核シェルターに何十年も居た青年二人が私立探偵気取りで荒廃した近未来へと足を踏み入れるアルバート・ピュン監督のSFアクションコメディ。

二人の名前はそれぞれフィリップとマーロウと、レイモンド・チャンドラーの影響大でその前時代的なハードボイルドファッションとヒャッハーな世界観の組合せがユニーク。カニバリズムな連中も居れば色仕掛け担当の美女も居る時にカラフルな照明が彩る近未来も魅力的ながらアクションにもコメディにもどうも勢いを感じないピュン監督らしい（？）ユルーイ作風は正直面白いと断言出来ないのですが、シンセバリバリでパット・ベネターやボニー・タイラー的力強い女性ボーカルの楽曲がふんだんに使われることでMTV感覚でそれなりに観れてしまう80sらしい魅力が。

フィリップを演じたジョン・ストックウェルは近年は監督としても活動し、マーロウ演じたマイケル・ダディコフはB級アクション系で有名。ヒロインは「愛と青春の旅だち」や「ゾンゲリア」の故リサ・ブロント。

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誘拐されて核シェルターに監禁されたフィルとマーローは15年経ってやっと外に出ることが出来るが、核戦争によって街は壊滅し世紀末となっていた。
その事態に気付かぬ2人はオシャレにキメて女を探しにゆくが食人族や謎の部族や綺麗なネエちゃんに騙されたり揉みくちゃにされてしまう。
『マッドマックス』よりも『ターボキッド』に近く、OPから80年代音楽が流れまくる。音楽効果が強いけど過剰なほど流れるのでもはやミュージカルレベルで、これはこれで良い。EDは本当に2人が歌って踊る。
ただどうせならガンガン復讐してほしかった。勝手に周りが殺しあってるけどこの2人が躊躇いなく悪に踏み込んでくれたほうが面白いと思う。
外に出た初日のくせに「昔の俺は優しかったが…」と語り、数時間の話を昔と言っていてシビれた。

ただドタバタしてるだけでストーリーは全くない！
でもこの80年代丸出しの作風が大好き！

美術や音楽、そしてこのぬるめのアクションだけを楽しむためにあるような映画。
本編のほとんど流れっぱなしの80年代のロックがたまらん！リサ・ブロントもミシェル・リトルも綺麗！たまーにあるめちゃくちゃカッコいい演出にシビれる！！

アルバート・ピュンのこういう映画って、地味に有名な俳優(今回はジョージ・ケネディとか)が出てるにも関わらず全然メジャーにならなくて、一部のファンだけに崇拝されて然りみたいなものが多いけど、これはまだまとまってる方だしもっと評価されても良いんじゃないのかね