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ヴィヴァルディと私の作品紹介

ヴィヴァルディと私のあらすじ

1716 年、ヴェネツィアのピエタ院。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリア(テクラ・インソリア)は、母の姿も愛情も知らずにこの院で育ち、毎晩こっそりベッドから抜け出してはろうそくの灯りで、宛名のない母への手紙を綴っていた。院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされ結婚するかしかなかった。そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディ(ミケーレ・リオンディーノ)がヴァイオリン教師として赴任すると、卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命する。ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか二人は心を通わせるようになる。そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻り、結婚が迫ったある日、事件が起こる……。

ヴィヴァルディと私の監督

ダミアーノ・ミキエレット

原題
Primavera
製作年
2025年
製作国・地域
イタリアフランス
上映時間
110分
ジャンル
ドラマ音楽歴史伝記
配給会社
彩プロ

『ヴィヴァルディと私』に投稿された感想・評価

kuu
3.9
『ヴィヴァルディと私』
原題または英題 Primavera
製作年 2025年。上映時間 110分
映倫区分 G製 
作国 イタリア・フランス合作
世紀初頭、作曲家アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi)がベネチアのピエタ院にバイオリン教師として赴任した実話を題材に、彼の指導のもと才能を開花させていく孤独な少女の成長と、己の才能が評価されることを渇望するヴィヴァルディの内なる野望を描いたドラマ。

1716年のヴェネツィア共和国。
絵葉書にあるよなフェルゼ(屋根付)のゴンドラやシャンデリアに煌めく変装劇を期待して観ると、嗚呼、見事に鼻面をくじかれます。
ここで描かれるんは、湿気とカビの臭いが立ち込めるよな水の監獄としてのピエタ慈善院でした。

​社会から見捨てられた名前のない少女たちの前に現れるヴィヴァルディは、上品な巨匠じゃなく、己の頭蓋に鳴り響く完璧な音響を形にするため、少女たちの指先が擦り切れようが知ったこっちゃないって、業の深い芸術家でした。
この生々しさが、歴史の埃を払うようなリアリティを作品に与えています。

​今作品の通奏低音となっているんは、キャストたちがバロック・ヴァイオリンの猛特訓を経て放つホンマモンの音響です。
松脂が飛び散るよな力強いボウイングが繰り出すアタック、ハイポジションへ滑り込む緊迫したシフトの擦過音、演奏の合間に漏れる荒い呼吸がそのまま生かされています。

​第一ヴァイオリンの座をかけて少女たちが火花を散らすシーンで流れるんは、
『トリオ・ソナタ ニ短調 作品1の第12番「ラ・フォリア」』(RV 63)。
同じ旋律(主題)が繰り返されるたびに装飾音が増え、テンポと激しさを増していくこの構造は、単なる技術比べじゃなく、孤児という同じ境遇にありながら、一握りの光を掴み取ろうと互いのプライドをぶつけ合う、少女たちの剥き出しの執念と焦燥感そのものが、うねるような弦の響きとなってスクリーンから溢れ出してました。
彼女たちにとって弓は楽器ではなく、この理不尽な世界を生き抜くための抜き身の剣そのもの。

​ヴィヴァルディが確立した協奏曲(コンチェルト)のスタイルは、ソロ(主役)とトゥッティ(その他大勢)の対話、つまり現代のボーカルとバックバンドの関係にちょい似てるかな。
彼は300年も前に、最高のガールズバンドを率いていたプロデューサー。
現代のジャパニーズポップス限定で例えるなら、秋元康の組織構築力に、小室哲哉のJ-POP量産スピードを掛け合わせ~の、さらに椎名林檎のドロっとした美意識で味付けしたよな存在って云えるかな。

​作中で頻繁に挿入される『弦楽のための協奏曲 ト短調』(RV 152)の重々しくも疾走感のあるリトルネッロ形式(何度でも帰ってくる、お決まりの強烈なフレーズ)のリズムは、ピエタ慈善院という逃げ場のない閉鎖空間の息苦しさを代弁してるよう。
しかし、少女たちが一斉に同じフレーズをユニゾンで刻む瞬間、それは個人の孤独がかき消され、ひとつの巨大な生き物となって社会に反旗を翻すような音による自己主張へと変貌します。

​この独特の推進力とドラマ性は、他でもない、彼が毎日向き合っていた行き場のない少女たちの情熱と、内に秘めた狂気から得たインスピレーションそのものじゃないかな。
ヴィヴァルディにとって、彼女たちの飢えたエネルギーこそが、五線譜のポリフォニーに命を吹き込む最高の燃料やったに違いない。
規律に縛られた叫びを吸い上げることで、彼の音楽はあの爆発的な熱量を生み出していたのだと得心がいきます。

​少女たちは神を称える美しい旋律を弾くことを求められながらも、未来を選ぶ権利は剥奪され、カーテンの向こう側にいる貴族たちは、彼女たちの音楽って商品には大金を払うが、その人生には興味がない。
音楽は心を豊かにするものという常識の裏にある、表現者たちの残酷な現実が浮き彫りになります。 

​映画の原題であり、クライマックスを彩る不朽の名曲『ヴァイオリン協奏曲「春」』(RV 269)。
一般に『四季』として親しまれるこの曲ですが、今作品における「春」は、のんきな季節じゃなく、冬の間に積もり重なった分厚い氷をバキバキと叩き割り、痛みを伴いながら芽吹く、激しく残酷な生命の衝動やと小生は認識してる。

​ヴィヴァルディが少女たちの閉ざされた人生から汲み取った変革への渇望。
それが音楽という翼となって、彼女たちに本物の自立を促す。 
エンドロールが流れる頃、耳慣れたはずの「春」のメロディは、全く違う、スリリングで切実な響きを持って胸に突き刺さるはず。

最後に余談ですが、ティツィアーノ・スカルパの小説『Stabat Mater(邦題:ヴィヴァルディと私)』を原作とした今作品は限り無く正史に近いフィクションです。
その舞台設定やヴィヴァルディの立場、当時のヴェネツィア共和国の状況については、驚くほど緻密に歴史を再現してるんじゃないかと思います。

​また、主人公のチェチリアは架空の人物やけど、実際のヴィヴァルディには、アンナ・ジロー(アンニーナ)って云うお気に入りの優秀な女性歌手(愛人とも噂された弟子)が実在しており、彼女を連れて旅をしたことで当時はスキャンダルにもなった。
映画のチェチリアは、そうしたヴィヴァルディを揺り動かした才能ある少女たちの象徴と云えるんかな。

​作中じゃ、己の音楽を完成させるために少女たちを追い詰める冷徹な芸術家肌として描かれるヴィヴァルディですが、擁護するなら実際の彼は、院の経営難から何度も解雇と再雇用を繰り返されるなど、かなり現実的な苦労人でもあった。
そんな彼の泥臭い現実と、五線譜の上の狂気を知ってから今作品を振り返ると、あの「春」の旋律がさらに深く、生々しく胸に響いてくるような気がしてなりません。


あらすじ・キャスト
1716年、ベネチアのピエタ院。母の姿も愛情も知らないまま育ったチェチリアは、毎晩こっそりベッドから抜け出しては宛名のない母への手紙をつづっていた。ピエタ院から出て外の世界で暮らすには、母が迎えに来るか、貴族と結婚するしかない。そんな中、ピエタ院にバイオリン教師として赴任したアントニオ・ヴィヴァルディは、チェチリアの卓越したバイオリン技術を見いだし、第一バイオリンのリーダーに任命する。チェチリアはヴィヴァルディのもとで厳しい練習に耐えながらバイオリンの腕を磨き、いつしか2人は心を通わせるようになる。しかし、ピエタ院がチェチリアの結婚相手に定めた将校が戦争から戻り、やがて事件が起こる。イタリアのテレビドラマ「アート・オブ・ジョイ」で注目されたテクラ・インソリアがチェチリア、「眠れる美女」のミケーレ・リオンディーノがヴィヴァルディを演じた。監督・脚本を手がけたのはイタリアを代表するオペラ演出家で、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックの開・閉会式でクリエイティブディレクターを務めたダミアーノ・ミキエレット。
3.9
実在したヴェネツィアの孤児院「ピエタ院」が舞台。バロック音楽後期の著名な作曲家でヴァイオリストのヴィヴァルディが18世紀初頭にヴァイオリン教師として赴任した実話を題材に、彼の指導のもと才能を開花させていく孤独な少女の成長と己の才能が評価されることを渇望するヴィヴァルディの内なる野望を描いたドラマ。

監督・脚本を手がけたのは、イタリアを代表するオペラ舞台演出家で、ミラノ・コルティア冬季オリンピックの開会式のクリエイティブディレクターを務めたダミアーノ・ミキエレット。TVドラマで注目されたテクラ・インソリアが映画初主演。「眠れる美女」のミケーレ・リオンディーノがヴィヴァルディを演じている。

主人公の少女は架空の人物だが、当時の厳格な身分制度や歴史的背景を忠実に再現していて見応えがあった。過酷な環境の中で音楽を通して希望と自由を求めた少女たちの姿が、美しいヴァイオリンの音色とともに胸を打つ良作。

1716年のヴェネツィアのピエタ院。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリア(テクラ・インソリア)は、母の姿も愛情も知らずにこの院で育った。院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見い出され、結婚するしかなかった。そんな中ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディ(ミケーレ・リオンディーノ)がバイオリン教師として赴任すると、卓越したバイオリンの技術を持つチェチェリアを見出す。厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕が上がっていくチェチリア。そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻って来る。そして結婚が迫ったある日、事件が起きる。

ヴィヴァルディは、死後長らく忘れられた存在だったらしいが、20世紀に入り再発見されている。ヴィヴァルディの作品の中では協奏曲「四季」が有名で、その中でも「春」は誰もが一度は聴いたことのある名曲。このピエタ院では多くの音楽家が指導に当たった中で、ヴィヴァルディが就任してからは、優秀な女性のヴァイオリストや名歌手を輩出している。色々な場所に招かれて演奏する彼女達が水の都の運河を進むゴンドラに乗り、現在では街全体が世界遺産の美しい歴史的な街並みをゆっくりと映し出していて、映像的にも楽しめた。

赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリアが母が迎えに来てくれるのをひたすら待ちながら、毎晩ベッドから抜け出して蝋燭の灯りで宛名のない母への手紙を綴っていた。その時代「スカフェータ」と呼ばれた回転式の赤ちゃんポストが備えられていて、預ける親の多くはいずれは引き取りに来ることを前提として形見の品を添えていた。殆どの親が引き取りに来ることはなかったらしいが、「ピエタ院」跡に建てられた高級ホテル「メトロポールホテル」のバーには、今でも赤ちゃんポストの跡が残されているらしい。

限りなく正史に近いフィクションというのが興味深い作品だった。厳しい女性教官もまた孤児院の出身者で、孤独なチェチリアの一番の理解者だったとわかるラストが感動的で心救われた。
月
4.0
ダミアーノ・ミキエレット監督
(イタリアを代表するオペラ演出家)
原作:ティツィアーノ・スカルパ
脚本:ルドビカ・ランポルディ、ダミアーノ・ミキエレット
原題または英題:Primavera

チェチリア:テクラ・インソリア
アントニオ・ヴィヴァルディ:ミケーレ・リオンディーノ
監事:アンドレア・ペンナッキ
院長:ファブリツィア・サッキ

18世紀初頭、作曲家ヴィヴァルディがベネチアのピエタ院にバイオリン教師として赴任した実話を題材に、彼の指導のもと才能を開花させていく孤独な少女の苦悩と葛藤を描いたフィクションドラマ
(2026年公開 イタリア・フランス合作 110分)

水の都ベネチアというロケーションに、この時代のファッション!美術!✨✨✨
そして上質な音楽!!!

眼福、耳福の時間を過ごせました♪

うって変わって物語は…
1716年、ベネチアのピエタ院が舞台
このピエタ院にいる孤児の女子たちが外の世界で暮らすには、母が迎えに来るか、貴族と結婚するしかない
それまでは、院附属の合奏・合唱メンバーとして院が開催するコンサートの収入源を担う
そのピエタ院で暮らす孤児でバイオリニストのチェチリアは、教師として赴任してきたアントニオ・ヴィヴァルディに第一バイオリンに任命される
それまで彼女は、
自分は、ピエタ院が決めた相手と人身売買のような結婚をし、バイオリンもやめてピエタ院を出るものだと思っていたが…
と進みます

孤独で、自分に自信のなかったチェチリアがバイオリンの才能を認められ、誰かに賞賛さることへの歓びを芽生えさせていく描写がとても丁寧で
彼女がバイオリンを続けたいという思いに駆られる気持ちも伝わりました✨

ただ、ヴィヴァルディと心を通わせる描写、エピソードが個人的には弱く感じ、
彼女の行動が私利私欲、自己中心的に思えてしまい
ラストに向けてのエピソードに若干、悪寒が…
↑自分には考えられない行動を選択するものですから…💦

ラストもやや強引にも感じました

それでも
エンドロールでヴィヴァルディの「四季 春」が流れた瞬間に涙が溢れました

残念に思う部分はありますが
チェチリアの姿に、
そして、実際のヴィヴァルディの人生に
感じるものはあった作品でした✨

改めて、音楽のもつチカラの偉大さにも感動しました♪


〈どうしても言いたい一言〉
子猫にあんなことをする人が良い人のはずは絶対にないんです!!!
私は、一生許さん!💢


26-253-127

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