脳性まひの息子ルッカを何としてでも助けたい母親バルバラが、ある実験的治療を受けさせるために家族とともにインドに向かう物語。

小児脳性麻痺の子供を持つ、バーバラ・アンダーソン自身の自伝的著書を映画化した作品だそうです。

この一家が住むのはメキシコ。インドで治療を受けるのは、一般家庭にとってかなりハードルが高いことだというのは想像に難くありません。

その治療はまだ実験段階で、はるばるインドまで行って治療を受けたとしてもルッカに効果があるかはわかりません。

また、バルバラは出版社勤務ですが、夫（ルッカの父親）は無職、なかなか仕事が決まりません。ルッカの下には弟もいます。

渡航費や治療費を考えるとなかなか簡単に決断できるような話ではありません。夫は費用のことを考えインド行きは諦めるよう諭しますが、バルバラは何としてでもルッカのためにインドに行きたい。そんな母親バルバラの「息子を助けたい」という強い想いに圧倒されました。

バルバラはルッカに障害があるのは自分のせいだとずっと自分を責めながら生きていたんだと思います。治療方法はないと思っていたところに、一筋の功名の光が差し込んだのなら、それが効果があるのか保証はなくても、いや、もしかしたら騙されているのかもしれないけれど、藁にもすがる想いなのもわかります。でも、自分なら果たして同じような決断ができたのかなと思いながら鑑賞していました。バルバラ、同じ母親として尊敬します。

ところで、夫は無職なのですが、それはもしかしたら右足が義足だからかもしれません。初めはインド行きを断念しようとしていましたが、夫も最終的にインド行きに賛成したのは自身のそのような事情も関係したのかもしれません。

この義足はまさかCGじゃないよね？と思って調べたら、この俳優さんが実際に義足とのことです。

そして、何と言っても驚きなのがルッカを演じた俳優さん。あれは演技なの？恥ずかしながら、私は脳性麻痺というのがどのような症状なのかよくわかっていないのですが、これってドキュメンタリー映画だったっけ？と思うほどのリアリティで、実際に脳性麻痺のお子さんが演技されているんでしょうか？ルッカの純粋でとても大きな目が印象的でした。

最後のほうはちょっと駆け足で話が展開していき、その辺りをもう少し深く描かれていたらなとは思いましたが、とても良いお話でした。出産、そして新しい命が誕生するというのは本当に奇跡ですね。



以下ネタバレあり






治療のおかげでルッカの表情がどんどん変わっていき、ついには「クマール」と声を発した場面はもう涙なしには見れませんでした。

そして、ラストで「ママ」と言ったのはもう号泣でした😭



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脳性麻痺をもつ息子のルッカを助けようと母親であるバルバラは、インドで実験的な治療法を行っていることを知り家族全員でインドへと向かう。そこでルッカは治療を行い、発作をおこしながらもルッカは少しずつ成長していく。
母親のバルバラの行動力、父親のアンドレの献身的なサポート、弟のブルーの面倒見があって、ルッカに奇跡が起こったように感じます。実話なので、ルッカがさらなる成長することを願います。

出産時の身体的トラブルで重度の脳性麻痺となった息子ルッカを救うために未認可の治療を試みる母親バーバラと家族の奮闘。ノンフィクションの原作があるので実話ベース。タイトル中の「半球」は左右の大脳半球のことを指している。

息子のケアについて時には盲目的になりがちな妻と現実的になり過ぎる夫とが衝突することもある。だが、最後は我が子のためなら何でも差し出す覚悟のある妻の提案を夫が尊重する。息子のために互いに協力し合う夫婦の姿は麗しい。子どもの状態を少しでも良くしたい、更に出産時の負い目も感じている母親としてごく自然な気持ちに甚く納得。様々な困難を乗り越え行動に移していく熱いバーバラには圧倒された。

見ていて件の治療法には何処となく如何わしさが漂っていたが、やがてその理由が明らかになる。未認可の医療行為に絡む意外な問題が現実となっていき興味深く見入った。後半はもっと尺を取っても良いので、この応用科学研究に付き纏う社会的問題の決着をもう少しハッキリ見せて欲しいと思った。ちょっと焦点がぼやけた印象になってしまって惜しい。

《覚え書き》
息子ルッカの脳性麻痺は脳室周囲白質軟化症と診断。
“サイトトロン”は回転場量子磁気共鳴(Rotational Field Quantum Magnetic Resonance=RFQMR)装置の一種。登録商標。