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モンドヴィーノ
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『モンドヴィーノ』に投稿された感想・評価

3.3
風土(テロワール)と品種(セパージュ)と批評(クリティーク)の三つ巴。再現性と操作性というフェロモンは、資本を誘因してゆくものの。街灯に群がる蛾は、どのようにぜつめつしてゆくのなか。人間不在における資本の行方。パーカー亡き後のワインの行方。
3.5
2004年当時、ワイン醸造と消費のグローバル・スタンダード化を推し進めたとされる、ミシェル・ロラン(醸造コンサルタント)、ロバート・モンダヴィ(カリフォルニア、ナパ・ヴァレーのワイン生産者)、ロバート・パーカー(評論家)の3名への取材を軸に、グローバル化に抗して環境特性(いわゆるテロワール)を重視するブルゴーニュなどの生産者たちと対蹠的に映し出したワイン・ドキュメンタリー。

やはり20年近く前の製作なので、水モノたるワイン市場は大いに変化している。今やモンダヴィ家のワイナリーは買収されてしまったし、ロランやパーカーの影響も往時の勢いはない。グローバル・スタンダードの推進力だったアメリカのワイン市場も成熟化し、生産者の関心は中国に向いている。まさに盛者必衰である。

ゆえに、やや回顧的に観賞することになるが、批判も多いパーカーの「ポイント制」にしろ、ロランの画一的なコンサルテーションにしろ、従来のワインがテロワールやブレンドに応じてセグメント化された市場だったのを、一挙にわかりやすく、すなわち「民主化する」試みだったことは記憶しておきたい。消費者運動の始祖であるラルフ・ネーダーの影響を最も受けたというパーカーのコメントが象徴的であり、ヴェールに包まれたワインの秘密をわかりやすく計量化(点数化)し、均質化することで全世界に訴求しうる商品に変貌させたのである。

私自身はブルゴーニュはじめテロワール重視の純製が好みなので、ボルドー系やブレンドの妙味はいまひとつわからないが、本作で重視されるようなフルボディで樽香重視のワインは舌も胃も受けつけない。本作がフォローしている問題意識自体は面白いが、ちょっと素人くさいカメラワークや編集はあまり褒められたものではないので、そこは注意を要する。
ワインにまつわるドキュメンタリー映画。

「葡萄畑は難しい。金持ちだからうまくいくわけじゃない。貧乏でも立派にやれる」
「現代人は怠け者になり、消費社会にのまれアイデンティティを失い、故郷がどこかどこへ行くかもわからず傷つけ合っている。動物とおなじレベルに落ちてしまった。動物は少なくとも自分の食べるものを選ぶがね。」
まず、南仏ブルゴーニュはヴォルネイの生産者ドメーヌ・ド・モンティーユのユベール・ド・モンティーユが畑をバッグに放つ哲学的な言葉がパンチラインとなって響く。

そのフランスの誇りある伝統的なドメーヌを、カリフォルニアのナパの成功した生産者モンダヴィが買い付けようとするが、政治問題にまで発展し、買収計画は失敗する。
家族経営や村単位の仕事であったワインが国際ビジネスに変容したことを端的に示すエピソードだ。

モンダヴィの株式公開や、テロワール主義の土着的な生産者のエピソードがコラージュ的に混じり合い、混乱しつつもアメリカ的資本主義へ向かうグローバル化したワインの方向性が示される。
西欧にかわり新大陸アメリカの新たな権威であるオーパスワンのワイナリーで、樽を(必要なく)磨く労働者を見せて、経営者が「大切なのはイメージなんだ」と言うシーンは象徴的であった。

かつては西欧の貴族的な権威であったワインの評価を、生産者主導から消費者主導へ動かすの流れをつくったロバート・パーカー。味を定数に落とし込むことで「民主化」に成功するが、皮肉にも彼自身が新たな権威となり、またパーカーに評価されようとどのワインも濃く同じ味を目指すようにもなった。
そして、それを支えるコンサルのミシェル・ロランとの結託ともいえるビジネス的な成功者のイメージと言動が映し出される。
他方で、アルゼンチンの困窮する生産者が畑で差し出す白ワインに監督が唸るシーンもあり、複雑で味わい深い構成となっている。

イタリアのワイン屋らが「手をかけ過ぎ。今はどこでつくってもおなじワインが生産される。深い赤なんて自然にできたものでない」と人為的な操作でパーカー好みに寄せられるグローバリゼーションを嘆く。
ワインづくりは貴族でも農民でも、かつては土地に根ざした産業であり、土地への愛着がテロワールとなっていたが、そのテロワール自体も人の手が加えられて成り立ち、必ずしも100%自然由来でなく、操作可能なものでもある。

「現代人は進歩という幽霊に取り憑かれている」とも先のユベールは言う。その他、大量かつ機械的に売るために何万本ものボトルにすべて同じラベルを貼るよう要請され反発するエピソードなど、効率化とスケール化、ある指標に向けて突き進むカリフォルニア的志向と伝統との対峙、その中間で揺れる多様な人々が見れて、地味だけど良い作品。

(余談)

1600年代の帳簿が出てくるシーンがあって、シンプルに歴史の重厚感と保存力すげえと驚く場面や、金持ちっぽい調子に乗った若い生産者がパンツ一丁でステンレスタンクに浸かり、モザイクなしで玉が見える気持ち悪いシーンなどもある。

この『モンドヴィーノ』の監督ジョナサン・ノシターには『ワインの真実――本当に美味しいワインとは?』( https://t.co/mHGcvNPpCq )という著書もある。
ワインにまつわる中身の薄いエセ教養本と紙一重なタイトルだけど、かなりおもしろそうだった(原題一緒だけど映画の書籍化ではない)ので今度買おう。

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