
世界から置いてきぼりをくらったような日本のすみっこ。 雑草だらけの田んぼに空っぽの家、小さな天文台と海、それに原発。 たったそれだけが私たちの世界だった 2014 年の夏。 捨てられたようなこの町で、心平はグルグルグルと歩きまわる。 福島のある小さな村に住む心平は、幼い頃から通っている天文台で働く妹と、兼業農家の父を手伝いながら暮らしていたが3年前に起きた原発事故によって農業が出来なくなってしまった。 以来、職を転々としてきた心平は、今は無職である。 父・一平は、そんな心平に軽度の知的障害があることに向き合えないでいる。小遣いをやるだけで、息子の未来のことを諦めている一平は、不本意な自分自身のことも酒でごまかしていた。 妹・いちごは、そんな呑んだくれの父と働かない兄のために家事をする日々に、ウンザリしている。母は、自分を産んですぐに家を出ていったきり、帰ってこなかったという。私たちは捨てられたのだ。と、いちごは、全部を恨んでいる。 そして、近所の住民から心平が避難中の家々で空き巣をしているらしい、と聞いたいちごと一平は、家を出たまま帰ってこない心平を追いかけてある場所へとたどり着く。 そこで見たものは、思いがけない光景だった―。
東日本大震災から数年後。長島県東方沖で巨大地震が発生し、長島第一原発が事故を起こしてしまう。酪農を営む小野家は警戒区域の圏外となるが、道一本隔てた隣家の鈴木家は強制退避に。そんな中、小野家…
>>続きを読むいつもと違う夏。 外で遊ぶ事を抑制されて生活している福島の子どもたちを、「保養活動」として招き入れる自然豊かな町で、少年テツオは元気に暮らしていた。ある日、福島の子どもたちに演劇を披露す…
>>続きを読む平和な田舎町で精米所を運営しているソック(キム・デミョン)は、30代だが8歳ほどの知能しかない。それでも、周りの人たちの協力を得て、不自由なく暮らしていた。ある日、父親を捜すために一人でシ…
>>続きを読む事故で視力を失った西村芳則(木村知貴)は、小さな港町で、ときに伯母(内田春菊)に面倒を見てもらいながら生活している。かつて同じ通りの家から一緒に通学していた同級生の大畑(高見こころ)は、東…
>>続きを読む港町、仕事を干され生活に困った兄は、自閉症の妹が町の男に体を許し金銭を受け取っていたこと を知る。罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄だったが、今まで理解のしよう…
>>続きを読む遠くない未来、地方で再び原発事故が起こった。しかしその隣町では一見変化のない生活が続いている。 ピストル型のライターで煙草に火をつけるチンピラの達也は、ヤクザの下で立入禁止区域の除染作業員…
>>続きを読む「未来のことはわかんないからさ、とりあえず良いことが起こることにしとこう。」 舞台は2020年11月17日。婚約をしたものの、コロナの影響で結婚式をすることができなかった20代の亮介(前原…
>>続きを読むぶどう農家を営む設楽龍馬は毎年冬になると家と畑を妻に任せて東京に出稼ぎに行く。龍馬のいない季節、妻のあゆみは義母と二人暮らしで、たまに龍馬に電話をしてもいつもぶっきらぼうに切られてしまう。…
>>続きを読む©冒険王/山城達郎