ヒロインのジュリエット・ビノシュやルチニャーノの美しい風景などは良かった。しかし、偽りの夫婦を演じるきっかけ自体が唐突すぎて既に意味不明。最後まで独特な感じのストーリーについていくことが全くできなかった。

　イタリア、南トスカーナ地方の小さな村。本物と贋作についての本を発表したジェームズ（ウィリアム・シメル）の講演が行われ、それを1人の女（ジュリエット・ビノシュ）が息子を連れて聞きに来ていた。公演後、女が経営するギャラリーをジェームズが訪れたことから、2人は再会。面白い場所へ連れ行ってあげるという女の誘いに9時までに戻るならという条件で、ジェームズは付き合うことにする。キアロスタミにしてはやけに凡庸な始まり方だが、ウィリアム・シメルがビノシュのギャラリーの階段をゆっくりと降りるあたりから、徐々にキアロスタミ流のトリックに引き込まれていく。9時までの約束で2人はギャラリーを抜け、街へと出て行く。まずは車でがお約束のキアロスタミ作品だが、随分あっさりと車を停め、そこからは徒歩で美術館、結婚式場、レストラン、写真館、BARなどを巡りながら、2人は互いの思いを語り合う。BARで携帯に電話がかかってきてウィリアム・シメルが外に退席したところで、店主はジュリエット・ビノシュに対して「旦那さん」という言葉を口にする。そこで泣いていた彼女は一瞬正気に戻り、妻と夫という関係についてあれこれ話し始める。その時の彼女の饒舌さは我々観客にこの2人の関係性が、果たして「リアル」なのか「フェイク」なのかを投げ掛ける。

　その後入ったレストランでは更に作家とファンの距離感では有り得ないような会話の応酬が続く。ビノシュが化粧室に入り、鏡に向かって紅を引く何とも美しい名場面があるが、ここでの彼女の表情や目線はもはや妻以外の選択肢は考えられないような、実にリアリティのある演技のように見える。これまでのキアロスタミ作品では、最初に目的地を設定するものの、そこに幾つものジグザグや迂回を経て、当初の目的が何だったのか曖昧になる構造の作品が多かった。それには多数の登場人物が主人公の行動に割って入る必要があるのだが、今作では主演の2人以外の出演者はビノシュの息子とBARの女店主くらいで、物語の単線に絡む登場人物がほとんど皆無である。キアロスタミの最も得意としていた複雑な脚本は今作で一気に削ぎ落ち、実にシンプルである一点に突き詰めていくような明快さを保ちながら「リアル」なのか「フェイク」なのかという真贋を伴うミステリーを我々観客に投げ掛ける。クライマックスの場面でウィリアム・シメルは、レストランのリバース・ショットとは別の明確なカメラ目線を投げかけている。その演技の終わりを現す表現にこそ、曖昧な物語の真贋が隠されている。

何からしく無いけど キアロスタミ監督作品。


…無茶苦茶難しかった…(-.-)

え？何々？？
結果、本当の夫婦なの…？？？

…一見観客無用な作風で、古今東西、東方不敗？的 映画道に精通した人用の映画…(-.-)


キアロスタミ監督作品ってこんなんだったっけ…(*_*)

晩年の作品との事で襟元正して鑑賞したのに、個人的理解力乏しく、監督の伝えたい事が理解出来ず 残念な作品でした…(-.-)

…映画って難しいですね……(..)


でも、ロケーション映像は素晴らしかったです！😊