ほとんど人の姿が映らない空っぽの風景にさざめく、濃密な人の気配と声。静かに狂気を孕んでいく男女の日常が、美しい朝焼けや薄明の光景とともに、声や物音だけでつづられていく―。 いま出てきたトイレの中に、誰かがいるような気がしてならない…。パジャマ姿の青地(つぐみ)が眩しそうにカーテンをめくる。もう陽も高い。中学の非常勤講師をしている彼女は、このごろ学校へ行くのがおっくうで、いくら寝ても寝たりない感じが抜けない。同僚教師の野口(西島秀俊)は、自分の顔のことは棚に上げ、青地の顔がだんだん膨らんできていると笑う。長く付き合い過ぎた彼氏(山本浩司)との会話は上滑りし、好きだという気持ちもすでにおぼろになっている。 繰り返し見続けるのは、記憶とも妄想ともつかぬ奇妙な夢。どうも何かが変だ…。
いつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう―――。毎日家で眠りながら恋人の電話を待つ寺子(安藤サクラ)と、永遠に眠り続ける妻を持つ恋人の岩永(井浦 新)。そんな中、男たち…
>>続きを読む映画が音楽と出会ったのはいつのことだろう。19世紀末に生まれた映画と詩劇『サロメ』。その連関は映像と音声が同時に別々の物語を語ることで表現される。本作では擬人化された映画史の映像と、音声と…
>>続きを読む「あなたはわたしじゃない」 そう言って、あの人は私のまえからいなくなった。 あの晩、私は森の中で置き去りにされた。 獣のマスクをしたあの人は、私のお母さん、だったのだろうか? …
>>続きを読む台北を舞台に、3組の男女の姿を通して、図らずも他人を傷つけながら生きる、都会人の殺伐たる生きざまを描いた一編。犯罪、いたずら電話、夫婦の不和、不倫といった都会ならではの事象を、鋭敏なタッチ…
>>続きを読む不動産会社に勤める茂木ハジメは結婚して数年になる妻のミツと二人暮らしで子供はいない。 ある日ハジメは仕事中に普段とは全く違う格好のミツを街で見かける。帰宅後聞いてみるとミツは一日外出してい…
>>続きを読む四国山脈に隔たれた高知県。いまだダムのない暴れ川の異名をもつ四万十川。太平洋に流れ出るその川の流れと共に、生きてるものが死んでいて、死んでるものが生きてるかのような土地で老いた祖父と余命を…
>>続きを読むまるで現実を遠ざけるように毎日眠り過ぎてしまうマリノは、"床ずれ"の痛みにどうにか耐えながら喫茶店のアルバイトへ通っている。ある日、いつも皺くちゃのスーツを着ている常連客・マモルが寝具販売…
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