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聴覚
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聴覚の作品紹介

聴覚のあらすじ

騒音を測定するデシベルメーターを設置する技師を主人公に、森の中の村で展開される奇妙な出来事を驚異的な映像で描いた作品。

聴覚の監督

レ・バオ

原題
Thính Giác/Hearing
製作年
2026年
製作国・地域
ベトナム、シンガポール
上映時間
128分
ジャンル
ドラマ

『聴覚』に投稿された感想・評価

[ベトナム、感情に耳を澄まして] 60点

2026年ロカルノ映画祭コンペティション部門選出作品。レ・バオ長編二作目。前作『Taste』はベルリン映画祭エンカウンターズ部門に選出され、審査員特別賞を受賞するなど国際的な評価を得たが、許可なく映画を提出したことで製作会社が罰金処分となったり、ヌードシーンが多すぎるせいで本国で上映禁止になったりしたらしい。5年ぶりの新作である本作品はベルリンではなくロカルノのコンペに登場。今年のベルリンは常連に冷たい対応をしており、それに巻き込まれたのか?と思ったが、そもそもがロカルノ系の人のような気もする(ベルリンに選出したのもロカルノ出身Dだし)。物語はある中年男性ニンを主人公としている。彼は飲み屋から森の中まで様々な場所に音量計と一定の音量を越えると青く光るライトを設置する仕事をしている。今は老母と一緒に暮らしていて、二人の子供は元妻が新しい恋人と共に育てている。老父も健在で、田舎でキノコ農家をしており、ニンはたまに彼に会いに行っている。両親が分かれた理由は老父によるDVだったが、結局それを間近に見ていたニンも同じ理由で離婚することになったのだった。そんな彼らの交流が、前作同様の恐ろしく静かな空間の中で行われていく。今回も固定カメラの長回し主体だが、前作のような薄黒い部屋は少なめで森の中が多いので、ペドロ・コスタというよりはアピチャッポンに近い気がする(料理ばかりするのでツァイ・ミンリャンっぽさは健在)。LBでは"ヤク中のための『メモリア』"とか言われていたのもちょっとだけ納得。寧ろ、静かすぎてシュール劇みたいにもなってたので、顔色の良いロイ・アンダーソン説まである。静かにゆっくりと時間が流れることで、そこに切り取られる人々の全ての動作と感情の機微を厳かに捉え直そうとしているようにも見える。そして、そこから発生する音にも目を向け可視化していくような試みだろうか(音を青い光に変換するのもその一環だろう)。しかし、作中の人物たちはとにかくそれに失敗し続けている。老父はカッコつけて沈黙を貫いていたら老母が死んでしまった、ニンが示す元妻や子供たちへの愛情はイマイチ伝わりきってない、しかし新恋人にはその関係性が嫉妬の対象であるがそのことを元妻には伝えていない。この手の作品には珍しく、喋らないせいで全然伝わってないのだ。寧ろ可視化されることで破壊されるような、それを防ごうと耳を塞いでいるような、そんな気もしている。ムンクの『叫び』が、実は耳を塞いでる、的な?結論としては、映画も我々に全然喋ってくれないので、伝わりきってないです。
3.8
【味覚の次は聴覚だ!】
レ・バオ監督はアピチャッポン・ウィーラセタクンが《光のマジックリアリズム》だとするならば《闇のマジックリアリズム》といった位置にいる監督だと思っていて、仄暗い空間の中で唯一無二の世界を創り上げている。

第71回ベルリン国際映画祭エンカウンター部門で審査員賞『Taste』を観た時の困惑は忘れもしない。仄暗いヴェトナムのある集落。足を骨折し、サッカー選手の夢が断たれたナイジェリア人は故郷に帰れないのかスラムで停滞した暮らしを送っている。床屋で日銭を稼いでいる。この集落には女性もいて、広い空間で裁縫をしている。その様子を序盤はほとんどセリフなしで描く。廃墟に近い空間での微かな営みを画として刻み込む。やがて、ナイジェリア人の男が監獄のような暗く閉鎖的な空間で裸になり、生活を始める。同じような男たちと一緒に、クルクル部屋を走り回ったりする。やがて、男はイチモツを掴みながら独白を始める。なんだったらカタツムリをイチモツに乗せ始めるのだ。

そんなレ・バオ監督が《味覚》の次に手掛けたのが《聴覚》である。ロカルノ国際映画祭のコンペティションに選出された本作もまたユニークで催眠的な世界へ私を誘うこととなった。

冒頭、飲み屋のようなところが映し出される。セリフは全くなく、群衆がガヤガヤ喋っている中、ひとりの男が宇宙人のライトのようなものを慎重に調整している。カメラは外へ向かっていく。花瓶が落ちる。割れる。すると群衆の声はピタッと止まる。これだけでも面白い世界に迷い込んでしまったなと思う。

映画は騒音を測定するデシベルメーターを設置する技師が森の深淵へ迷い込むものとなっている。IndieWireの記事にて

『聴覚』は紫色の光が多用されていることから、本作は寺山修司監督の1970年代の映画作品群(『田園に死す』『書を捨てよ町へ出よう』)以来、最も紫色の映画と言えるかもしれない。少なくとも『パープル・レイン』以来だろう。
‘Hearing’ Review: Vietnamese Slow-Burn Is a Feast for the Senses(IndieWire)より引用
と光についてユニークなレビューが書かれていたが、確かに紫の光の使い方は特徴的である。映画の終盤になると、紫に光る倉庫から謎の列車が登場する不気味な場面に圧倒されることであろう。

正直、レ・バオの作品は視覚表現に全振りしているため、批評はもちろん感想を書くことすら困難な監督ではあるのだが、観たことのない映画を魅せてくれる多幸感に浸らせてくれる点で私は評価している。
JIN
3.0
イマイチ刺さらず。
画はよかったけど繋ぎ方が雑すぎる。