
ほとんど人の姿が映らない空っぽの風景にさざめく、濃密な人の気配と声。静かに狂気を孕んでいく男女の日常が、美しい朝焼けや薄明の光景とともに、声や物音だけでつづられていく―。 いま出てきたトイレの中に、誰かがいるような気がしてならない…。パジャマ姿の青地(つぐみ)が眩しそうにカーテンをめくる。もう陽も高い。中学の非常勤講師をしている彼女は、このごろ学校へ行くのがおっくうで、いくら寝ても寝たりない感じが抜けない。同僚教師の野口(西島秀俊)は、自分の顔のことは棚に上げ、青地の顔がだんだん膨らんできていると笑う。長く付き合い過ぎた彼氏(山本浩司)との会話は上滑りし、好きだという気持ちもすでにおぼろになっている。 繰り返し見続けるのは、記憶とも妄想ともつかぬ奇妙な夢。どうも何かが変だ…。
閉館の日を迎えた古い映画館では『血闘竜門の宿』(67)が上映されていた。主演しているミャオ・ティエンとシー・チュンの姿もまばらな客席に見える。受付係の女の思慕は、映写技師の男に届かない…。…
>>続きを読むブティック店員の優は、売れない俳優の恋人・圭からプロポーズされる。その真意をはかりかねる優と、夢のような話ばかり口にする圭との関係は徐々にこじれていき、圭は暴力的な態度を取るようになってし…
>>続きを読む四国山脈に隔たれた高知県。いまだダムのない暴れ川の異名をもつ四万十川。太平洋に流れ出るその川の流れと共に、生きてるものが死んでいて、死んでるものが生きてるかのような土地で老いた祖父と余命を…
>>続きを読むいつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう―――。毎日家で眠りながら恋人の電話を待つ寺子(安藤サクラ)と、永遠に眠り続ける妻を持つ恋人の岩永(井浦 新)。そんな中、男たち…
>>続きを読む「あなたはわたしじゃない」 そう言って、あの人は私のまえからいなくなった。 あの晩、私は森の中で置き去りにされた。 獣のマスクをしたあの人は、私のお母さん、だったのだろうか? …
>>続きを読む夢野久作の短編小説集「少女地獄」の一遍である「殺人リレー」を石井聰亙監督が映像化。事故に見せかけて友人を殺したかもしれないバス運転手と組むことになった女車掌が、次第に彼に惹かれていく姿を描…
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