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『ユーリー・ノルシュテイン 文学と戦争を語る』に投稿された感想・評価

柊馬
3.4
ドキュメンタリーなんだけど9割インタビュー映像
映画としての評価というのではない。個人的な想いとしてです。また、マイナス要素の多い才谷氏という点に触れるつもりもない。『《外套》をつくる』でもそうだったが、ここでしゃべっているユーリ・ノルシュテインという人があまりにも魅力的であるからだ。変わらないなじじい。オンラインインタビューの映像のようにボヤけたりせず彼自身はまったくブレていない。こちらの通訳の声を押し潰すかのようにしゃべり倒している。彼にも立場的な追従も実際にはあるだろうと考えると政治についてとジブリについては当てにならない部分も出てくると思う。個人的にはどちらかといえば愛国心よりむしろジブリについてこそそうなんだろうと思った。だって、違いだかを振ったときに自作の深みのみを言っていたもの。

同日に『マリウポリの20日間』を鑑賞したのだが、「現地でこんなことがありました」の記録ならピューリッツァー賞の方面だけでいいだろ。こちらのほうが遥かに面白い。全世界から一瞬で敵になってしまったロシア側から見る戦争の視点がここにある。「資本主義が神である」「勝ち負けなんてどうでもいい支援国の漁夫の利」はっきり言って個人的には「金金金メイクマネー」ってギャングスタラップやってるくらいに低俗なものに政治というものがそもそも映っていますからよくわかる。戦争の実態の不可視性は恐ろしい(ウクライナが西に寄せ付けられたからロシアは侵攻したという背景)。そして、彼の根底にもあるように芸術という文化、とりわけ言語というもので作られた文学というものが絶対的正義(比喩です。心を豊かにし考える力をつけられ、相手を理解しようとできるもの)であることに揺らぎがない。埴谷雄高みたいな人だって当然いるが、そもそも政治と芸術は相容れないものなんだ。無駄で必要ないから豊かな創作に結びつくものと経済的必要性しか見ない政治に共通点なんてない。文化支援のくだりもあったが、そういえば北朝鮮は文化に力を入れていたと思う。結局、独裁者じゃないと無理なのだ。

ノルシュテインはサラッと常識かのように語る。「音楽というのは抽象的なもので、具体的なのは絵画だ」(建築だってそうだろう)こういったところに経験を感じる。「豪華な枯朽」だったかな。プーシキンの表現だと言っていたと思う。当然彼はロシア語で語り、芭蕉や一茶をロシア語で読んでいるはず、ここに翻訳という陥穽がある。作中でゴーゴリが作曲家と表現されるがプーシキンだって『エヴゲーニイ・オネーギン』という韻文小説が代表作に当たる。Au Hasard Balthazarではないが押韻なりなんなりが確実にあるはずだ。われわれは『外套』でもそれには触れられない。逆に俳句の素朴さに惹きつけられるという彼(本質を押さえてるなあ)は五七五にさえ本当のところは触れられない。それは漱石が英語で鬱になったように。故にノルシュテインがロシア人として語るロシア文学にはとても意味があると思う。日本でドストエフスキーに当たる人って誰だろう?芥川かな。なんにせよ「ドストは悪用される」わかるわかる。「プーシキンは若者も知る」漱石ってとこかな。とある程度置き換えて捉えなきゃならないと思った。
Mayuko
-
最近米原万里さんの本を読んだこともあり、ロシア文化に興味が湧いていたところだったので見てよかった。
ロシアについての話はもちろん、俳句・映画・絵画など日本の作品について話している部分も興味深かった。アフタートークは結局観客から質問できる時間がなかったが、時間があったら一番好きな日本生まれの作品について聞いてみたかったな。川本喜八郎との京都巡りの話はほっこり。

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