【第58回ヴェネツィア映画祭　国際映画批評家連盟賞】
『ジェラシー』フィリップ・ガレル監督作品。ヴェネツィア映画祭コンペに出品され国際映画批評家連盟賞を受賞した。カイエ・デュ・シネマ誌ベストテンでは第6位に選出された。

フィリップ・ガレルを追っているのだが、やはりあまり好みではない。ストレートな恋物語で難解でも何でもないのだが、話がどうでもよく思えてしまって印象に残らない。

映画監督の男と女優の女が出会い映画を撮ろうとするが、資金調達のために男は危ない橋を渡ることになる…

まぁたぶん意図的なんだろうけど撮ろうとしてる映画がつまらなそうだし、演者にも魅力を感じず苦痛な映画体験だった。もちろん完成度は高いし演者も頑張っているんだけど。

もう少しコンパクトにまとまっていたら観やすいのになと思わないでもない。これで二時間近くあるのは辛い。

撮影スタイルや演出はガレル節全開だが、ドラッグという要素が大きな役目を果たすのはガレルっぽくない。何とも皮肉な映画作りを描いており、ブラックコメディ的でもある。

ガレルらしくない要素があり興味深いが、話が自分の好みではなかった。白黒撮影の美しさはよく分かった。うーん、やっぱりガレルは好きではないかなぁ。

• #第58回ヴェネツィア国際映画祭

　映画監督フランソワは資金集めに走り回っている。ある日道でリュシーと出会い恋に落ちる。彼女は女優の卵で、新しい映画のヒロインに彼女を抜擢する。しかし資金集めのために課せられた仕事は国境を越えてヘロインを運ぶことであった。撮影はアムステルダムで始まるが、密輸でトラブルに巻き込まれ、リュシーも役作りに苦悩していく。
　
　白がしっかり聞いたモノクロの中、白い壁を使って閉鎖的に見せながら、二人の出会い恋に落ちて、街角のキス、抱擁などを引きのカメラでスタイリッシュにみせ、順調な恋を見せる。鏡やガラスを使って向こう側からとらえるカメラワークでは、人間の二面性を見せるように、奥に潜む不穏を浮き彫りにし、幻想と現実の狭間のような空間を白黒の映像が寄り添う。

　ヘロインから世界を救いたいと新作に挑むフランソワの意図とは真逆に、現実はどうしようもなく、何かを手に入れるためには妥協の連続である皮肉を、自然な流れで綴り、気が付いたら、演じるはずの映画より現実がその上を包み込み、やがてその境界線がぼやけていく。同時にリューシーも役作りに悩まされ、キャロルの幻想に悩まされ、役柄に乗っ取られていく。

　白が美しかった映像の色彩も密輸がはじめってからは徐々に黒に侵されていき、影が白を乗っ取っていく。不穏な音楽が雰囲気を煽り、暗転の時間も長くなっていく。劇中劇が映画そのもののカメラと同化し、現実と映画、さらにそこに夢と幻想も交差し、複雑化し、やがて現実なのか劇中劇なのかわからなくなり、観客も同じように翻弄されていくのだ。セリフの練習までも現実なのかわからなくなる。白黒の映像が境界線をぼかすのに非常に効果的に働き、見たい部分があいまいになり、虚構の中から映画の外にいる監督の現実が浮き彫りになってくるのだ。

　何層にも積み上げられた、人間のエゴが交差し引き起こされ、翻弄されていく狭い世界で複雑化された人間模様が、白黒のスタイリッシュかつシンプルな映像美に落とし込むことで、その奥にある映画の恐ろしさ、映画が芸術の魔力が浮き彫りになる。見えない存在に脅かされ、実体験を交差させながらも私的以上の開けた解釈を観客に与え、瑞々しくエモーショナルな人物たちが枠の外の観客を見事に翻弄していく。突き放したラストは寄り添うわけでも、愛を注ぐわけでもなく、ただ映像に映しこむ。まるで監督自身の空虚感と同化するように・・

• #lasmejorespeliculasdeemily

作りたい映画があるんだ！ヘロインやドラッグの怖さを伝える、世の中を救う映画なんだよ！でもお金がないよぅ、
あたりまでは、ハイハイいつもの芸術家の苦悩ですかな、という感じで見てましたが、資金提供の代わりに××をやれとは…。
むむう、どうなる…と思ったけどそこまででした。
でもヘロインやりたくなる気持ちはわかったよ（笑）
そうまでして映画撮らなくていいじゃないの、とも思いましたけど、そっちもドラッグみたいなものなのかしら。


ただ



ネタバレ


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尻に注射器刺さった状態で死にたくねえな〜！
これがドラッグの怖さか。
でもまあいいよね、死んだ後のことなんか自分じゃもうわからないんだしさ。
美人のこんな悲しい死に方により絶望感が。