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モルギアナ
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目次

『モルギアナ』に投稿された感想・評価

チェコのゴシックドラマ。
姉の鬼気迫る表情や流れる音楽、演出などからホラー味も漂う。

打楽器とオーケストラ 不気味な雰囲気
オープニングは死去した父の埋葬シーンから。
ヴィクトリアとクララは二人姉妹。姉が闇なら妹は光。
妹は社交的でいつも周りに人が絶えず、男性からもモテモテ。
そして父の遺産は妹へ…。 

激しく嫉妬する姉ヴィクトリアは、妹を陥れようと企らみ、毒の入った小瓶を忍ばせる。
画面は終始グレイッシュでダークトーン。
白昼夢など幻想的な表現もあり。

モルギアナというタイトルはシャム猫ちゃんの名前から。お姉さんが飼ってます。

薔薇だらけの華やかな庭園と豪奢な屋敷。
レースや花を多用した貴婦人の美麗なドレスや帽子など…この映画は衣装や美術が素晴らしいです。メイクもゴスっぽいというか…特徴的。
妹クララの白薔薇のドレスが中でも可憐で美しい。

とあるページでこれを火サス的カルト・シュールレアル怪奇映画と紹介されてて…音楽がもろ火サスを連想させるんですよ!びっくりするくらい。(もちろん火サスの方が後)
姉の企みは成功するのか?姉がほんとに嫌なやつなので、この企みは成功してほしくない…と思いつつも姉目線で物語は進行するので、いつどうなる?とドキドキ。

このお姉さんが後家さんみたいな雰囲気でいつもイライラしてて…。
気に入らないメイドの頭に影からでっかい石投げたり、毒の効果確かめるためにメイドの犬の水皿にたらりしたり…妹の恋人にせまったり…となかなかクレイジー。

そして、待って待って…。
毒々しい姉、清らかな妹…なんと同一人物が演じていたことを後で知る。
メイクや髪型、ドレスと表情でこんなに変わる?というか私が鈍すぎ?
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.8
「モルギアナ」

〜最初に一言、火曜サスペンスをゴスロリ・ファンタジー・ワールドに変えた最も残酷で恐ろしく毒殺事件が映し出されたチェコ映画ホラーの秀作〜

https://youtu.be/tbnzmYaXt6o

YouTubeで映画解説しております。


冒頭、棺を抱える男らと漆黒のベールで顔を隠す姉妹。父の死、遺産相続、猫と鳥と犬、毒薬、占い、第三者の存在、メイドの裸、投石、海と殺人、アイライン、桂。今、プライドを踏みにじられた姉が計画する恐ろしい毒殺事件が映し出される…本作はユライ・ヘルツ監督による1972年チェコスロバキア映画で、こちらも日本未公開と言うことで、廃盤のDVDボックスを購入して初鑑賞した。嫉妬と疎外感に苛まれたゴスな乙女の妹毒殺奮戦記と言う謳い文句でコアなファンがいるそうだ。ロシアのエドガーアランポーの1名を持つアレクサンドルグリーンの小説をベースに、70年代少女漫画のノリで展開するゴシックロマンスである本作は、

本作の冒頭は棺を抱えた黒服の男数人が土に入れようとするファースト・ショットで始まる。どうやら父親が亡くなったそうだ。そして遺産相続をする姉妹2人が映し出される。 2人は漆黒のベールで顔を隠している。カットは変わり、蝋燭に火を灯すクララの姿。姉のビクトリアが鏡を見すぎよと言いやってくる。 2人はどうやら仲があまり良くないようだ。続いて、カメラは床を滑るように部屋を捉える。

2人は朝食を食べている。そこには猫やインコなどが部屋で暮らしているビクトリアは猫を手に持ちインコを襲わせようとする。カットは変わり、姉妹は海岸沿いの別荘のようなところにいる。クララは花の香りをかぎ、白鳥と戯れる。続いてタロットカードでビクトリアとその占い師のような女性が2人で求婚する男性の姿が見える事柄について占い話をしている。そうすると邪魔な女が出てくることが判明し、それを排除しなくては不幸になると助言される。

それがやがて妹のクララを毒殺するまでに至るー連の流れを起こしてしまうことになるのだった。さて、物語は亡き父の遺産を相続したビクトリアとクララ。姉のビクトリアは意地悪で高慢チキだが、実はコンプレックスの塊で愛情の対象はシャム猫のモルギアナだけ。一方、妹のクララは少女のように無邪気で皆から愛されていた。ある出来事がきっかけで、プライドが傷つき疎外感がピークに足したビクトリアは遅効性の得でクララを毒殺することを決意するのだが…と簡単に説明するとこんな感じで、これは非常に面白い。



犬の餌である牛乳に毒を試しに入れて効くかどうかを試すビクトリアの恐ろしい表情や、時折挟んでくるモルギアナ(猫)の可愛いつぶらな瞳がたまらなくいい。と同時に音楽がすごくおどろおどろしくて、ワンシーンごとにビクトリアが行おうとする毒殺の練習や考察が怖い。この作品の冒頭に流れるスコアが個人的にめちゃくちゃかっこよくて好きだ。

そんで、姉妹の独特なインパクトのある化粧やゴスロリファッションが対照的で良い。お姉さんはカラスのような真っ黒なファッションに身を包み、妹は白鳥のような真っ白なファッションに身を包む。性格もそれぞれ異なっており、メイクアップも全てが対照的にとられている。

また岩壁の間で裸になって水遊びする数人の美女のショットがたまらなく美しい。どこかしらパゾリーニ監督の「豚小屋」の様で、ロケ地がどこだか知らないが非常に良い。所々に犬のショットも挟まれるのだが後小さい子供、それも可愛らしい。そんで実は犬に与えていた毒は子供が犬の餌を飲んでいたと言う事実を知ったときのビクトリアの驚く表情もたまらない。

そんでもって第三者の出現により、ビクトリアの計画が崩れ始めて、そいつを殺そうとするまでの展開も非常に恐ろしい。それとクララが時折鏡越しに見る姉の幻想や幻覚もスコアとともに緊張感がある。それにしても見事に一服毒を盛ることに成功したビクトリアが妹であるクララが日々弱っていく姿を見ても何とも思わないと言う冷血さ、コンプレックスの塊と言う前情報がある中、映画ではほとんどそのコンプレックスが写し出されずにいて、クライマックスでビクトリアの本当の姿を知った観客は大いに驚いたと思う。

そして姉の悪さを全て知っているのは飼い猫のモルギアナただ1匹だけである。そういった乙女映画の中に残酷性を取り入れた…というか残酷性しか入れてないめくるめくメロドラマがこの作品はある。ふとした時に出現する幻想的なイメージとゴシックな佇まいの屋敷と衣装が素晴らしいのは言うまでもないが、物語自体も全くもって難しくなく単純明快である。ただ、あの第三者を殺され、そしてまた現れるシーンは少しばかり強引かなと思ってしまった。

あの崖でのもみ合いの場面を見ると、どうしても片平なぎさや山村紅葉が主演を務めるサスペンスドラマの雰囲気と重ねてしまう自分がいる。それにしても主演を飾ったイヴァ・ヤンズロヴァが対照的な姉妹を1人2役を演じたのは凄い。とゆうかメイクアップだけでこうも極端なキャラクター作りができるとは恐れ入る。特にあのドラッグクイーンを彷仏とさせるボリューミーな髪型とつけまつげと細い眉毛がなんともすごいこーゆーのをアイメイクと言うのだろうか…とにかくすごかった。

このビクトリアと言うキャラクターとクララと言うキャラクターが非常に面白く描かれている。まず邪悪なお姉さんはバラの花に触った瞬間に刺に刺さる始末で、逆に妹は白鳥がいる泉の中にドレスのまんま入ってしまうほど馬鹿な雰囲気を醸し出している。それにビクトリアは覗き趣味なのかあちこちで覗きをしているシーンが垣間見れる。対して妹のクララはとにもかくにもイラつくような言動やしぐさをして周りをイライラさせる(この場合は姉貴だけだがイライラする)。

ネタバレになるから言えないが、この一連の毒殺事件を行わせたビクトリアのプライドをぐちゃぐちゃにしたとある男の件は本当に馬鹿らしくて笑える。こんなことで人殺しをするのかよと思うばかりである。とは言う物のもこういったバカバカしさが映画的で非常に喜ばしいところなんだけど。散々な目に合う姉妹だが、ビクトリアが号泣するシーンなどはないが、彼女が海の中にドレスのまま入っていてマスカラが落ちて目元を黒くする場面は多分、そこで泣いていると言う演出を監督はとっているような気がする。

かくして、ハッピーエンドで終わってバットエンドで終わるそんな物語である。これはかなり怖い映画でもある。気になる方はお勧めする。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.0
不平等な財産分与に不満を持った姉が妹に遅効性の毒を盛る、ってまぁ正直それ以上の事はたいして起こらないチェコ産ゴシック・ミステリー、と言いたいとこだけどゴシックなのもメイクやら衣装だけ、後は至って凡庸な火サス風のドラマ。『高速ヴァンパイア』だけで止しておけばよかったのに…やっぱりヘルツにメンツェル的な何かや、シュヴァンクマイエル的な何かを求めるのは間違いだったようだ…残念。一応主演女優の一人二役で、光の妹と闇の姉を演じ分けているのは褒めた方がいんだろうけど、いかんせんストーリーが全然面白くない。最後が若干トラウマチックではあって、姉が黒柳徹子ヘアーだ!って思ってたらまさかのズラで、バッファローマンのそれと同じ衝撃を受ける位。ま、まさかビッグ・ザ・武道がネプチューンキングだったなんて!みたいな驚くような展開は何一つないし、もちろんキン肉マンは何一つ関係ないけど、俺はやっぱりモンゴルマンが好きだ。

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