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日本敗れず
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目次

『日本敗れず』に投稿された感想・評価

◎敗戦9年目13年早い「日本のいちばん長い日」

1954年 新東宝 モノクロ 102分 スタンダード
*少々ホワイトノイズあるも鑑賞に支障なし

ポツダム宣言受諾を認めようとしない陸軍の一部将校と近衛師団参謀が起こしたクーデター未遂事件、いわゆる「宮城事件」を扱った最初の作品。

まだ事件の記憶が新しく関係者も存命のためか、大石内蔵助を大星由良之助に換えた江戸時代の時代物よろしく、阿南惟幾陸相を川浪陸相(早川雪洲)とするなど実名を仮名に置き換えている。

【以下、念のためネタバレ注意⚠️】








もちろん我われは、同じ「宮城事件」を扱った岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』(1967年)を知っているし、原田眞人監督によるそのリメイク(2015年)も観ている。

どうしても比較は避けられない。

岡本喜八の『日本でいちばん‥』は、圧倒的な傑作として観る者は強烈なインパクトを受けずにはおれなかったからだ。

ポツダム宣言受諾という、軍の解体とその長たる天皇の指揮権剥奪という自分たちの存立の「危機」に直面した若き軍人たちの「狂気」を、その病的な拍動とともに伝えてやまなかったからだ。

それに比べれば、本作の平均温度はずいぶん低い。

監督ジャッキー阿部の師匠であり、初期ハリウッドの大立者であった早川雪洲の川浪陸相は、いかに俳優としては格上でも三船敏郎の阿南惟幾の存在感、銀幕からの「圧」には正直及ばない。

鈴木貫太郎首相は、たまたま両者とも小津映画の常連、本作では斎藤達雄でいくら何でもとぼけ過ぎな感じだが、岡本喜八版の笠智衆も覚えてないので、これは互角だろうか。

何と言っても、岡本版での主演格は、畑中健二少佐役の黒沢年男で、あまりにも強烈だったが、本作は知性派の細川俊夫が演じているので大分印象が変わる。

サブキャラとしては、岡本版で横浜警備隊の佐々木武雄大尉を演じた天本英世の狂人ぶりがやはり鮮烈。

本作で、最も存在感を発揮しているのは、南郷外相(東郷茂徳)役の山村聰(岡本版は宮口精二)で、柳永二郎演ずる米田海相(米内光政、岡本版は山村聰)とともにポツダム宣言受諾を主張、「海軍と違い陸軍はまだ余力がある」と本土決戦を訴える川浪陸相に対して、「いや陸軍も海軍ももう余力などありません。たとえ軍は解体されても国民を残すべきです」と理路をもって説く。

現実の東郷は、東京裁判において、真珠湾攻撃について海軍が無通告攻撃を企図していたと主張したことが、海相だった嶋田繁太郎からは自己保身のための偽証だと指弾されて激しい意見の対立を招いたり、終戦に関しても実際の連合国側の動きを把握せずにソ連の仲介による和平交渉を続けるなど必ずしも評価は高くない。

しかし、本作に限って言うなら、あくまでも国体護持を金科玉条とし、本土決戦に活路を見出すとか、天皇の指揮下にある帝国軍なくして日本もあり得ないとか、現代人の感覚からは到底理解不能な主張しかできない陸相に対して、今は降伏することでしか日本国民を滅亡から救うことはできないという「当たり前」の認識を示す役割として、作劇のあり方から見て上手く機能していたと思う。
また、本作全体を通して、山村聰の演技は、まさに名演と言って良く、言葉の一つ一つに揺るぎない説得力があり、この点では、さすがの早川雪洲も(彼の日本語のセリフは必ずしも達者ではなかったにせよ)足元にも及ばないと思わせてくれた。

そして、岡本版になく、本作で丁寧に描かれたのが、プロローグとエピローグの形で映像化された、まさに無辜の大多数の日本国民の姿だ。

東京空襲の再現は、有名な『君の名は』のそれを遥かに凌駕する凄まじいまでの迫力で描かれ、大紅蓮のおさまった後に、川面に浮かぶ数多の無惨な水死体まで俳優に演じさせている。

いや、どうやら、本作の「日本国民」の役は、一般人のエキストラの参加もあったのか、演技とは思えない、個性的な民衆の戦禍に苦しむ表情が捉えられている。

そして、エピローグにおける廃墟の東京に建てられたバラックのなかで、若い母親から産まれ出た新しい命。
下手な監督が手を出せば、陳腐で失笑の的ともなりかねない絵である。
しかし、阿部豊による、このシーンの床について微笑む大事を成し遂げた母親の表情には一片の嘘も感じられない。

このことだけでも、本作は、敗戦後9年目の確かな反戦の思いと希望を謳った名作と呼ばれる資格があると思うのである。

《参考》
*1 新東宝データベース1947-1962 日本敗れず
nipponeiga.com/shintoho/film/1954/19541025.php

*2 「日本敗れず」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

*3 日本敗れず
1954年10月26日公開、102分、戦争
moviewalker.jp/mv23994/

*4-1 ネイビーブルーに恋をして 19/08/
映画「日本破れず」〜”海軍は負けたが陸軍は負けていない”
15
blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/6b1d709a8f17c463cb78a1a2f3cdd0d8
*4-2 19/08/16
映画「日本破れず」〜”阿南君は暇乞いに来たんだね”
blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/14c88506b323949acaf2de76c28f9c7c
*4-3 19/08/16
映画「日本破れず」〜”一死以ッテ大罪ヲ謝シ奉ル”
blog.goo.ne.jp/raffaell0/e/8fa23f89a8cffe4ce913f52aafc72785

*5 雑多園
元祖「日本のいちばん長い日」 日本敗れず
2lanewhitetop.web.fc2.com/yaburezu.html

*6 抗戦派による宮城事件。困窮する庶民の描写が彼らの狂気を照らす――春日太一の木曜邦画劇場
『日本敗れず』  春日 太一
bunshun.jp/articles/-/65103?page=1#google_vignette

*7 法華狼の日記 2023-08-15
『日本敗れず』
hokke-ookami.hatenablog.com/entry/20230815/1692111447

*8 勝手に応援!ハイツひろちゃん
早川雪洲 その偉業に!
2023-05-04 20:04:13
ameblo.jp/tanakahiromasa-1123/entry-12801510323.html

《上映館公式ページ》
シネヌーヴォ日本映画大回顧展
新東宝 映画まつり
 Preseted by 新東宝キネマノスタルジア
2024.7.6〜9.6 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/shintoho2024/shintoho2024sakuhin3.html
「日本の一番長い日」(1967)の原型。終戦時の「宮城(きゅうじょう)事件」を描いた初の映画。ハリウッド帰りの阿部豊監督と、同じく早川雪洲が主演。新東宝が戦後9年目に制作。

「日本の一番長い日」で三船敏郎が演じた阿南陸相を本作では早川雪洲が演じている(役名は川波陸相)。両者の個性の違いがそのまま作品の印象を決定づけている。晩年の早川雪洲はあまり観たことなかったが、眼光鋭く貫禄があり惹きつけるものがあった。声を荒げることの少ない演技はリアルな苦渋を感じさせた。全体的に真面目で堅実な作りで、戦後九年目の日本の切実な空気を反映しているように思えた。

冒頭に1954年(昭和29年)時点の復興を果たした東京が映し出される。本編では「日本の一番長い日」にはなかった終戦直前の庶民たちの姿、東京大空襲で逃げ惑う様や靖国神社で玉音放送を正座で聴く女性たちが描かれる。そして終盤には、終戦の年に産まれた子どもたちの校庭での元気な様子に“子供たちがこれからの日本を築く”とのナレーションが入る。彼らは今年で78歳である・・・。

半藤一利によるノンフィクション「日本のいちばん長い日」(1965)のずっと前に本作が作られてたことは知らなかったし、隠れた秀作だと思う。ただし当時は資料が不足していたためか史実とは異なる点があり注意が必要。

※阿部豊監督は同年の「叛乱」(1954)で、制作開始直後に病で倒れた佐分利信監督の後継監督を務めた。
観る前は寝る気満々だったのに観始めたら普通に面白くてビビった。『日本のいちばん長い日』同様、宮城事件を扱った作品。日本の〜よりもコンパクトにまとまっていて、バカでアホな自分でも宮城事件について楽しく理解することができた。回想形式で始まる戦争映画って結構珍しいんじゃないかって思った。あと、天皇を直接映さないのが気になって仕方がなかった。まあこの映画が公開されていた頃には昭和天皇はまだ生きていたんだし、下手な描き方したら不敬になるからね…。でもやっぱ気になるわ。

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