『キングダム』
原題:Riget(ノルウェー語)
製作年1994。
話数　全4話
コペンハーゲンの巨大病院“キングダム”を舞台に、病院内の人物 を巻き込みながら奇妙な事件が連鎖していく様を描くカルトドラマ。
※WOWOWで全8話でしたが、この欄では4話までが一つの作品となってるんでその感想を書きます。

ラース・フォン・トリアー監督の『キングダム』は、もともとデンマークのテレビ局向けに8エピソードのテレビシリーズとして公開されたそう、他の観客のために再編集されて1本の映画となって各地でコアな劇場でこいかいされて。どういうわけか、私が観た "1本の映画 "は4つの "エピソード "に分割されており(小生はWOWOWでの鑑賞で全8話)、各エピソードは60分から80分の長さで、オープニングタイトルシークエンス、プロローグ、90年代の安っぽいオープニングクレジットがある。
俳優の名前がフラッシュアップされると、その俳優の顔が映し出される。
ラース・フォン・トリアー本人が登場し、観客に直接語りかけてる。
奇妙なエンドクレジットのシークエンスも毎回ある。
最高に奇妙。
今作品は、大部分はとても楽しめた。
興味深い登場人物、よく考えられた状況、倫理的ジレンマ、ダークなコメディのセンス。
そして、ホラーでありながら、決して怖くはない。
特に後半には、3組の登場人物がさまざまな理由で病院の書庫に密かにアクセスしようとするんやけど、それがすべて同時進行したり、文字通り最悪のタイミングで抜き打ち検査が行われたりする。
さらに、ネタバレにならない程度に紹介することはできないが、本当に忘れがたい映像がいくつかある。
しかし、これは非常に大きなことなんやけど、これがテレビシリーズの一部であるということは、さらに多くの商品を生み出すことになった。
3年後の1997年には第2シリーズがあり、第3シリーズもある。
第2シーズンに向けて視聴者の関心を維持するために、いくつかのクリフハンガー(続きを気にさせるような終わりの場面)が盛り込まれた。
いくつかというのは、もちろん、いくつもある筋書きのひとつひとつやろけど、このいわゆる、おそらく映画のパート4が終わった時点で満足のいく結末に達していないということ。
結末があまりに曖昧な結末を嫌うが、今作品を映画タイプで観た人はこれまで出会った中で最も曖昧な結末に感じるやろし、果てしなくイライラさせられるはず。
最後の "エピソード "は、答えを提示するよりもはるかに多くの疑問を投げかける。
画質もかなりひどいかな。
セピア色で粒状感があり、ほとんどの部分で不気味な雰囲気を醸し出しているが、時折、安っぽく感じられる。
また、これは個人的な不満なんやけど、医療ドラマということで、手術シーンが少し苦手なため、普通なら目をそらすような場面がいくつかあった。
プロット、キャラクター、コメディの大部分は楽しめたが、どんな答えも得られないとわかっているものを勧めることはできないし、出来たらパート1と2を併せて観た方が無難ちゃぶなんかな。


※あらすじを抜粋(WOWOWから)しときますが、ここからネタバレに抵触しますので、お読みの際はお気をつけ下さい。

第1話
1時間6分
霊能者のドルッセ夫人は、仮病を使ってキングダム病院に入院する。
彼女は子どもがすすり泣く声を聞き、声の正体を探り始める。
デンマーク嫌いのスウェーデン人医師ヘルマーは、自身のずさんな手術の結果、脳に損傷を負った少女モナの母親から訴えられそうになっている。
一方で、メースゴー医師長はのんきに“朝の空気運動”に力を入れ、医学生のモッグは、睡眠研究所のカミラに 近づこうとサプライズを仕掛ける。。。

第2話
1時間8分
ヘルマーは、今も医療過誤の訴えに頭を悩ませていたが、病理学者のボンドが珍しい肝肉腫を手に入れるのを手伝ったことで、友愛会からの支持を得られることになる。
犬のボンゴと瀕死のモーゲンセン夫人の助けを借りて、ドルッセ夫人は子どもの霊に近づくが、少女と奇妙な男の古い写真を見つけたことによりさらに謎は深まる。
病院の地下にある秘密部屋に住むクロウスホイに、ユディットはある告白をする。。。

第3話
1時間11分
医学の発展のためにどうしても珍しい肝肉腫が欲しいボンドは、 患者の家族からの同意が得られないがために、自らの体に悪性が んに侵された肝臓を移植してしまう。
ヘルマーは自身の医療ミスの証拠となるカルテを処分するため、病院の記録保管所に忍び込む。　ついに霊と接触したドルッセ夫人とブルザーは、死亡報告書にマリーの埋葬場所が書かれていないことに気付き、彼女の遺体を捜しだす。

第4話
1時間18分
モナのカルテの件でクロウスホイに脅迫されているヘルマーは、 ある邪悪な計画を企てる。
ドルッセ夫人とブルザーが少女マリーの葬式を執り行なう一方で、別れた男クルーガーとの間にできたユディットの赤ん坊は、異常な速さで成長する。
メースゴーが厚 生大臣と病院長に病院の案内をするが、院内ではますます怪しく異常な事件が蔓延しており、事態はついに崩壊へと向かうのだった。

私が信じる"キングダム"


ストーリー
“王国”と呼ばれるコペンハーゲンの巨大病院を舞台に、病院にひそむ過去にまつわる亡霊と、ソープオペラ風に錯綜した人間模様が怪しく織りなすブラック・コメディ調のミステリー・ドラマ。真実はクレイジーなホラー。


原作・監督・脚本
ラース・フォン・トリアー


デンマークの鬼才が放つ"視聴率50%"超えのモンスタードラマシリーズ第一弾。


まず、最初に思ったことは
デンマークの国民、お目が高い。
こんな狂ったとしか言いようがないドラマが視聴率50%超え！？
日本で生まれ育った私には到底理解が追いつかないレベル。北欧恐るべしとしか言いようがない。


ちゃんとラースフォントリアー。
最初から最後までラース映画だから、救いの余地とかそんな事言ってる場合じゃない。
セピア調のホラーなのに、男女の関係や性にオープンな国柄、確執、嫉み、嫉妬、生と死、それを題材にしたブラックジョーク。
全ての要素が入り乱れながらも、最終的な終着点はラース流。
またまた度肝を抜かれる。
めちゃくちゃ面白い。


ドラマだから、尺に圧迫される事なく伸び伸びと演出をしているラースの才能と、それを信じてドラマとして放送するTV局の英断。
日本と比べると国民総数が圧倒的に少ないが、それでも国民の2人に1人が観たと言う事実は、十数年の時を経て私に衝撃をもたらす。
これだから次から次へと新しき若い才能が生まれるのだなと妙に納得した。
生まれやすい環境ってのもかなり大きい。

毎回エンドロールにラースフォントリアーが出てきて解説する訳だが「なんて自己顕示欲が強い男なんだ！」と思わずにはいられない。
これがある意味、TVドラマ程度のチープさへとワザと落としている。ラースの登場がなかったら怖い余韻のまま終わって人々は見る事をやめてしまうかもしれない。その選択は見事。


U-NEXTで10月31日までレンタル配信。
これを逃すとほぼ見る機会はないと思うので絶対にオススメしたい。
もちろん、ラースフォントリアー作品を前提に、体調が良い時をオススメする。

こんな笑える作品だったとは！絶対眠くなると思ってたけど、4時間半あっという間の面白さだった。病院を彷徨う少女の幽霊の謎を探るミステリー展開と、医療ミスを隠そうとするムカつく医師による隠蔽工作の2軸をメインに、多種多様な濃いメンツたちそれぞれの思惑がそこに交差していくようなお話。デンマーク版『ツインピークス』と言われてるようだけど、確かに雰囲気が似てるかも。2も楽しみ！

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