近未来の地球。人類は、環境の崩壊と資源不足に悩まされていた。
政府が親子関係を管理。出産は人工子宮によってのみ許可されている。
赤子を希望する夫婦は、審査官から与えられる「7日間の課題」に取り組み、合否を受けとる必要があった。

監督は、フルール・フォルチュネ。
脚本は、デイブ・トーマス。ネル・ガーファス・コックス。ジョン・ドネリー。
2024年に公開されたSFスリラー映画です。
※他とは似ていない物語の、大まかな流れに触れて感想を書いています。⚠️

【主な登場人物】👶✍️
［アーリアン］夫。
［バージニア］審査官。
［ミア］妻。

👧🏽来客。
［アメリア］子供。
［イーヴィー］年配の女性。
［ウォルター］黒人男性。
［セレナ］白人女性。
［ホリー］黒人女性。

【概要から感想へ】🏜️🏊‍♀️
フォルチュネ監督は、詳細不明の黒髪女性。
本業はミュージックビデオ。
(わりと物語性が高くて、短編に近い)
短編が4本ぐらいで、今回が長編映画監督デビュー作です。

脚本のトーマスとコックスが19年連れ添っている夫婦。
ロンドン在住。
監督や脚本業を細々とつづけている。
今回の脚本がShore Scriptsでグランプリを獲得して映画化へ。
(ググって見つけて応募したらしい)
撮影が行われたドイツの映画基金とNWR財団が6億円の資金援助をしてくれて、製作費12億円の中規模に成長。

タイトルであるアセスメントは、日本語だと「評価」

🏦〈序盤〉🥣🦧
子供を任せられるのかテスト。
幼女役の審査官が成人女性なので、独特な内容が展開される。
・三角関係のドロドロ恋愛もののような側面があり。
・障害者の子供を長く世話した状況を疑似体験、のようでもある。

あれか。目隠しや重りをつけて、「障害者疑似体験」の、世話役のようなものか。
ん？　ふつうに介護職員の研修を映画にしたものに近いかも。

演技力の見せ所。
地味で低予算を想定した内容のわりに、出演者が豪華だな、と思えば、役者依存の内容。
舞台は居住空間とその周辺に限定され、演劇を彷彿させてシンプル。役者にとっては、代表作として名刺代わりにできるので、出演したい人は多いだろう。

・妻、ミア役。エリザベス・オルセン。MCUのワンダ。
・夫、アーリャン役。ヒメッシュ・パテル。
・審査官、バージニア。アリシア・ヴィキャンデル。『エクス・マキナ』
(SF繋がり)

基本は子供を見守る親視点で楽しむ映画なので、ほぼ、バージニアで出来ている。
こんなに優れた演技力を有していたのか、と圧倒される。
「どんだけ、甘やかされて育ったんだよ」で、
彼女が演じる幼女の憎たらしさ、といったらない。
評価のほとんどで試されているのは“忍耐力”。大らかさと愛情。自然体での継続力が求められる。

🏦〈中盤〉🛏️🏕️
社交性。
追加キャラが登場して、他人との接し方。主にしつけについて。
親戚か、夫婦の友人が遊びに来たようなシチュエーション。
子供の態度から、普段どんな生活をしているのか、が透けるので親としては、まさにテストであり、羞恥心をえぐってくる。

じょじょにエスカレートする審査内容。
ネタ自体は終盤と被っている。

🏦〈終盤〉🪻👨🏽‍🍼
最終試験。
少年漫画と同じで命がけの実践編へ。
試験と現実が重なってゆく。

絵作りはオーソドックスなクライマックスでありながら、テーマと夫婦の癖が上手く消化されている。

子供か、生き甲斐か。
生き甲斐を選べばネグレクトで、子供の人生オワタ。
子供を選べば、それまで人生をかけて取り組んできたプロジェクトを失うはめに。
究極の問い。
世界中の誰しもが通る分岐点であり、ローカルな情報に依存しない、普遍的な内容を提供してくれている。

【映画を振り返って】🏚️🛋️
左が喜びそうな魅力的な世界観。
気候変動で地球は暮らしにくく、野菜や植物は貴重品となり、環境ホルモンで子供も生まれない。
脱炭素を放棄したらディストピアが待っていますよ、と警告している左翼芸術家の匂いがして、居心地がいい。
夫婦は2人とも研究職だし。

独身でも楽しめる。
だれにでも親がいて、子供時代があるので、子育て経験者じゃなくても記憶は蘇ってくるだろう。
SFと育児の組み合わせも良好で、アート系の舞台を観ているようなルックもあり、価値のあるものを体験しているような満足感が得られる。

押し寄せる育児のストレス。
複数でアイデアを出し合って、あらゆるシチュエーションが短時間に詰め込んである。
それぐらいで、実際の新米親を疑似体験するには丁度いいのかも。
夜泣きしたら24時間耐久だし。

🔨特徴としては、
苛め、悪戯、破壊、甘え、愛情が現象として多く立ち昇ってくるので、
癖が合う人であれば。
とくに「破壊」への関心が高く、本来のテーマであるはずの「親の適正評価」よりも比重が大きいのでは？　と思う程徹底的にこだわっている。

わざわざ夫、アーリアンの額に古傷を入れる特殊メイクがすべてを表している。

1ヶ所だけ。ジャンプスケアのようなショットが入るのだが。そこのインパクトが強く、どうしても好きになれずに評価が下がる。
やっていい事と悪いことがある。話の流れを考えると、ヴィジュアルでダイレクトに表現できているので重要なのだろうけど、不快だった。

🏢3幕が独特。
通常は落ちに入る流れで、エピソード2が始まったかのように、次の物語へ。
バトルロワイヤルの後に、開催している組織を潰しにゆくような。
適正審査の真相篇がはじまるので面食らう。90分ではなく、115分たっぷり尺をとってあるので、こってりしている。

長く感じる人もいるだろうけど、わたしは結構楽しめた。
不条理なシチュを用意されるのって、その先。イベントを仕掛けているスタッフの裏側が知りたい、の欲求が強いため。

🧑‍🤝‍🧑自分たちを自虐的に描く。
夫婦喧嘩が多い。
美化している要素に乏しく、ネガティブな側面を全面に押し出している。
ありのままともとれる。
売れていないし、実績もないのでそこで勝負するしかない。
劣等感が生み出す深い闇と向かい合い、そこから再生してゆけるのかの物語。

共同脚本の醍醐味として、2人の価値観にずれがあり、それが物語を上手く転がしている。
妻ミアは動物の本能で動いて感情的。夫アーリアンはわりと冷静で、理性で動いている。
ステレオタイプな配役ではあるが、実際の夫婦が書いている強みがあるので、説得力がある。

👂お悩み相談の聞き役に近い。
有名な過去作をなぞればいいので、理想のエンディングや気持ちいい映画体験を提供するのは難しくない。
それが、お悩み相談を受けた際の「正論で返してはいけない」に通じる。
夫婦は愚痴を聞いてもらうことを目的にしているので、答えを求めていない。

劇中の夫婦自体が審査官であり、幼児。映画を通して観客の忍耐力が試されている。
「私達夫婦を受け入れられますか？」と。
審査員の理解力を試して、神経を逆なでする。
応募者が逆に審査するのも心を揺さぶるための有効な手段か。

うちらも提出したレビューを通して、親としての適正があるかどうか、夫婦に審査されている。
パートナーに本作を観るようにお願いして、後で感想を尋ねるといい。
心理テストと同じように、面白い結果が得られるかもしれない。
それが原因で関係にひびが入っても責任とれませんけどね。

• #hasisiのSF
• #hasisiの心理

>
映画鑑賞メモ
20250518
>
_The Assessment
_Directed by Fleur Fortune
_娯楽★★☆☆☆
_前衛★★★★☆
_瀟洒★★★★★
_感情★★★☆☆
_社会★★★★☆
>
ディストピア、資源枯渇、人口管理、人工授精資格試験、抑圧、監視社会...
>
どうも試験内容がデタラメすぎちゃってね...
>

• #夢見る少年プロジェクト
• #映画芸人

珍しい系統の映画で面白かった
近未来の世界を描いた作品
色々考えさせられるメッセージ性がある
日本も世界もどんどん子どもが減っていずれ誰もいなくなってしまうんだろう
全体評価が低い理由が分からない
普通に楽しめました