あらすじ キャロルは夫グレッグと継息子ロリーと暮らす典型的な上流中産階級の主婦だ。家は広大で清潔、日常はエアロビクスやランチ、ガーデニングで埋まる。しかし、家を改装した頃から症状が始まる。排気ガスで激しく咳き込み、美容院で鼻血を出し、ドライクリーニング店で倒れる。医師たちは異常なしと診断し、周囲は「気のせい」と片付ける。孤立したキャロルは新興宗教的な沙漠コミュニティ「Wrenwood」へ逃避する。そこで自己啓発的な「癒し」を求め、ついに完全隔離のドームにこもるが、症状は悪化し、鏡に向かって「I love you」を繰り返す。
【映画史的位置づけ】 『Safe』はニュー・クィア・シネマの延長線上にありつつ、インディペンデント映画の傑作として位置づけられる。村の声の90年代ベスト1位に選ばれ、ジュリアン・ムーアのブレイク作となった。形式的に洗練され、ホラー、TV映画 of the week、構造映画の要素を混ぜ、観客を苛立たせながら考えさせる。ヘインズのキャリアでは『スーパースター』『ポイズン』に続く病の三部作的文脈を持ち、『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』や『キャロル』への橋渡し役だ。