男女五人夏物語、何もない筈の高原で渦巻く愛と言う憎悪。いくらニュートンの仮装だからと言って頭にリンゴ乗っけたらラッキー池田みたいになっちゃうぞ、なんて観てたら、それがそのまま「転落」を示唆する重要なアイテムとして機能しており、挙句の果てにはニュートン→ウィリアム・テルへと姿を変えて行く効率の良さ。強烈な異彩を放つアル中ロランさんは途中からジャンポケ斉藤にしか見えなくなってしまった。そんな酔っ払いにどうぞどうぞとハンドルを握らせるなんてアホ過ぎるけど、彼の攻め方は完全にイニシャルDで主役張れるレベル、薄っすら「藤原とうふ店」の文字が…？芸術家、金持ち、イケメンのサバイバルゲーム、最後に生きる残るのは誰か…って結局そこかいって死にたくなった。ケーブルカーの修理、シュルシュル手で進んでくの超気持ち良さそう。クリ・クリとか、トン・トンとか、名前可愛いね…。

おもしろい！
崖のアクションシーンが印象的な。

「高原の情熱」

冒頭、地雷の爆発のファースト・ショット。ロオヌ上流の高原、一軒のホテル守護天使、三つ巴の恋愛劇、オペラ座のバレリーナ、城、夏の風光明媚なロケーション、バイク、アル中、谷底。今、恋愛に参加されていく人々の物語が始まる…本作は1943年にJ.グレミヨン監督がフランスで制作したマドレーヌ・ルノー主演にし、近年再評価されているようだ。この度DVDボックスを購入して初鑑賞したが面白い。

さて、物語の舞台はローヌ河上流の保護地ホテル守護天使。このホテルを経営する女主人クリクリは、かつてパリのオペラ座のバレリーナだったが、ホテルの近くの城に住むパトリスと恋に落ち、彼女のそばにいたばかりに守護天使に引きこもった。やがて、このホテルにミシェルと言う若い女性が訪れる。そして、彼女の恋人の画家であるロランと近くのダム工事現場の青年技師ジュリアンがそこに加わる…と簡単に説明するとこんな感じで、それぞれの過去や思い、恋愛模様がドキュメンタリータッチのリアルな映像の中に交差させてるの素晴らしい。

いきなり余談だが、この監督は長年呪われた映画作家と呼ばれてきたらしいが、近年ではフランス映画史上の最も偉大な監督の1人として歌われ始めているとのことである。てか「美女と野獣」「悲恋」と同じくアンドレ・ポールヴェが制作担当していたんだね。初めて知った。冒頭の高原での地雷爆撃のショットから始まりラスト悲劇的な終わり方をする映画である。グレミヨンって三角関係のドロドロ系の恋愛模様を描くの好きやなぁ。こないだ見たばっかの「白い足」もそうだったし。

バイクの疾走シーンかっこいいし、でもあんな酔っ払い(アル中)なんかにはなりたくないと思わされる1本でもある。これ舞台夏なんだと思うけど、夏の音と風景の描写がすごく綺麗だ。特にホテルの展望台の窓ガラス越しに捉えられる山々がなんともいえない臨場感があって迫力がある。こんなロケーション撮影最高だろうなぁ。