「ジョーズ」の大ブレイクによって一流監督の仲間入りを果たしたスピルバーグが、満を持して世に放ったSF大作「未知との遭遇」

その公開から3年後、本作の大ヒットの御褒美として許されたのがこの特別編であり、
主人公の奇行と暴走が痛々しかったオリジナル版の印象を払拭するかのように、ここでは宇宙の壮大なロマンを詰め込んだ作風に仕上がっています。

そもそもスピルバーグの父親は本作の主人公と同じ多忙なエンジニアであり、仕事の都合で引っ越しや転校もしばしば、
その上両親の離婚なども重なってスピルバーグは家庭に大きなトラウマを抱えたまま少年時代を過ごすこととなります。

劇中での理解不能な父親に苛立ち、涙ながらに激昂する息子たちはスピルバーグ自身の投影であり、
家庭を省みず外界へのめり込んでいく様は本作のラストとも重なります。

ただ、プライベートそっちのけで生き甲斐にその身を捧げる姿は、大人になり映画監督という多忙を極めた職に就いたスピルバーグも身をもって痛感しており、
父親を断罪したオリジナル版とは違って、その理解が特別編には如実に現れているように感じます。

また、本作で俳優として出演した映画監督フランソワ・トリュフォーはこの前年に子ども達を主役にした傑作「トリュフォーの思春期」を撮っており、
彼は本編撮影中のスピルバーグに子どもを主体としたSF映画の可能性を説きました。
その助言を元に生まれたのがあのSF映画の金字塔「E.T.」

そんなトリュフォーのかつての盟友で商業映画と決別したゴダールは、商業娯楽の権化とも云える本作を手厳しく批判したものの(スピルバーグへの嫉妬も含め)、
その2年後には12年ぶりにあっさりと商業映画への復帰を果たしています。
それは商業映画でバリバリ成功していく旧友トリュフォーに触発されたのも少なからずの要因だろうし、業界に対してあくまでゴダールなりの商業映画の在り方を提示したかったのかもとも思います。
ゴダールがトリュフォー作品の常連ナタリー・バイを起用したのも感慨深いし。

そんなこんなで映画史において意外と重要な役割を担った本作。
スピルバーグは家庭を放棄した父親を「未知との遭遇」で描いたわけですが、
その約25年後に監督したSF映画「宇宙戦争」では必死に我が子を守る父親が描かれており、彼の心境の変化と成長を窺い知ることができるのです。

2019-04-15記。
ブルーレイは3バージョン(オリジナル劇場版/特別編/ファイナル・カット版)が1枚に収められ、切り替えられる(レンタルでも)。
しかもオリジナル劇場版にないシーンでは、それを示すアイコンが表示される。この仕様にスコア0.5プラス。
この特別編のみマザーシップ内部のシーンがあり、エンドロールでピノキオの「星に願いを」と例の5音をミックスした曲が流れる。
俺は3バージョンの中で特別編がいちばん好き。

スピルバーグ祭り第10弾

2年前くらいに映画館でファイナル・カット版を見たのですが、全然覚えてなくてびっくりしました。
また逆に覚えてたシーンが、特別編でカットされていたりしてました。リチャード・ドレイファスが植木を家の中に放り込むシーンが印象的だったのですが、そこはカットされていました。逆に風呂場で1人で泣いてるシーンが追加されていました。

この映画は何が面白いのかわからないのですが、なぜかラストはあまりの美しさに感動してしまいます。中盤までは正体がわからないので、話もあまり進まず結構退屈です。この感じは激突、ジョーズと一貫してますね。

主人公が夕食中にいきなり食べ物で模型を作ろうとしているのを見て、息子が思わず泣いてしまうというくらい、父親としての役割を放棄したこの主人公は異常ですね。

この映画は序盤から光の演出がすごいのですが、ラストにかけて演出が極まっていますね。子供が連れ去られるシーンや、母船から人や宇宙人が出てくるシーンや、宇宙へ飛び立っていくシーンでは神々しさも感じました。

個人的にデビルスタワーにいてる大半の人が、サングラスをかけているのが好きです。

特別編では母船の内部が見れたり、星に願いをがかかったりしてました。ファイナル・カット版より特別編の方が好きかもしれません。オリジナル版だけまだ見たことないです。

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