楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家の作品情報・感想・評価

楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家2005年製作の映画)

製作国:

上映時間:51分

ジャンル:

3.4

「楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家」に投稿された感想・評価

佐藤

佐藤の感想・評価

-
視点の映画。
接近する怪物とそれを目撃する人物の切り返しがやっぱり上手いなと思った。
映画を構成する要素はいつもの清映画と変わらない。
【36-277】観逃していた黒沢清監督作を漸く。
西島秀俊と緒川たまきの夫婦が最高で、特に緒川たまきは以降の黒沢作品に出演していないのが不思議なくらい合っていたように思う。
楳図かずお本人によれば、「『恐怖』というのは『極限の心理劇』」とのこと。 
この映画は楳図漫画が原作であるが、あまり恐怖を感じる映画ではなかった。

ある夫婦が時間を逆行したりしながら描かれる。 
夫が妻を家に閉じ込めて1時間おきに電話をかけて留守でないことを確認する場面が描かれたと思ったら、「妻が勝手に引きこもっている」という夫の発言が描かれたりして、真実はわからない。 
この曖昧さが、物語を判りづらくしており、残念な点のひとつ。 

妻のセリフ「カフカの『変身』は、今ならわかるかも…」というのも、変身場面を事前に暗示している。
てりり

てりりの感想・評価

3.6
ドラマだからか予算のせいか、肝心の蟲がやっつけCGでしょぼく怖くないのが致命的。それ以外は良い
堊

堊の感想・評価

4.0
超おもしろい『わたしたちの家』
自己同一性、1つの教典(今作ではカフカの変身)を巡る解釈、各々の「独り言がたまたま会話になってしまっている」かのような会話…間違いなく黒沢清監督作品というより『ブギーポップは笑わない』の村井さだゆき作品。
どの場面でも唐突に終わって『未来世紀㊙クラブ』が流れてしまうような決め決めのセリフの応酬にテンションが上がる。
スクリーンプロセスにすらなっていない異様すぎるドライブ(天空へ向かっているのか?)、イマジナリーラインガン無視の切り返し、同一素材の反復…黒沢清も黒沢清で暴れていて凄かった。ドリキャスCGの蜘蛛も逆に本当にちゃんと出すところがエラい。そしてちゃんとけっこう怖い。
同一素材が現れるたびに変化していく、って变化のモチーフともちゃんと重なり合っていてすごい。



全然関係ないけど楳図かずおって歌手知っていますか?
本作ではじめて知ったんですがこのインチキポップス感がたまらないんですが…
https://www.youtube.com/watch?v=TuxkqxuGJWk
さすがと言っていい、映画に落とし込まれるそれぞれの時間と視点。
何も間違ってなく正しくない。
カフカをお互いが読み違える
中庭

中庭の感想・評価

3.3
夫婦それぞれの視点を対比して描く、と言えば聞こえはいいが、全く同じ構図のショットが三度も繰り返されるのを見ると、かなり不気味な感触があることに気付かされる。
登場人物の内面に及ぶ変化など興味のないであろう黒沢清が、反復するフッテージに何を生じさせようとしているのか(大杉漣主演の実験作もある)。緒川たまきに倒されるハンガーラックの残像がだんだん画面上に痕跡のように残り、その固定された視覚を天井から落ちる砂や転がり出る死体、『リアル』の首長竜を彷彿とさせるありえないテクスチャのモンスターをこれ見よがしに登場させることで撹乱してみせる。
あいかわらずの階段、妙に広い部屋、窓、屋内にうつる木の影。
ゴトリ、と横たわるしらたひさこの上半身が、ガバッと起こされてどこかへ消える。
明かりのトーンの繋がらない、昼なのか夜なのか、夏なのか冬なのか、分からない。
西島秀俊の外側だけ感、緒川たまきの怪しい美貌。

今見ると、散歩する侵略者とも重なるラスト。黒沢清監督のハッピーエンドは、もう元には戻れないけれど新しい何かに向かって行くこと、というのを読んだことがあるけれど、まさにそれだなぁ。怪しく美しいラブストーリー。
蜘蛛の糸。階段を降りるカメラワークとかよかった。相変わらずの最強の空間設計
西島秀俊が若く、風貌も今とちょい違うんだけど、この頃から声は変わっていないのと、非常に黒沢清的な役者としての空気感をまとっている。ぬぼーっとたたずみ、何を考えているか分からず、突発的に異様な言動をしそうなこの感じ。

緒川たまきも、適度にフィクショナルで、適度に現実的なラインで「美女」としての存在感を放っている。

さすがにこの時代のこのバジェットの作品なので、蜘蛛のCGなどは甘いが、そこに至るまでの雰囲気作りはさすがに黒沢清作品というもの。

この人にしては珍しい「回想シーン」などを多用しつつも、それぞれの視点から語られる食い違ったストーリー、そこから浮かび上がる歪んだ夫婦関係を描写していく前半と不穏な空気は巧みで、そこから一気に異常な瞬間へ飛躍するタッチ、まさしく黒沢清作品。

幽霊は登場しなくても、体験者が「普通の人」でなくても、確かにJホラー的な映像が展開していて、同じ楳図かずお原作の「おろち」などを思いだしつつ、Jホラーがこっち方面に活路を見出すifはあり得なかっただろうか、とか気付けばそんな夢想をしていた。
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