帝銀事件 死刑囚の作品情報・感想・評価

「帝銀事件 死刑囚」に投稿された感想・評価

疑わしきは罰せず。という理論が到底まかり通らない時代。うわ、今もそうだ!変わってない。成熟してないともいう。何を以て確証というのか。熊井節が徹底してます。
新聞は社会の木鐸だという。その立場を忘れた戦時中の大政翼賛への反省から、新聞記者をはじめとする戦後のジャーナリストたちは、反骨精神のもと徹底した反権力、真実の報道に邁進する……。この映画に登場する記者も、ときになりすまし取材をしたり、他社をあざむいたりはするものの、その根っこにあるものは正義を報道する義務感に裏打ちされた記者魂に他ならない。

ひるがえって現在、その理想はどこに消えたのか。権力者からの接待が常態化し、御用記事、提灯記事が横行する2017年現在のジャーナリズム。硬派のジャーナリストは無用とばかりに一線から姿を消し、大衆受けするゴシップ記事が紙面を賑やかせる。印象操作などお手の物だ。

一方、捜査過程には科学的な手法が取り入れられ、自供第一主義よりも客観的な証拠が重視されている。検察の取り調べもまた、可視化、録音など開かれた形に変わりつつある。民間人による裁判員裁判制度の導入も画期的だ。

一番変わったのは何だろう。報道にあたるジャーナリストたちの姿勢なのか? 冤罪防止を徹底する検察や裁判所の姿勢なのか? 

そして、ジャーナリストたちに圧力を加え、メディアの偏向報道を目論む権力者こそ、一番変わっていないことにぼくらは気づくことになる。
「帝銀事件」を扱った映画です。

「帝銀事件」について分かりやすく描いており、知るにはちょうど良い作品です。

マスコミや警察に簡単に不快感を覚える事ができる作品です。マスコミも警察も大変で頑張っているのは分かるが、いかんせん嫌悪感を抱いてしまいます。

面白いのですが、一度見ればお腹いっぱいです。
Hawkwind

Hawkwindの感想・評価

3.0
戦後のグレイ・ゾーンだった期間の、実際にあった怪事件の映画化作品。
松本清張が書いた実録小説も興味深いものだったが、この映画はGHQの介入の件は少し流す程度で、平沢貞通という人物に焦点を当てたものになっている。
平沢を演じる信欣三の怪演が凄い。そして事件現場や警視庁捜査本部に詰める新聞記者達の人数が半端ない。
結局事件の真相を検証するのではなく、関わった人々の群像劇になってしまった点は不満が残る。
生き残った銀行員の笹森礼子と、新聞記者の内藤武敏の恋愛話は不要だった。
寂々兵

寂々兵の感想・評価

3.7
晩年こそ『日本の黒い夏 冤罪』なんて学生向けの教養ビデオみたいなのを撮って焼きが回ったと言わざるを得ない熊井啓だが、この年代の実録物はどれも面白い。特にこれなんて民衆が私刑だの制裁だの言って暴徒化していったりマスコミがやりたい放題やってるので初期のフリッツ・ラングっぽさがある。平沢貞通を演じた俳優は多くいるけどこの信欣三が一番似てるんじゃないか?平沢貞通の顔知らんけど。

このレビューはネタバレを含みます


 社会は映画監督・熊井啓のデビュー作。1964年公開。
 いわゆる群像劇で、後半は信欣三演じる平沢貞通に焦点が絞られてきますが、基本的にはいかにして真実が明らかになっていくか、そして、そもそも何を持って真実とするのか、ということを観客に叩きつける作品であると思います。
 後半になり、死刑囚の汚名をかぶせられ、誰の目から見ても冤罪であることは確実にもかかわらず淡々と現実を受け入れていく信欣三の姿はひょうひょうとしたユーモアの裏に隠れた悲しみを感じさせます。
 それにしても、この時代の映画って本当に、濃い。全ての役者が命を削って演じているような気がします。終盤になって家族の間の絆を描くほうにいったのは、前半からとうとうと続いてきた硬質な流れをせき止めるようで少々解せなかったのですが、これを観て帝銀事件の真相とは、とか、死刑の是非、冤罪を無くすには、とか色々なテーマが頭に湧き上がってくるような、観客に訴えかける作品です。機会があれば是非。
(当時の日記より転記)