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『クール・ワールド』に投稿された感想・評価

No.400[世界は冷たくてカッコいいのさ] 70点

"白人は悪魔だ!黒人こそ人類の起源だ!"という演説で始まる強烈な映画。ハーレムにカメラを持ち込んだ初めての商業映画とされているシャーリー・クラークの長編二作目。一作目「ザ・コネクション」を観ていたフレデリック・ワイズマンによって企画が持ち込まれたが、製作に苦労したようで、以降は自分の作品以外に関わることを止める。本人も本作品については語りたがらないらしい。ちなみに、彼が監督としてデビューするのは4年後の「チチカット・フォーリーズ」である。この持ち込まれた原作というのが当時赤狩りの余波で仕事にあぶれていたロバート・ロッセンの書いた演劇であるらしい。彼はすぐ後「ハスラー」を撮って復活するもすぐに死んでしまう。

主人公デュークはロイヤル・パイソンという不良グループに所属する不良少年。白人の情婦を持つ"プリースト"から銃を買ったら何かが変わると信じている。仲間の少年の家をアジトにすることになったロイヤル・パイソンの面々の前に、リーダーが若い情婦を連れてくる。彼女は金さえ出せばメンバーの誰とでも寝る15歳の娼婦であるが、彼女に惚れ込んだデュークはコニーアイランドに連れ出し、海岸で彼女を見失う。アジトに戻ってくると、敵対する不良グループのウルヴズと抗争が勃発しており、それに巻き込まれたデュークはウルヴズのリーダーを刺殺する。アジトでは匿ってくれと逃げてきていた"プリースト"が死んでおり、自宅に逃げ戻ったデュークは逮捕される。

演劇映画であるとは冒頭に書いたが、どうも同時代の記録として機能している部分が大きいように思える。大きな不良グループの抗争を軸にはしているが、それこそがハーレムの生活の一部であり、生き延びるためにはそうするしか道がないという90年代のロシアみたいな状況が実際に起っていたことを伝えているのだ。拳銃を持てば何かが変わるかもしれないという考えが全ての貧しいアメリカ人の思想の根底にあるんだろうけど、実際銃を持ったくらいじゃ何も変わらないというか寧ろ悪化し、ゆらゆらと破滅に向かって堕ちていくデューク青年を見るのは結構辛いものがある。そして、この場合の"銃"は暴力的な要素の象徴として現れるので文化が違えば別のものになるある種のマクガフィンであるのは間違いない。"暴力"を得ることが出来れば自分の世界が変えられるかもしれないという閉鎖的で幼稚な考えが蔓延している世界を描くことで、クラークは世界を変えたかったのかもしれない。

例の本の記事では"なんとしても見つけ出して観るべき傑作"と出回ってない前提で話してて大いに笑わせて頂いた。前々から思ってたけど死ぬまでに見せる気がないよね、コイツら。

世界は想像以上にクールだった。
なるほど演説者の顔を真正面からクローズアップで捉えつつの「白人は悪魔だ!黒人こそが人類の起源だ!」というマニフェストがブチ上げられる冒頭シーンは強烈な印象を残すが、その感興が持続するのは遠足なのか社会科見学なのか、先生がやんちゃ坊主どもをバスに乗せてニューヨーク巡りをするところくらいまで、その後は登場人物の存外単純と思えるエモーションの発露ぶりであるとか、引かずに押しまくる暑苦しい演出だとかで個人的にはさほど乗れず…。

但しマル・ウォルドロンのスコア及び演奏(ディジー・ガレスピーやアート・テイラー、ユセフ・ラティーフも参加)は文句なし、まあそれとて全編に流し過ぎだとは思うのだが。舞台はニューヨーク、主要登場人物は黒人、テーマは人種差別や疎外、使われる音楽はジャズ、という点で本作を観る人は誰だってこの4年前に撮られたカサヴェテスの『アメリカの影』を思い出すだろう(シャーリー・クラークやプロデュースしたワイズマンだって『アメリカ〜』が念頭になかった訳はあるまい)。しかしインパクトはあれに遠く及ばず、か。
東京国際映画祭のプログラムの一環で上映された知る人ぞ知る傑作だが、思った以上に凄い作品だった。

制作にフレデリック・ワイズマンが関わってるってこともあり最初はドキュメンタリー映画かと思ったら、青年が窃盗を働く場面から突然フィクションへと移行し、しかも映像のタッチが最初のドキュメンタリーと何ら変わりないものだから臨場感が凄まじいこととなっていて、かなりのめり込んで見てしまった。

自分は撮り方が結構真に迫ったような映画も好きなんだなと改めて思い知ることと相成ったけど、これほどドキュメンタリーと見紛うフィクションを撮る監督ってのも中々貴重だから(匹敵するのはカサヴェテスの諸作品やゴダールの初期作品くらいか)シャーリー・クラークとこの作品はもっと評価されて然るべき映画だと強く思う。

でもこんな傑作なのに海外でもDVDが発売していない状況ってのはなんとも歯痒い。

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