イスラエルの占領下のエルサレムでパレスチナ人の主人公が結婚をしようと右往左往しながら街の中を巡るパレスチナ映画。
実際に第二次インティファーダの際に撮影もされたらしい。イスラエル軍による占領と監視と重圧の中で自分の人生を進めようとする主人公の力強さを感じた。

イスラーム映画祭10

岡真里先生による強烈考察・爆笑トーク付き

原題のサブタイトルは「ある日のエルサレム」
ハーニー・アブー＝アスアド（岡先生曰くこの発音が正しいようです）監督が「パラダイス・ナウ」の前にパレスチナを舞台に撮った作品としては初の長編映画。
パラダイス・ナウやオマールの壁が監督自らの脚本に対して本作は原作あり脚本別なため、岡先生曰くこんな作品になってしまったのではとのこと。（他にも低予算、オランダ在住等も要因として挙げられていた）

確かにキャストの実年齢と映画内設定にギャップがあり説得力に欠けることはあるが、街中至る所に監視カメラがあり、即席の検問所が方々に設置されて行き来もままならぬ日常生活等エルサレム、ヨルダン川西岸地区の姿にラストのテロップと俯瞰の大団円は強く印象に残った。
パレスチナ人と言っても全員がムスリムではない。

イスラエル出身パレスチナ人とエルサレム出身パレスチナ人は同義ではないこと、エルサレム居住者が例え進学等の理由だとしても3年生活拠点としていなければパレスチナ人には市民権がないためエルサレム居住権を取り上げるイスラエルの施策等、岡先生の講義が有意義でした。

外から内から、二つの支配を同時進行的に描出する手腕。移動が制限された土地を四方八方に動き回ってみせる抵抗の意思表明。シンプルな骨格をユーモアで肉付けしていく圧倒的共感映画。通りすがりの投石にわかるってなった

イスラーム映画祭