仲間を皆殺しにされた英国軍整備兵が、持ち前のメカの知識と技能だけを頼りに、たったひとりでUボートに挑む！

この｢タランティーノ meets 冒険野郎マクガイバー｣みたいな設定がたまりませんね。

復讐にとりつかれた整備兵マーフィを｢アラビアのロレンス｣のピーター･オトゥールが演じ､ ｢追想｣のフィリップ･ノワレも助っ人として参戦｡

そしてこの映画は､ スタッフの顔ぶれも豪華です｡

監督：ピーター･イエーツ
｢ヤング･ジェネレーション｣
｢ブリット｣

脚本：スターリング･シリファント
｢ポセイドン･アドベンチャー｣
｢夜の大捜査線｣
｢タワーリング･インフェルノ｣

音楽：ジョン･バリー
｢007｣シリーズ
初期 ショーン･コネリー主演作全般

撮影監督：ダグラス･スローカム
｢ジーザスクライスト･スーパースター｣
｢インディ･ジョーンズ｣初期三部作

編集：ジョン･グレン
｢女王陛下の007｣｢私を愛したスパイ｣(編集)
｢007｣シリーズ 80年代５作品(監督)

…スゴいメンバーですよね。

残念なことに近ごろは、この映画を観るのが難しくなっているみたいですね。
入手しやすいソフト、出ないかな～。

第二次世界大戦末期の南米で、イギリスの商船がドイツ軍のUボートに襲撃されて乗務員はほぼ全員皆殺しにされる。唯一生き残った主人公マーフィはドイツ軍に復讐するため、単身武器や飛行機を用意して戦いを挑む戦争映画。

監督は「ブリット」のピーター・イエーツ。昔の映画というのもありますが、戦闘シーンはやはりCG無しのド迫力。冒頭から容赦ない攻撃で死屍累々。無慈悲にも何の抵抗も出来ずに攻撃されるイギリスの商船。早速引き込まれます。

目の前で仲間を全員失ったマーフィ。彼のドイツへの復讐心は強く、実際に終戦を迎えても周りの声も聞かず、Uボートへの攻撃を止めようとしません。自分の中ではまだ戦争は終わっていないと。

そのマーフィを演じたのは名優ピーター・オトゥール。「アラビアのロレンス」でのロレンスに通じる意志の強い主人公像。終盤での復讐の鬼と化した姿も必見です。

南米の自然描写も見所の1つですし、画面越しに暑苦しさや汗臭さが伝わってくるよう。そして戦争が生んだ復讐劇の無情さが感じられるラストシーン。なかなか忘れられないインパクトがありました。

興行的には失敗だったらしく、全然有名ではない作品ですが、芯の強さが感じられる力作。 一見の価値は十分ある作品でしょう。

第2次大戦末期。
ドイツのU・ボートにより味方の戦友を皆殺しにされたマーフィー。
ただ一人生き残った彼は、復讐心が燃え上がり・・・

復讐にしか頭にないマーフィーの姿は、空想の世界から逃げられなくなり、駄馬で風車に戦いを挑んだドン・キホーテに見えてくる。
夢うつつの彼は、劇中ほとんど口が半開きだ。

 隠してあった哨戒機で偵察飛行するシーンが、すこぶるゴキゲンで、スリルいっぱいの見せ場になっているし、望遠レンズを使ってなかなか姿を現さず、そしてゆっくりとジャングルの陰から船が現れるシーンは、上手に緊張感を盛り上げる。

 戦争が終わったことを告げるラジオを壊してまで、敵に体当たりを決行しようとするクライマックスに、強烈な反戦テーマが浮かび上がるが、そのあとに訪れる静かなエンディングが本作を寓話的にする。
そう、ドン・キホーテのように。