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ショコラ
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『ショコラ』に投稿された感想・評価

3.8
 パンに丁寧にバターを塗りたくった横で、やおら土の上から生きているアリをバターの上に塗した料理を黒人のお手伝いが少女に食べさした時点で「やっべ~ぞ」となったのだが、それを食べるシーンがなくても十分伝わる心底ぞっとした場面でありながら、少女に蟻をひとしきり食べさせるクレール・ドニの演出がまったく正気の沙汰とは思えない。「痛み」の作家であるクレール・ドニは処女作から「痛み」の作家だったことの証左足り得る。やがて大人になったフランス(ミレーユ・ペリエ)は昔懐かしいアフリカ・カメルーンの地を訪ねる。行政官だった父親と自身との物語はほぼフィクションなしの実話だが、占領国時代の末期の人種的な立場がそれぞれの運命を狂わせて行く。50年代末期、カメルーンのフランス統治の小さな行政区に、マルク・ダランス(フランソワ・クリュゼ)は妻エメ(ジュリア・ボスキ)と娘フランス(セシル・デュカス)を伴って赴任した。彼らは黒人達の住むこの田舎町の唯一の白人家族で、マルクが監督区を巡回するためにしばしば家を留守にすることにより、残されたエメとフランスはそれぞれの時間を周りの黒人達の中で過ごしてゆくことになる。そのうちフランスは、使用人の黒人青年プロテ(イザアック・ド・バンコレ)と奇妙な友情で結ばれるようになり、一方エメは家事にいそしむことで夫を待つ辛さを紛らわす。

 未開の地を訪れる先進国の人々の視線はある種ギョッとさせられるような驚きに満ちている。当時の覆りようがない占領国時代の占領とは言葉を現代的な世界線で言い換えれば差別にもなり得るはずだ。黒人青年プロテはその中でマルク・ダランスに仕える誠実な下僕として献身的に汗をかく。下僕にとって主人の命令は絶対なのだが、主人の娘となる年端も行かぬフランスとなると別だ。クレール・ドニの生き写しのような、また当時の占領国の象徴として語られる記号=フランスを名前に持つこの幼女に対し、あろうことか冒頭にパンに塗ったバターの上に無数のアリを乗せるのだが、少女はわけもわからずにそれを頬張る。こうして占領国の「抑圧」は歴史的に我慢しているプロテの見えない「憎悪」を生み出して行く。その様子が決定的になるのはヘリコプターの墜落の場面に他ならない。黒人の中に混じって労働をする白人青年は触媒の意図をもたらし、かえって皮肉にもエメとプロテの関係を近付けて行く。然しながら当時の一般的な裁量で言えば、白人の男の役人がハーレムのように黒人女性を複数侍らせることはあっても、逆に女性から男性へのアプローチは極めて危険で、黒人男性側はバレたら投獄、及び処刑も辞さないような壮絶な関係だったのは察するに余りある。ある種の奴隷貿易的な恋愛関係は人々の価値が等価ではない。然しながら皮肉にも盛り上がる鬱々とした男女関係は白人青年の憎悪を掻き立て、全てはおじゃんになる。クライマックスの火傷の場面のゾッとする様な所業にクレール・ドニの本気さを観た。あのクライマックスの絶望的な断絶場面のおぞましいカタルシスにずっと胸を締め付けられるクレール・ドニの記念碑的処女作である。
izu
4.5
カメルーンのドゥアラへと向かう主人公・フランス。行く途中で、アフリカ系アメリカ人の男性とその息子に拾われ、車内にて彼女は過去にカメルーンで過ごした記憶を思い出す...。

クレール・ドニの監督デビュー作にして、彼女の幼少時代に基づいて製作された半自伝映画。

少女時代のフランスがカメルーン人の使用人プロテと交流し、フランスの母親・エメと辺りの人間関係、そして見えてくる人種問題(境界線)を描いたドラマ。

クレール・ドニ自身、監督デビューより前から映画に関するキャリアは多く、それあってか既にデビュー作「ショコラ」の完成度は非常に高かった。

どうにも超えられない異人種関係の複雑さを、現場から一歩引いた俯瞰するカメラで抑える。映画として最初から最後まで意識されているのは奥行き構図で、人物までの間にカメラがありその先に背景がある構図が作中殆どを締める。

徹底して奥行き構図が成されている事で、それぞれの場面は顔だけでなく追加して澄み渡る青空に橙色の地と緑、ショコラ色の肌によって背景は完成される。語らせるよりも己のカメラで語る。

クドすぎる程に徹底されたこの奥行き構図があまりにも心地良くて、過去回想から今へのカメラの繋ぎ方でトびそうになった。水で始まり水で終わるその構図もあまりにも美しい。

視聴 2025年5月8日
benno
4.5
広い陸の果てのアフリカの海…
褐色の浜辺に溶け込む
ショコラ色の肌…

海で戯れる黒人の親子を郷愁の想いで眺めるひとりの白人女性…彼女は回想に耽ります


植民地行政官の父親の赴任地であるアフリカの地を転々としたバックグラウンドを持つ女流監督クレール・ドニの自伝的作品…そして彼女の長編デビュー作です


1950年代終わりのアフリカ、カメルーン…行政官のマルクはそのフランス統治下の小さな村に妻エメと娘フランスを伴い赴任して来ます

黒人たちの住む地で唯一の白人家族…マルクは視察で家を空けることが多く、エメとフランスは黒人の使用人たちと日々過ごすことに…

その中でひと際目を惹くのは使用人のプロテ…凛とした佇まいに気品がありインテリジェントで美しい…監督のプロテに対する特別な思い入れが映像から伝わります

シッター役も任されフランスとの言葉遊びやなぞなぞなど…ふたりのシーンには口元が綻びます…ただ、蟻🐜は大切なタンパク源(?!)バターを塗ったパンにたっぷりの蟻はちょっと…ს

また、プロテのエメに対する憧憬や孤独なエメのプロテに対する密かな恋慕…闖入者リュックによって急き立てられたように高まるふたりの気持ち…実ることのない恋に胸がきゅ〰︎んと切なくなります

アフリカの大地の俯瞰映像も壮大で美しく、マジックアワーのパープル色の空…鬱蒼としたジャングルの樹々の横移動のシーン…漆黒の闇に聞こえるハイエナの遠吠え…素敵なナショジオの世界

そして奥行きを生かした人物を映し出す画は見事な配置で構図も素晴らしく…どことなくドニ監督が影響を受けた小津安二郎監督の画を観ているよう…


今作特に魅了されたのは、父マルクが娘フランスに《地平線》を教えるシーン

« Plus tu t’approches de cette ligne et plus elle s’éloigne. Tu vois cette ligne, tu la vois elle n’existe pas. »

      近づけば…遠ざかる
      見えるけど…存在しない


それは、あらゆるものの間の境界線…お金持ちと貧乏人、白人と黒人、主人と使用人、そして男と女…

父マルクの繊細且つおおらかなものの見方…黒人の使用人に敬意を表す姿勢はドニ監督自身に大きく受け継がれているのでしょう


フランスの手に残った火傷の跡…プロテが自ら示した境界線に彼の切ない想いと尊厳を見ました…

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