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渡り鳥いつ帰る
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『渡り鳥いつ帰る』に投稿された感想・評価

【渡り鳥いつ帰る】1955年の久松静児監督作品。昭和27年のある娼館を巡る群像劇。ここまで悪意と不幸が積み重なるものなのか。終始、好転することのない厭世的な空気感に見てる側も飲み込まれていく。田中絹代がうずくまり嗚咽するカットや小道具の鳥かごがとても印象的。この後の鈴代を思うとやりきれない。
過去にとらわれる生き方、前を向く生き方の交差するさま

ストーリーは
赤線地帯・鳩の街にある「藤村」にて生活する女性たち(久慈あさみ・淡路恵子・桂木洋子・高峰秀子)とその女将・おしげ(田中絹代)、おしげの内縁のヒモ亭主・伝吉(森繁久彌)が織りなす群像劇。

まずもって、田中絹代演じるおしげのパワフルさ。赤線商売を割り切ってときにはふてぶてしいほどの強気で切り盛りする強かさ。そして、そこに住む女たちにも背景があり、幼い娘のために身体をおして仕方なしに働く民江(久慈)、客の一人に恋焦がれる種子(桂木)、伝吉の弱さ利用して駆け落ちを持ちかけうまく逃げ出す栄子(淡路)、面白おかしく図々しく生き抜く街子(高峰)、そして一足先に赤線を抜け出した鈴代(岡田茉莉子)と様々な女性たちとその生き様のアンサンブルストーリーが重く濃厚でここだけでもそれなりの重量感。

その中でも、デコさま演じる街子のちゃっかり飯と寝床を確保してるだけのキャラは面白い。これくらい要領よく生きていきたいと思わせるキャラに清涼感がある。

ここに、ヒモ主人・伝吉の生き別れた本妻(水戸光子)と娘に関するストーリーが絡み、映画全体のテーマである、「過去に縛られ、変化をしないで生きようとする人と、前を向いて新しい生活を渇望する人」の交差が浮かびあがってくる作品。それぞれの生き様が濃くしみ出していて、観たあとヘトヘトになりました。豪華女優陣は圧倒的。

今回の森繁は、自らに養育資格ナシなくせに、娘を手放せず、どうしても妻と離縁できないダメ男。すでに妻と娘には、空襲から逃げるときに知り合い、戦後も手を取り合って慎ましく生き抜く家庭的な男・由造と新たな生活を送っているのにも関わらず、どうしても離婚届を出せない、自分に甘いキャラ。
いつもながら甘ったれダメ男を続けて好演していると思う。そして、東京弁でいなせな話し方の役のときは、どことなく寅さんの雰囲気をまとっていて不思議。寅さんキャラを構成するインスピレーションのひとつなのかな?

伝吉のラストは物悲しい。前を向く本妻家族と、叶わぬ現状維持を望む伝吉。
タダでは起きない上方商人モノとは違い、江戸下町モノの持つ、究極にダサくても粋をもとめるカッコつけなラスト。意図せず、結果的には種子と時間差心中。(しかしながら、堀切から葛西って結構流されたものだなぁ〜。とリアルに考えてしまった。)

戦後の復興期、こんなふうに生きた市井の人々は数多存在し、今となっては消えたように見えても、ネットをかえしてアンダーグラウンド的にはまだまだ残っていて、今も変わらない感情を抱く人もいるかも…と思った。

ロケ地としては、地下鉄銀座線の浅草駅の出口が今と同じまま登場していて感動した。あとは駒形どぜうの前の大通り。
そして木造の葛西橋や荒川放水路の旧閘門など、下町川辺り風情が濃厚。
4.0
日本映画専門チャンネルの蔵出し名画座にて。
永井荷風の原作を「警察日記」の久松静児が監督。
墨田区向島にあった私娼街の鳩の街、そこのカフェー藤村という売春宿のおかみの田中絹代とその旦那というヒモの森繁久彌、女給という売春婦に久慈あさみ、淡路恵子、桂木洋子、高峰秀子。また森繁久彌の生き別れになっていた水戸光子や足ぬけして流しの演歌師になっている岡田茉莉子らの群像劇。
それらの群像劇の根底にあるのは日本の敗戦、具体的には東京大空襲の傷あと。
その傷あとの行きつく先にある物語がこの渡り鳥いつ帰るという映画。
いろいろ情けない哀しい話や可笑しな話はあるのだけど、どこか憎めない森繁久彌のダメっぷりや強欲な田中絹代、食うばかりで働きもせず盗みをして逐電する高峰秀子など面白い。
配信は無いしDVDにもなっていないし、これぞ蔵出し名画という逸品。

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