テーマは重いはずなのに描写のおかげでぴゅあぴゅあなラブストーリー

男臭いイメージの三船が初恋を患う役を演じるということで飛びつきました。ﾝﾏｰめちゃくちゃ可愛い。やさしい手なんかじゃ〜のくだりの( ﾟдﾟ)ﾊｯ!のお顔、自分の靴を見せながら足をつる、子供たちに紛れて海で泳ぐ姿や前髪の垂れ感、最後の最後に「最後に…○！※□◇＃△ ！」と萌えポイントが盛りだくさん。てか思ってること全部口に出しちゃってるとことか可愛すぎ。
履きなれた靴とプレゼントされた靴⇔婚約指輪とそれを外した手。色んな場面で手が印象的だったので胸がときめいた……好き……🤤💕
いやーお腹いっぱい！"整えていたけれど意図しないでふとこぼれ落ちる前髪"によって、色気が増した登場人物を眺めるのが最近の癒しの時間かもしれない。

1950年という時代を思わせる舞台背景や終戦が物語に絡むのは新鮮だった。
田中絹代が人妻なのは分かるんだけど美女かと言われると人による…って気持ちになってしまうのは仕方ないのか。宇野重吉は内に秘めたる思いが顕になるにつれて本領発揮してたな。

三船が唯一、木下惠介と組んだ作品。熱海の若い医師・江間（三船）は、近郊で療養する九鬼（宇野）の新たな主治医となるが、毎週末、東京から九鬼を見舞いに訪れる妻・典子（田中）に惹かれてしまう。不倫や病いといった重い題材を扱いながらも、快活にクロールで泳ぎ、白く清潔な洋装で真っすぐ恋にぶつかっていく三船の存在により、爽やかな後味を残す作品となった。

もう心に響き共感する科白の数々！
人間の心を素直に正直に言葉にしている！
木下惠介監督は言葉の魔術師だなぁ。

田中絹代と三船敏郎のロマンスなんて、企画自体にびっくり笑
貴金属店の奥様と若き医師の道ならぬ恋。
しかし、奥様役はもっと美人な色香のある女優さんに演じてほしかった。例えば、『安城家の舞踏会』の逢初夢子とか、当時、松竹を引退していたけど川崎弘子とか…。この二人は年齢的に田中絹代より少し若いが、この作品の奥様役はやはり美人でないと…！
 
結核の夫と若き医師三船敏郎の会話に考えさせられた。
「そうなんです。僕も(妻のことを)とっても綺麗だと思うんです。(略)あれにはあれの僕の知らない生活があるような気がするんですよ。少なくとも僕の女房であるということが最上の喜びじゃない」「およしなさいよ。そんな風に突き詰めて考えるのは」「だってかわいそうで見ていられないじゃないですか。まるであれは未亡人です」「あなたは金持ちだからそんな生半可な言い方ができるんです。生活の苦労がないから、自分の心の痛手にも花を添えようとしている。貧乏人なら浅ましくてもみっともなくても自分の女房にはガムシャラに抱きつきますよ」
 
三船敏郎が田中絹代にぶつける言葉も印象深い。
「僕はご主人の言葉を聞いているうちに、一方では涙が出るほど同情しながら…、それが当たり前なのかもしれません。だけど僕は腹が立ってきたんですよ！あんな病弱な体で、あなたっていう健全な肉体を金縛りにして！僕はあなたの中で騒いでいる血潮を認めるんです。それを淫らだなんて言えるもんですか…」

「わたくし、あなたを信じているから来たんです」と言う田中絹代に対して「嫌だ！そんなふうに信じてもらうより、疑いながら来てくれた方がよっぽど嬉しい」と吐き捨てる。三船敏郎の科白にハッとして、確かにそうだ！と思った。

「奥さん、僕の最後のお願いです」と言って正座に座り直し俯きながら「あなたの膝の上で思いっきり泣かせてください！」この気持ちわかるなぁ！でもそれをしてしまったら終わりなんだよね…。
結局、田中絹代の左手に輝くダイヤの婚約指輪が二人の関係を清らかなまま終わらせた。
これが古き良き日本映画だよなぁ、フランス映画とは違うよなぁ！

この作品、女優が田中絹代じゃなかったら、高評価してただろう笑
川崎弘子、高峰三枝子、津島恵子の膝の上でなら、泣きたいものだ！笑

義父から任された銀座の宝飾店を切り盛りし、週末は病床の夫を伊豆まで見舞う若い妻絹代、そこへ現れる若き医師ミフネ、ミフネの胸板の三分の一くらいしかない痩せた、でもこの頃やたらと美しい夫の宇野重吉36歳。ヒステリックに揺れ動く三角関係の男女の行方…の裏テーマのはずの木下恵介監督の趣味が本テーマ以上に全面出すぎた、バランスの歪さが際立つ傑作。みるみるミフネに惹かれる絹代がミフネにボディタッチ、汗かいた海で泳ぎなさいよと脱がせにかかる絹代（恵介）、健康の象徴としての浜辺での風景にはフンドシで泳ぐ男児。恵介の浜辺には男児しかいない。自棄になった宇野重吉も海に入るがそれを必死に助けるミフネは服を丁寧に脱いでいく。細かい演技指導にワクワクする。田中絹代プロダクションでがっつり参加の絹代の演技も素晴らしい。夜は一緒に寝てあげなさい、とセックス解禁に熱った身体を風にあてる宇野重吉。宇野重吉の乱れた前髪、ミフネの乱れた前髪、どっちにするの？　ミフネとどうするどうなるかで往復するトンネル、つらい別れを決心して交わすビール瓶、瓶をさする手と手、なにをみさせられているのか恵介監督からの挑戦状のようなメロドラマ。宇野夫妻の名は九鬼、ミフネは江間。クキにエマ。なにかの暗号だろうかといらない勘ぐりまでさせてくれる。ずっとみたかった作品みられて嬉しい。ありがとう恵介監督。