
スコットランドの郊外に広がる巨大な物流センター。ポルトガルから移住したオーロラは、そこで「ピッカー」として働いている。スキャナーの指示に従い、無数の通路を歩き、棚から商品を取り出す。その単調な反復が、一日の大半を占めている。同僚たちとの会話は、休憩中のほんのわずかな時間だけ。勤務を終えると、彼女は疲れた体を引きずり、移民労働者たちが暮らすシェアハウスに戻る。一人きりの部屋で一息ついてから、狭いダイニングで夕食をとる。住人同士の交流は表層的で、関係が深まることはない。寄る辺のない日々が、淡々と続いていく―――。そんなある日、オーロラは不注意からスマートフォンを壊してしまう。職場の連絡手段であり、時間を埋めるための“相棒”でもあった文明の利器を失ったとき、彼女の日常はゆるやかに、けれど確実に形を変えていくのだった―――。
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