煙突の見える場所の作品情報・感想・評価

煙突の見える場所1953年製作の映画)

製作国:

上映時間:108分

ジャンル:

3.4

「煙突の見える場所」に投稿された感想・評価

この異質な味わいをどう伝えたら良いのか悩ましい。

上原謙は器の小さい男をやらせたら天下一品だな。高峰秀子もツンケンして愛想のない女の役が本当に鈍く光輝く。
そういう何となしに負の要素を、凡庸なホームドラマに混ぜこんで、盛り上げようともしない間延びした感じに妙に惹かれた。

田中絹代と上原謙の色気ゼロなキスシーンに鉢合わせた高峰秀子の、氷点下の眼差し。税金を取り立てに回る芥川比呂志の向いて無さげな様子。高峰秀子の同僚のやけに気になる飛ばしてる女子。

煙突で良いこと言ってやろうとか、そういう意思が全く窺えないから好ましい。
Zhivago

Zhivagoの感想・評価

3.3
高峰秀子と芥川比呂志の描き方がいいです。高峰秀子が凄いだけかもしれませんが。
五所監督は気の強いちょっと癖のあるちょっとひねくれたような人間を描くのがうまい監督だという印象です。メインの夫婦が癖のないいい人で色々と翻弄されるのですが、肝心の奥さんに大女優の田中絹代を配しているのですが、田中絹代の良さが消えてしまっているというか、キャスティングがよくなかったというか、なんかせっかくの田中絹代がもったいない印象です。

下宿の男女(芥川と高峰)、元の夫、赤ちゃんの母親、隣人さんたち、の癖のある描き方が魅力的。
Marrison

Marrisonの感想・評価

4.0
タイ焼き。みかん。りんご。パン+変なジャム。……食べ物がことごとくマズそうに見えた 笑。

“大人たちの泥沼”への洗浄剤感(光明感)を女優として元々持つ高峰秀子さん。役柄上それを共有せんとする芥川比呂志さん。若い二人が控えめに弾けてる。
夫婦役の方はどうだろ。白塗りっぽい無表情がどうしても悪役的である上原謙さんと、老け妻っぽい痛々しさが痛し痒しである田中絹代さん。
「どうにも解決不能」感が映画を覆って、入水のところから面白くなりそうになる。「え、解決してくの?」……そううまくはいかない。つづいて脇役の関千恵子さんと花井蘭子さんが俄然、見せ場をつくろうとする。が、鮮やかになりきらない。
…………雨降って地がどの程度固まったのかわかんないけど、まあこんなもんでいいでしょう。



ところで、北千住研究家の私としては、若い二人のじゃんけんシーンを、せっかくなら昔ながらの北千住式にやってもよかったんじゃん?と呟いておこう。
◇普通のじゃんけんは・・・ 「じゃんけんぽん」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」→「あいこでしょ」(以下延々)
◇北千住式じゃんけんは・・・ 「じゃんけんぽい」→「あいこでしょ」→「つけろくさい」→「さいのめのさい」→「さいさいさい」→「じゃんけんぽい」(それでも決着つかない場合、いったん休憩する)

北千住研究家の私なので、せっかくだからほかも記す。
◆北千住では「もんじゃ焼き」を「ぼった」と呼ぶことが多い。「もんじゃ」と言っても通じない場合さえある。
◆北千住ではオモチャ自販機「ガチャガチャ」を「ジャリジャリ」と呼ぶことがある。
◆北千住の人間は北&南千住をほぼ全世界だと感じていて、荒川以北には(だるまを買いに行く時を除いて)関心がない。同区意識もない。都会方面へ冒険するのは好きで、日曜の家族レジャー先は上野動物園が定番。
◆北千住の子供たちは地域の老人たちから「おばけ煙突」という言葉をちょこちょこ聞いて育つため、5、6歳になるまでは、何が何だかわからずに今でも町のどこかにおばけ煙突があるような気がしている。そのくせおばけ煙突とは何ぞやがわかってないから、おばけのように喋って踊る煙突だと勘違いしてる。
◆北千住の老人たちは、かつて千住っ子の自慢だったおばけ煙突をしっかり映像記録してくれたこの映画に心から感謝してる。内容が面白かったかどうかはほとんど話題に上らない。
以上。
marmelo

marmeloの感想・評価

3.3
京成線の関屋あたりに存在した電力発電所、通称お化け煙突が登場する映画。途中で京成線だと思われる車窓から煙突を撮影しているのだが、4本に見えたり3本、2本に見えたりしまいには1本に見える場所もあって、さすがはお化け煙突。戦争未亡人の妻とその夫との間に突如赤ん坊が捨てられてくる。妻の死んだと思われた元夫が現在の妻との間にできた子らしい。。そんな珍騒動を巡るささやかな下町人情物語。この風景と、自分の見てきた京成線の車窓風景を思ってなんだかじんわりするのだった。
一

一の感想・評価

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やんわりした人情ものかと思いきや、全然すっきりしない話ですごい。高峰秀子以外全員問題あり。冒頭の生活ノイズの洪水からノイローゼの予感。上原謙、妻が入水しようっていうのに「どうやって止めるんですか?」じゃないだろ。
初)日本人なら傑作!少なくとも共鳴してしまう作品。日本人のDNAに擦り込まれている敗戦からの復興下の数々の生活風景(長屋生活、商店街の風景、公共工事の風景、川の土手等々)の中で生きている姿が自分のDNAに共鳴した…日本の名作というより日本人でなければ名作と感じられない作品といった印象…観た後、心ホッとします。
pappo

pappoの感想・評価

1.4
見る場所の違いで4本にも1本にも見える煙突が人生観のメタファーになっている。
てふ

てふの感想・評価

4.0
千住のお化け煙突の辺りを舞台とした下町庶民の人間模様。『めし』もそうだったし、上原謙の演じる夫は少し嫌な感じ。

神保町シアター 田中絹代特集にて
【出演】上原謙、田中絹代、高峰秀子、浦辺粂子。

東京都足立区北千住あたりが舞台。
自分は千住のそばの五反野近辺で小学生時代を過ごしたので、とても懐かしく観れました。だからといって、この映画の時代の人間ではまるでありませんが、土手が懐かしくて。土手って、なぜか心に残るもんなんですね。自分は、この映画を観て、実は悟りを得たんです。見る角度により、煙突の本数が変わる。即ち、真実は1つじゃない。見る人によって違う。そして、それでいいんだと。目から鱗でした。
自失した田中絹代が川に入水しようとするのを目の前に、なにもできずに足がすくむ夫の上原謙。
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