neokamakiri

未完成の映画のneokamakiriのレビュー・感想・評価

未完成の映画(2024年製作の映画)
3.0
恥ずかしながら初鑑賞のロウ・イエ監督作品。
コロナの最先端にあった武漢で、突然にロックダウンに見舞われた映画クルーたちをドキュメンタリーチッチで描く。前情報無しに鑑賞したが、カメラマンたる第三者の存在を隠さない点がやや解釈に苦しむが、実際の映像を再現映像に掛け合わせながら、勢いで見せる。

改めて家族が一番だと悟ったことや、全館消毒依頼かけたなとか思い返す。実際にやることが無かった事実の再現として、緊迫感ある環境下ながらの余白のある演出が、海外とZoom飲み会やったな、オンライン社内旅行やったなとか、自分自身に重ね合わせてその時を振り返る時間を与える。幸い私は近親者を失くすことは無かったが、人それぞれに思いを馳せるだろう。

発祥の地とされた(今もトランプがぶり返している)武漢の地で、何が起こっていたのかを見せつけた点も興味深い。春節を迎えるその時の再現映像と、数々の実際の映像の組み合わせ、この緩急の付け方は巧い。

一方、コロナ禍に入るまでがいかんせん長く、監督の作品を見たことない人間としては、興味のない映像が続く点は人を選ぶ。李文亮氏の事実やコロナ禍初期の中国の知識がもう少しあれば、見方は変わっただろうと思う。
なおシチュエーションこそ異なるが同種の作品としては、「聖なるイチジクの種」「TATAMI」の方がバランスがとれており、個人的には好み。1/3ぐらいの時間を割いている主人公の、家族のその後は描いて欲しかった。
0件

    いいね!したユーザー

    neokamakiri

    neokamakiri

    2023年3月5日以降に主に劇場で鑑賞した作品を記載。2024年度は劇場で98本鑑賞。 採点は以下を目安に、0.5点単位で採点(それより細かくは刻む能力は無く) ☆×5-4.5至極の一品達。必見(…

    2023年3月5日以降に主に劇場で鑑賞した作品を記載。2024年度は劇場で98本鑑賞。 採点は以下を目安に、0.5点単位で採点(それより細かくは刻む能力は無く) ☆×5-4.5至極の一品達。必見(年間10本水準) ☆×4 劇場で観るべき、愛らしい作品群 ☆×3-3.5 映画館での鑑賞に足りる、満足できる作品群 ☆×2-2.5 一般的には劇場での鑑賞を勧めないレベル ☆×1-1.5 逆の意味で見るべき、愛苦しいバカ映画 2023年度はベスト1 怪物、2 女優は泣かない、3 スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース