アメリカ・ウィスコンシン州郊外、ソファーに横たわるジェニー・ヘイドン（カレン・アレン）はアルコール度数の高いウィスキーとタバコが欠かせなかった。大雨の降る夜、感傷に浸るジェニーの心には、半年前に不慮の事故で亡くなったスコット・ヘイドン（ジェフ・ブリッジス）の面影と共に生きていた。粒子の粗い8mmフィルム、在りし日の2人の幸せな姿にジェニーは涙し、いつの間にかうたた寝する。その感傷を掻き消すように、宇宙から謎の物体が襲来。アメリカ政府の防衛装置によって、謎の物体はジェニーの家の真裏にクレーターを作り、墜落した。泥酔した彼女の前に、宇宙人は不意に現れる。人間の世界に侵入し、リサーチのために思い出のアルバムのページをめくったスターマンはいつしかジェニーの最愛の人スコットに擬態する。前作『クリスティーン』で図らずもスピルバーグの『激突』に目配せしたジョン・カーペンターは、今作では『E.T.』や『未知との遭遇』を無邪気に模倣する。だが1984年の今作はスピルバーグの『オールウェイズ』よりも5年先んじている。いまだ夫の死を受け入れられないジェニーは、殺人鬼とも侵略者ともつかない存在ながら、亡き夫に瓜二つのスターマンに何とも言えない独特の感情を抱く。

　ウィスコンシン州郊外からアリゾナ州の火山へ。2000kmを横断するスターマンとジェニーの旅は、二度と実現不可能な夫とのロード・ムーヴィーともなり得る。Rolling Stonesの『Satisfaction』を無邪気に歌う目の前の人物はスコットではなく、侵略者スターマンに違いないが、ジェニーは彼の真意が分からないまま警察に処分を委ねる気はない。赤・青・黄の信号の扱い、男女のトイレ、鹿の蘇生など、人間と宇宙人との原始的なレイヤーの違いに思わず笑みが溢れるものの、国防省の追ってはすぐそこまで迫って来る。体臭こそすれど、当初は木偶の坊だったはずのスターマンのスコット・ヘイドンに徐々に人格が宿る様子はまったくバカバカしい事ではなく感動すら覚え、2人が初めて結ばれた夜にはうっすら涙腺が緩む。意思を持たない主体との出会いは大袈裟ではなく、黒沢清の『岸辺の旅』や『散歩する侵略者』のプロトタイプともなり得る。運命に導かれたスターマンとジェニーの意思、アメリカの巨悪が2人に迫るが、その侵犯を阻むマーク・シャーマン（チャールズ・マーティン・スミス）の権力に楯突くような孤高の存在感と爽快さは、カーペンター映画の中でも群を抜いている。

ある日、地球を訪れた異星人が米軍に追われ、夫を事故で亡くしたジェニーという女性の家に忍び込む
遺品から彼女の夫そっくりの姿となった異星人は、ジェニーを連れ目的地へ向かう…

人と異星人の交流を描いたSFロードムービー
同じく異星人と交流する「E.T.」が友情なら、こちらは恋愛なので少しだけ大人向けただ、ジョン・カーペンター監督っぽくない作品な気がした

宇宙人を演じたジェフ・ブリッジスの、人ではない者の挙動や表情の演技が巧い👏

序盤で宇宙人がスコットに姿を変える場面は、ちょっと怖かった笑
家の居間に赤ん坊が転がってて、一気に大人になるとかトラウマになるわ😅

途中でジェニーを車に乗っけてくれた人は、囮役まで買ってくれて良い人だった

ジェニーの赤いマスタングII COBRA IIがカッコいい✨

♪サントラ
・The Rolling Stones「Satisfaction」

昔々テレビで観た記憶はあったが、内容にハマらなかったのか、程ど記憶に無かったが…
宇宙人と女性とのラブストーリーだが、人情劇もあったり、政府機関への皮肉もあったりと想像以上の面白さが。

1977年8月20日ボイジャー2号は、太陽系惑星探査と同時に、ゴールドディスクに録音されたメッセージを地球外生命体に向け発信していた。そこには、音楽や、こんにちはを世界中の言葉で録音していたが、何より国連事務総長自ら地球に招待するメッセージが入っていた。
ボイジャー2号は、巨大な宇宙船の中に吸い込まれメッセージを確認。小さな宇宙船が地球に向け発進していた。
カレン・アレンが演じるジェニーは、一人田舎の湖畔に住みジェフ・ブリッジスが演じる亡き夫スコットとの楽しい日々を送った映像を見ながら悲しみにくれていた。そしてワインを飲みながら無理やりベットで横になる。
小さな宇宙船は地球の大気圏に突入し、アメリカ領内に入る。アメリカ軍はそれを探知し、戦闘機をスクランブル発進させる。ソビエトと冷戦下にあった為、緊張が走るが、違うと分かりながらもミサイルを発射し撃ち落としてしまう。
撃ち落とされた宇宙船はジェニーの住む湖の近くの山に墜落。すると宇宙船から青い光の玉がジェニーの家に向かって飛んで行く。光の玉はジェニーの家に入ると、アルバムを見つけ、スコットの写真と、一緒に貼ってあった毛髪を調べる。ジェニーは、光に気づきリビングに行くと、そこには光を放つ赤ん坊が。そして赤ん坊はみるみる成長し、怖くなったジェニーは、銃を向けるが、そこにはスコットと瓜二つの人物が。そしてジェニーと、スコットに瓜二つの宇宙人は、共に本来の着陸地点に向かう事になるのだが…
その時アメリカ政府機関は、宇宙船を見つけ中を調べると、そこにはボイジャー2号のゴールドディスクが有り驚愕するが…

若いジェフ・ブリッジスと、カレン・アレンを見て思わず震えるものがあったが、ストーリーも秀逸だったのでかなり楽しめた。
ジェニーと亡き夫スコットに変身した宇宙人とのラブロマンスと言う異質な内容でありながらも、好きだったスコットと、宇宙人として何も知らないあどけなさや幼さ、純粋さを感じる行動と優しさのある行動に心を惹かれる展開は、ある意味人間の汚れた部分を削げ落とした様に描かれているので納得できるし一層素敵に思えた。例えるなら素敵な王子様が突然現れたと言った表現の方が良いのかも。そこに色々な人達との人情劇まで展開されるので、心温まる内容と人の優しさを感じ観ていてとても気持ちよかった。
実際打ち上げられたボイジャー2号を使いある意味皮肉とも取れる、招待しながら撃ち落とすと言う展開は面白かったし、更に政府機関が悪質な行動に向かって行く展開は、ストーリーの芯でもある愛や優しさとは相反する定番プロットだが、だからこその作品の世界観に没入出来る面白さを感じた。
ラストにしっかりと希望を残す当たりも粋で良かった！
本作の前に制作されたE.Tとは大枠では似ているが、E.Tは宇宙人との友情物語で、本作は宇宙人との愛情物語なので、似て非なるものとして楽しめる作品に思えた。例えるならE.Tが子供寄り万人向けの宇宙人作品だとしたら、本作は大人向けの宇宙人作品かと。更に例えるなら、SF版おとぎ話と言った方が良いのかも。

ジョン・カーペンター監督作品としては、かなり異質な映画なので、これ迄の作品を想像して鑑賞するとハシゴを外される可能性があるので注意！
ジェフ・ブリッジスやカレン・アレンが好きならオススメだが…余り見たことの無い、心温まる異色のラブストーリーを見たければ是非。