この映画は何回も観ているが、今回観た《4Kデジタルリマスター修復版》は細部まで綺麗なこと、この上ない✨
冒頭の映画タイトル場面からして映倫表記もクッキリしていて、若尾文子はじめとする登場人物の鮮明な映像が素晴らしい。
Blu-rayには「ブックレット」と「復刻チラシ」が封入されているが、ブックレットによれば「㈱KADOKAWAが保管する３５ｍｍオリジナルネガフィルムを元素材としてフル4Kで修復を行いました。画像の修復は、4K解像度でネガスキャンを行い、キズや汚れを除去しつつ、グレーディング（色味の調整）を実施。音声修復はデジタライズ・ノイズ除去を実施。本復元にあたっては、大映の調子を良く知る宮島正弘キャメラマンに監修頂きました」との説明あり。
根気の要る作業だったと思うが、おそらくオリジナル版にかなり近い映画になっていると思われる。

本作では、やはり若尾文子の悪女ぶりが際立っており、その美しさにも瞠目させられる😍💕

ヒッチコックの「裏窓」のようにカメラが公団住宅からは出ることがなく、やはりヒッチコックの『ロープ』のようにワンセットで俳優たちが演じるドラマになっており、名優たちのやりとりによって内容充実した映画になっている。

Blu-ray付属のブックレットによれば、「本作は新藤兼人原作・脚本だが、発表されてから３年半もの間、お蔵入りされていた」らしく、本作監督の川島雄三が追加したのは「インチキ外人ジャズ歌手＝小沢昭一」のパートだけらしい。
確かに、内容は舞台向きであり、映画化には向いていない感のある内容だが、本作では撮影する際に「部屋の中のいろんな角度から撮影」してみたり、「公団住宅の廊下からの隙間・穴を利用して撮影」してみたりして、なかなか独創的なアングルでの映像が散見される。

また、部屋付近からかけ離れた風景として「長くて白っぽい階段場面」では、登場人物が心情を吐露する空間として新鮮で鮮烈な名場面と言えよう🌟

内容は、息子と娘に金儲け第一主義をさせている夫妻（伊藤雄之助・山岡久乃）とその子供達（浜田ゆう子・川畑愛光）の金銭搾取を描きながら、更に彼らの遥か上を行く守銭奴の会社会計係（若尾文子）を巡って、彼女に貢いだ男達も描かれる現代ドラマ。
若尾文子は自信をもって言う。「会社の使い込みなどが知られれば、会社は徹底的に調べられるだろうが、自分にそれが及ぶことは無い」という知性的悪女の面も見せる。

若尾文子本人は、以前トークショーだったかで「この映画は、撮り終わっても、何を描いているのか良く分からなかった」と話をされていたが、個人的には素晴らしい作品だと思う🙂✌️

＜映倫Ｎｏ．１３０２８＞

• #若尾文子_Jimmy

テレビの台頭もあり、翳りを見せ始めた日本の映画及び撮影所の技術を、なんとか称揚しようとする試み。蛍光灯の照明のこだわりの無さをくさす場面は失われていく技術への誇りが垣間見える。そして、撮影においては狭い日本家屋で撮影してきた撮影所の技術を、シネマスコープを駆使して、団地になんとか転用しようとする。

家族ぐるみで汚い金稼ぎを続けるある一家のお話。

タイトルから艶っぽい話を想像していたが意外や意外なワンシチュエーションコメディ。

父・伊藤雄之助のある一言で静寂に包まれる場面が印象的。

登場人物皆がふてぶてしく生きる中、終盤ついに出てきた彼だけは…