対象として本人役で出演するジュリアロバーツとブルースウィリスの懐の深さよ それだけ
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

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何度観ても「殺してやる」の見事さに恐れ入る 舞台で観た時はアッパレ!なニュアンスの爆笑が起こっていたような 何十年の間に数え切れないほどの爆笑と拍手をかっさらっているんだろうな

推理小説読む時はだい
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ミニミニ大作戦(2003年製作の映画)

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クライムアクションの軽快なテンポを保ったままに、少なくない登場人物をそれぞれ分かりやすい特徴的なエピソードで紹介してくれるから混乱しない ガイリッチーもこれくらいやってほしい

常にソロプレイのエド
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

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ブラックコメディの傑作 博士の異常な愛情、M★A★S★Hに並ぶかも それでいてキャストの豪華さでエンタメ性を底上げしていて無敵の作品 ティモシーが出てきたときは思わず叫んじゃったもんね

東京物語(1953年製作の映画)

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すべての人間に思い当たる節がある映画として、歴代全映画ランキング1位になることがとても納得できる 劇場で観れてよかった

普段は情が無くなりきったようでいて死に目や正念場では急激に泣き腫らす、ことが終
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エメラルド(2007年製作の映画)

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ホテルの部屋が持つ記憶 泊まっていった人たちの会話の蓄積

10代のころ旅行で友達が間違えてラブホテル予約してたから仕方なく泊まったけど部屋に立ち込める情念が童貞たちにはエグすぎて旅行を中止したことが
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うなぎ(1997年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映像の質感や役者の佇まい、緊張感のある場面での突然のコント的ユーモア、幻想的だったりして難解になりそうだけどギリギリ絶妙のバランスで一般層に開かれた上質なドラマとして成り立っているところ、北野映画っぽ>>続きを読む

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

生々しさが尋常じゃないとは聞いていたが、ここまでとは...カサヴェテス観てる時に近かった

闇のキャッチミーイフユーキャン
全員狂っているが、見続けていると人間はみんなこのくらい狂ってるか〜みたいな麻
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ガープの世界(1982年製作の映画)

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ジョン・アーヴィング、小説はまだ読み終えてるものはないけど、映画は3つとも観た 本当に好きだ 幸も不幸も全てフラットに描く、理由も脈絡もなく人は突然死ぬことをビニールが風に舞うような軽さで描く、すべて>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

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台詞にも登場したけど、ファスビンダーが「自分を解き明かす」ためにつくった映画なのかな それくらいにファスビンダー本人の人生そのものが作品の核になっていた

性転換手術をしたが、「別に男が好きなんじゃな
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