イハラネルソンホテル、転落死する総支配人はソネンセン、どちらも口に出して言いたくなる固有名詞。肝心の事件やトリックはほとんど誰かのセリフでササッと説明して、インパクトある演出だけいきいき力入れてる貞永監督、いつものやつ。安全第一ヘルメットつけて屋上でトランペット正臣のオープニングから最高だし、ホテルの壁一面のガラス窓あまりにも危ない設計、綿引さんのトリックは26階だけど構造上9階から飛び降りるのと一緒で…とか早口でまくし立てる細かい計算難しすぎて全然頭に入ってこないけど、9階といえば窪塚くんの落下と同じ感じか。全身刺青の女中& 獣姦春画で妻の由美かおる虐めて自分はぬいぐるみで自慰が癖の中山仁、殺されるのは桃の節句の雛壇の部屋、腐敗した顔面やバスタブの流血やらやりたいこと勝手にやっていて監督〜頼もしい。由美かおるより正臣のシャワーシーンのが派手で嬉しいし（のけぞる尻の白さが眩しすぎる天井ショット）ふたりの大量の花束シーンは斎藤耕一「花心中」思い出すし、近藤正臣の美しさみせてくれてありがとうございます。刑事役は出てるだけで嬉しい中野誠也さん、ラブホのテレビで放送してたドラマには松橋登&赤座美代子。池野成の正統派サントラも素敵。

レズセックス？→遠くで男がマスをかくや、白い布を取ると突然エグい死体のショット→水面リストカットみたいな所々にこだわりを感じるもクソつまらん。本当に原作森村誠一か？最後の飛行機で脱出も無駄にアクションしているが一切盛り上がらない。にしても、貞永はテロップ大好きだねえ。

• #2019_kankan_boy

　あと２年も待ってりゃサンシャインの恰好がついたんだ。ついでに角川映画にでも任せたらどんな出来になったか？

　それでも、気障が看板といってもいい近藤の、善人なんざぁ糞くらえな崖っぷちも由美かおるの変態相手にもうギリギリも、見回せば悪党固めなんてところをガツンとやっちまう塩梅の、花は散るのが定めてぇな具合でよい。
　だが、あと２年待ってりゃあ、同じ空を飛ぶんでも、持ちこたえたイハラネルソン・サンシャインをぐるっと回って太平洋にでも自爆飛行という寸法だ。それで被疑者死亡、証拠物件無しがいいのか、こちらのあれが赤牛岳墜死？アカベコがいいのか？また、つくりもの超高層？６２階無いだろう？さすがに気が引けたか後半全く鳴りを潜めてしまったろう。
　もひとつついでに角川だったら転落事件のぶち上げで三菱地所とセゾンを敵に回しての宣伝戦を盛り上げるのがヒリ付くてなもんだ。７０年代後半のワルぶった気分からはそりゃあ派手な方がいいに決まってる。

　そう、半世紀も前のおはなしで、建ったばかりな松竹築地のトップから見渡した先、Ｃ１が流れる向こう岸、黒川の中銀がおっ立っててもっと先にはまだ大汐留駅もあって、新幹線まで丸見えでと、光化学スモッグだけが見えないあたりが物足りないが、東京の下々が沈みかえった様子に、ワルくなくっちゃ生きるライセンスは手にへえらねえぜ、なんて気分、天国と即地獄な感じも盛り上がるじゃあねえか。