ストローブの最新作。2020年にネットで配信された10分のデジタル作品である。冒頭、ジャン=リュックに捧げると表示される。ゴダールのことだろうか?湖をバックにストローブの後期のカメラマンであるクリスト>>続きを読む
ストローブ85歳の誕生日に公開された2018年のデジタル作品。19分。スイスの作家ジャニーヌ・マサール「湖の人々」がレマン湖で一人の男に朗読される。湖バック、船の上、黒味、レマン湖の人工島の映像に、対>>続きを読む
ストローブの2016年のデジタル作品。9分。ポンピドゥセンターの依頼で制作された。椅子の上で寝ている猫の固定ショット、バックで船が通過する。「水槽と国民」の金魚と鯉の水槽や本作の猫など、動物などの長回>>続きを読む
ストローブの2015年のデジタル作品。31分。パリの中華レストランの水槽がしばらく無音で写される。金魚や鯉が泳いでいる。突然音楽が響く。頭からかなり長いワンカット、タイトルになる。続いてアンドレ・マル>>続きを読む
ストローブの2014年のデジタル作品。2分の短編。手前に銃を持っているのがチラリと見える男ごしに精神科医が対峙している。窓の桟や奥に向かいのアパートが日差しを浴びている、逆光気味の多層的な構図だ。スト>>続きを読む
ジャン=マリー・ストローブの2014年のデジタル作品。冒頭はアンドレ・マルロー作「侮蔑の時代」ナチスによるドイツ共産党員の尋問場面だ。若者と大物活動家が立ったまま尋問される。尋問の声はストローブ。黒味>>続きを読む
グー・シャオガン(顧暁剛)のデビュー作。富春江が流れる杭州市の富陽地区に住む家族の一年の物語。長回しを駆使した骨太の作りだ。孫娘グーシーと恋人ジャンが「歩くのと泳ぐのとどちらが速いか試してみよう」とジ>>続きを読む
前作で死んだお蝶の不在が本作の通奏低音になっている。その上で、前半は喜代蔵(長門裕之)の亡き母への想いが重なっていく。喜代蔵とお仲がお互いに泣き合う場面がマキノ節だ。喜代蔵が「次郎長はお父さん、お仲姉>>続きを読む
矢崎仁司の出世作。兄は「鏡」で妹は「水」だ。記憶喪失の兄ハルオ(趙方豪)は鏡にこだわる。姿見を拾って帰るぐらいだ。そして鏡は要所で割れる。コーラが大好きだ。妹ナツコ/アイス(由良宣子)は水彩画、雨漏り>>続きを読む
小森はるかが陸前高田で若者4人のワークショップを描く最新作。記録映画として情報量が少なすぎる。全然響かない。そして小森はるかの悪い癖で、何が行われているのかなかなか分からない。4人の関係、何を活動して>>続きを読む
ナザレに住むイスラエル国籍のパレスチナ人であるエリア・スレイマンの10年ぶりの新作。スレイマン自身が映画企画をパリ、ニューヨークに売り込みに行く旅の物語だ。異人から見た道中の欧米社会の日常の奇妙さ、不>>続きを読む
シリーズの中で本作は静かな詩情あふれる名作となっている。祈りの映画である。冒頭から地蔵に祈る親子だ。広沢虎造の浪曲ではなく、御詠歌がかぶり意表をつかれる。次郎長一家の兇状旅である。お蝶の体調が悪化して>>続きを読む
アブラム・ローム恐るべし!ムルナウのような官能的な傑作サイレント映画である。
一つ屋根の下、若い夫婦と夫の友人が三角関係になり、どちらがベッドでどちらがソファーか、妻を取り合う不埒な物語である。冒頭か>>続きを読む
黒沢清の長編第二作。もとは日活ロマンポルノで制作されたが納入拒否になり一般映画として公開されたいわくつきの作品だ。初台の東京工業試験場跡(いまの新国立劇場)を大学に見立てて撮影された。このロケ地は本作>>続きを読む
黒沢清の長編第4作のホラー映画。松重豊の初主演作。黒沢清は何かが倒れたり落ちる。突然瓶が倒れる、棍棒が目の前に落ちる。この恐怖の煽り方が上手い。音が重要だ。何処からか音がする、叫び声がする、その音に誘>>続きを読む
シリーズ最高傑作。マキノ雅弘はどんなジャンルもこなせてしまう映画の神様だ。本作も活劇、人情、歌踊り、てんこ盛りだ。しかも第六部とまとめ撮りしたというから驚嘆するしかない。冒頭は清水港の秋祭り。次郎長一>>続きを読む
ロシア革命後に登場したアブラム・ローム監督のアヴァンギャルドな作品。ブルジョワ階級の医師の妻と若者の三角関係を描き、上映禁止になった。
冒頭、白い階段に木の葉の影が揺れる、湖、マーシャ(オリガ・ジズネ>>続きを読む
オーソン・ウェルズが資金難のため4年がかりで撮ったモロッコ映画。クローズアップとフルショットの大胆なモンタージュ、厳格な構図、光と影、全てのカットが力強い。ベニス、モスク、城壁、ロケーションが艶かしい>>続きを読む
これぞメロドラマだ!マックス・オフュルスの傑作。冒頭の夜の雨の馬車、手紙から回想へ、ピアノを吊し上げる引越しが面白い。オフュルスは何と言っても官能的な長回しだ。特に群衆がいなくなって一人取り残される長>>続きを読む
シリーズ第4作。マキノ雅弘は全く隙なし、完璧なマスターピースだ。冒頭から次郎長一家の引越しの大八車が疾走する。そこに広沢虎造と豚松(加藤大介)の博打の話とお仲(久慈あさみ)の歌が絡んでいく。見事な流れ>>続きを読む
両親の離婚に傷つきながら逞しく成長する少女をナイーブに相米慎二が描く。「火」の映画だ。相米作品では「火」は別れになる。冒頭のドラム缶、アルコールランプの火事、祭りの送り火と花火、クライマックスの幻想の>>続きを読む
高校を卒業して社会に出た女子5人の群像劇を瑞々しく描くチョン・ジェウンの処女作。蓮實重彦が「映画の歴史を揺るがせる稀有な処女作」と大絶賛している。正直に言ってそこまで映画的感性が振動しなかった。どうし>>続きを読む
ポン・ジュノのデビュー作。毒がありダークだ。犬殺しや犬鍋の映画だ。冒頭に動物虐待はしていないとクレジットされる。「パラサイト」の主題である「地下室」「地下人」「閉じこめる」や「屋上」の主題が処女作から>>続きを読む
キン・フーが宋時代の古典「西山一窟鬼」を映画化した3時間あまりの大作。「空山霊雨」と同時に韓国ロケで二本撮りという離れ業で制作された。キン・フーの作品で唯一武侠アクション映画ではない。道士やキョンシー>>続きを読む
相米慎二が古巣の日活で撮ったロマンポルノ。脚本が石井隆なので「村木」と「名美」と「天使」がキーワードだ。「雨」と「階段」の映画である。山口百恵の「夜へ」が流れる速水典子と寺田農の再会の場面、タクシーの>>続きを読む
相米慎二の出世作。アイドル映画とは言えない恐るべきフィルムだ。日活ロマンポルノでやりたい放題の監督達を見て確信犯で作っている。相米慎二の代名詞の長回し、有名な暴走族の場面、柄本明の暴行場面、薬師丸ひろ>>続きを読む
没後20年レトロスペクティブにて、相米慎二の円熟期の代表作である。相米は毎回トップカットが気合いが入っている。本作は夜のプールを泳ぐ少年、実音のみでタイトル。少女達は学校で遊ぶ。深夜のプール、台風の学>>続きを読む
キン・フーが「007 シリーズ」に反感を持っていて、政府お墨付きの殺しのライセンスでヒーローになるなんておかしい、スパイは表には出ないものだ、という信念で作ったという出世作。荒野の一軒家が舞台。西部劇>>続きを読む
シリーズ第三部、マキノ雅弘の至芸を堪能する。前半が石松、後半が次郎長一家の話からなる。別れの場面が全ていい。冒頭の次郎長一家と石松の別れの場面は真っ直ぐなニ本道に別れる分岐点、コケながら走り去る石松(>>続きを読む
ストローブ=ユイレがバルトーロ劇場の依頼を受けてヴィットリーニの長編小説を映画化した。出身者は全てシチリア島出身者で2ヶ月半のリハーサル、劇場公演、を経て撮影された。前作の「今日から明日へ」が舞台セッ>>続きを読む
キン・フーが世界にデビューした武侠アクション。明朝末期、訳ありで朝廷から追われている謎の女ヤン(シュー・フォン)と軍師グー(ティエン・ポン)が次々と放たれる追手と戦い抜いていく貴種流離譚だ。マカロニウ>>続きを読む
キン・フーが世界にデビューした武侠アクション。明朝末期、訳ありで朝廷から追われている謎の女ヤン(シュー・フォン)と軍師グー(ティエン・ポン)が次々と放たれる追手と戦い抜いていく貴種流離譚だ。マカロニウ>>続きを読む
男たちを手玉にとって上流社会を成り上がる魔性の女を描くニコラス・レイのフィルム・ノワール。ハワード・ヒューズ傘下のRKO制作である。ニコラス・レイらしい奇妙な暗さが漂っている。ジョーン・フォンテインが>>続きを読む
次郎長三国志の第二部。大傑作である。ハリウッドにフォードがいるならば、日本にはマキノがいる!躍動感あふれ、瑞々しく、アクションは素早く、歌って団結する、これぞ活劇だ!
冒頭の夜の捕物がまず素晴らしい。>>続きを読む
テキサス州オースティン市の音楽フェスを舞台に男女4人のラブストーリーを即興で描いたテレンス・マリック監督作品。
マリックが言うには「映画自体が演劇のように見えて欲しくない。キャラクターたちの人生の断片>>続きを読む
理想の女性が忘れられずに振り回される男を描くロマンチック・コメディ。監督はラオール・ウォルシュ。前科者の歯科医がジェームズ・キャグニー、妻がオリヴィア・デ・ハヴィランド、理想の女性のいちごブロンドがリ>>続きを読む