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こほろぎ嬢
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『こほろぎ嬢』に投稿された感想・評価

「尾崎翠を探して 第七官界彷徨」(1999)に続く、浜野佐知監督による尾崎翠の小説の映画化。原作は最後の連作短編「歩行」「こほろぎ嬢」「地下室アントンの一夜」(1931~1932)。鳥取県が支援事業として全面協力。

「尾崎翠を探して 第七官界彷徨」の主人公、小野町子の前日譚&後日譚=完結編として成立していた。同作に比べて原作がさらに日常スケッチ風なので、起伏が少なく少々平坦に感じた。しかし終盤のメタ的展開から、一気に果てしないロマンの宇宙へと飛躍するラストは、完結編としてこの上ない締めくくりだった。

冒頭の広大な鳥取砂丘シーンは構図も演出も好み。鳥取県の協力による重要無形文化財建築でのロケも文学映画としての重厚さを高めていた。非商業的で真摯なものづくりはインディペンデントならではだが、低予算の条件で高レベルの完成度を保つのは容易ではない。それを本作が達成できているのは、ピンク映画を300本超も制作してきた浜野監督の手腕なのだと思われる。

生前にはふさわしい評価を得なかった尾崎翠の作品と、一般映画の陰でピンク映画を作り続けてきた浜野監督の感性とが共鳴し、孤高の味わいが醸し出された本作。ラストの呼びかけは時代を超えて孤独な空想者の心に届くことだろう。

※ラストのモノローグは、本作で名前の挙がるイギリスの詩人ウイリアム・シャープに尾崎翠が捧げた詩編「ヰリアム・シヤアプ」(1933)から引用されている
Baad
4.3
尾崎翠が断筆直前に書いた三編の短編をもとに構成された映像作品。尾崎翠の出身地、鳥取県の支援で全編鳥取ロケで撮影されており、昭和の初めの風景や風俗が丁寧に再現されている。

作品紹介の欄にあたかもこの映画が恋愛ものであるかのような解説がなされているが、小野町子の幸田当八氏へのそれに始まる、ままならない片恋の連鎖は作品の世界を発展させる一つのきっかけに過ぎず、それぞれの想いが交錯することもなく全て一方通行なので、厳密には恋愛映画とは言えない。むしろ、片思いをモチーフにいくつかの並立する世界観を語った作品と言えるかもしれない。

非常に斬新な作風の映画で、『歩行』をモチーフにした部分などは狂言を思わせる演出がなされていて大変面白く見ることが出来た。

吉行和子による松井夫人の演技が素晴らしく、夫人を挟んで義理の兄弟となる動物学者の松井氏と自筆詩集しか著書を持たぬ売れない詩人の土田久作氏が対等に張り合っているのが何ともおかしかった。松井氏の実験室で久作が豚の目から見た世界について語る場面は特に秀逸でみごたえがあった。

もともとが、かなり映像的な原作であるうえにきちんと読み込んだ上で脚本がおこしてあるようで、原作の世界が大変上手に映画化されていると思います。尾崎翠の作品がお好きな方には一見の価値あり。

ただ、私的には、冒頭の砂丘の場面でのこほろぎ嬢の衣装、地下室アントンのセット、しゃうぷ氏とまっくろうど嬢をきちんと映像化している部分等に違和感があったので、このスコアとなりました。

大変モダンな雰囲気の作品でしたが、根底に仏教的な世界観が流れていて、それが、フロイト流の「分裂心理学」と違和感なく併存していることがよくわかり、とても面白い映画体験を持つことが出来ました。
(京都シネマ)
(片思いから宇宙まで 2010/8/5記)
mingo
-
浜野監督作シネロマンで最近2本観たけど劇映画気負いすぎてなのか、世界観の再現は凄いんだけどシンプルにおもんなかった…

脚本山崎邦紀さんトークメモ
96年のTIFF、日本の女性監督で田中絹代の6本が一番多い。その当時浜野監督はすでにピンク映画で300本以上発表されていた。そこで劇映画に進出しようとなって第七を提案。映画からは花田清輝、大島弓子的なものを感じた。

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