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大虐殺
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『大虐殺』に投稿された感想・評価

タイトルに相当する「大虐殺」シーンは亀戸事件をベースにしたものだが、社会主義者、アナーキスト、中国人、朝鮮人らを大量検挙し河川敷まで連れて行き、放免と見せかけて機銃掃射!「バビ・ヤールかよ⁉︎」と唖然(話を盛ってはいるけど概ね事件に沿ってると知って二度びっくり)。公開当時は戦争から15年経ってるが、憲兵や特高の恐ろしさを記憶してる人も多かったんでこれぐらい盛っても受容されてたんかな。

このあと甘粕事件を経てギロチン社報復テロの話に進むわけだが、缶詰爆弾の試用で無人の交番を吹き飛ばしてはしゃいでみたり、呆れるほどの手際の悪さで(元関東戒厳司令官の)福田雅太郎暗殺に失敗したりと「子供かっ⁉︎」とツッコミたくなる始末(これも最後の犯行を除いては実際の事件からそれほど逸脱してない)。

とにかく、起きてる事象の悲惨さと対照的に関わってる人物たちの言動が滑稽で間が抜けてて何とも言い難い気分になる(そして歴史は繰り返される)。

付け加えるなら福田大将暗殺に成功したとて大勢に影響あったかと問われれば‥
◎関東大震災後の官憲非道からギロチン社テロへ

1960年 新東宝 モノクロ 94分 シネマスコープ
*状態は鑑賞に支障なし

鑑賞順ではないが、レビューはたまたま公開順で1959年正月の『大東亜戦争と国際裁判』(2024.8.8レビュー)、同年9月の『静かなり暁の戦場』(2024.8.11同)に次いで小森白(きよし)監督の3作目。

前半は、関東大震災の混乱の中で起きた朝鮮人虐殺事件、警察と軍部によって社会主義者らが惨殺された亀戸事件、憲兵隊が無政府主義者の大杉栄ら幼児を含む3名を殺害・遺棄した甘粕事件を軍法会議の法廷まで克明に描く。


【以下、ネタバレ注意⚠️】







朝鮮人虐殺や亀戸事件は、昨年話題となった『福田村事件』でもサブエピソード的に扱われていたが、本作の方が残忍な場面を含め描き方は本格的である。

特に甘粕事件は、本作の主人公古川大次郎(天知茂)が師事する大杉栄(細川俊夫)らが惨殺された事件であるため、大杉と内縁の妻伊藤野枝(宮田文子)、6歳の甥橘宗一(島村徹)が上野公園で憲兵隊に捕縛される前までのシーンから詳しく再現されている。

本作の細川俊夫演ずる大杉は、知的で常に冷静でありながら人間的な魅力にあふれたインテリとして描かれ、多くの若者が憧れる存在としての説得力があった。細川俊夫はまさに適役で、彼のベストアクトに数えられる。

大杉を愛しながら、結婚という形をあえて取らなかった伊藤野枝を演じた宮田文子も、その「自由恋愛」を下卑た表現で揶揄する憲兵たちに対して、自立した女性としての矜持を示して、存在感を示していた。

甥の宗一を演じた島村徹も、ピュアな聡明さを体現して、この6歳の賢い少年が何故に官憲に惨殺さらねばならないのかと本事件の残虐性を強く印象付ける効果を倍加させてくれた。

ただ一部のレビュアーが指摘している通り、本件が仮にも軍法会議で裁かれるに至った経緯として、アメリカ国籍があった宗一が被害者となったためアメリカ大使館からの猛抗議があった事実(*1 )については触れるべきだったかとも思う。

*1 「甘粕事件」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

史実と同じく、本作でも事件の背景に軍上層部の関与があったらしきことも示唆しつつ、その点は曖昧にされたまま、甘粕正彦(沼田曜一)らに懲役刑が下され幕が下される。

これに大杉門下の青年たち、特にギロチン社の古田大次郎らが不満を抱き、革命への近道としてのテロを敢行するようになるわけだが、中島貞夫監督の『日本暗殺史秘録』(2024.7.12レビュー)でも扱われたこの古田をモデルとしたのが、本作で天知茂が演ずる古川大次郎である。

このため、関東大震災にともなう、3つのあり得べからざる日本人が起こした暗黒事件の再現ドラマに対して、本作後半は、古川のテロ敢行劇ということになる。

ところが、前述したように、前半に登場した細川俊夫による大杉栄は人格者過ぎて、とても革命実現のためのテロを容認するような人物には見えなかった。
その結果、古川大次郎が前半後半を通して登場するものの、本作の前半と後半は不整合が目立ち、せっかくの前半部の完成度の高さに対して複雑骨折を来したしつつ尻すぼみに終わった感を与える。

しかし、いずれにせよ、本作を観て、右翼系とか「逆コース」に迎合した作品だと思う者はいない。

小森白は、新東宝の倒産後、ピンク映画製作に転じた(*2 )ことから評価が低いとあるレビュアーが言及していたが、幾つかの作品を観る限り、大蔵貢社長体制下の新東宝において、もっとも良心的な社会派としての意識を持っていた映画監督だと考えることができそうである。

*2 「小森白」で検索
ja.m.wikipedia.org/wiki/

今回のシネヌーヴォの新東宝特集では、あと何作か小森監督作品を観る予定なので、まだまだ楽しみは続きそうだ。

最後に、本作と直接関係ないが、高橋源一郎氏が大杉栄の生き方に言及した記事が興味深かったのでリンクしておきたい。

*0 年を取ると、2年ごとぐらいに何らかの資格を奪われていく……高橋源一郎が語るシルバー民主主義の詭弁
【著者に聞く】高橋源一郎が語る②:「表現」を弾圧するのは権力ではなく普通の人
2024.8.9(金) 長野 光
大杉栄を愛すべき理由
jbpress.ismedia.jp/articles/-/82512?page=5

《その他の参考》
*3 新東宝データベース1947-1962 大虐殺
nipponeiga.com/shintoho/film/1960/19600130.php

*4 大虐殺(1960)
1960年1月30日公開、94分
moviewalker.jp/mv28274/

*5 『大虐殺』(1960年1月30日・新東宝・小森白)
佐藤利明(娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー)の娯楽映画研究所
2023年9月17日 12:49
note.com/toshiakis/n/n1ecfe6368791

*6 映画音楽書物遊戯等断罪所
大虐殺(またの名を「暴圧~関東大震災と軍部~」)(モノクロ)
2006/02/2601:07
danzai449.blog19.fc2.com/blog-entry-494.html?sp

*7 シネマ、ジャズ、時々お仕事
大虐殺(暴圧)
2008-09-15 21:26:12
ameblo.jp/joshua2268/entry-10139712459.html

*8 Kaiのネタバレ映画館
2009-07-10
■ 映画(新東宝)
kai1964.hatenadiary.org/entry/20090710/1247126785

*9 T’s Line blog-映画についての備忘録-
2018-10-05 小森白監督「大虐殺」
kinakossu.hateblo.jp/entry/2018/10/05/220000

*10 戦争映画エッセイ:映画『大虐殺』と古田大次郎というテロリスト
永田喜嗣(永田ヨシツグ)
2023年3月11日 00:22
note.com/nagata_peace/n/n8c84271a00d4

*11 東映バカの部屋
甘粕事件後、社会主義者が取った道は…新東宝「大虐殺」天知茂/沼田曜一・小森白監督。東映chで放映
2023-10-16 00:03:09
ameblo.jp/73379184/entry-12824626582.html

*12 幻想館 大虐殺
www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou54/daigyakusatsu.html

《上映館公式ページ》
シネヌーヴォ日本映画大回顧展
新東宝 映画まつり
 Preseted by 新東宝キネマノスタルジア
2024.7.6〜9.6 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/shintoho2024/shintoho2024sakuhin1.html

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