伝説の北欧カルトホラーが30年の時を経て蘇える。

オーレ・ボールネダル監督、脚本、ニコライ・コスター＝ワルドー主演によるデンマーク製作のミステリで、1994年に本国公開された作品のデジタルリマスター版。
病院の遺体安置所でアルバイトをする法科学生が、連続殺人事件に巻き込まれていく姿を描く。
オリジナル版及び同監督によるハリウッドリメイク版『ナイトウォッチ』は未鑑賞。
主人公となる法科学生のマーティンをワルドーが演じているほか、ソフィエ・グロベル、キム・ボドゥニア等が登場。
物語は、冒頭パーティーを開いている家の中を、長回しでカメラが動き回って映し出すという、何気に惹きつけられるシーンでスタート。
以降、病院の遺体安置所（＝モルグ）てアルバイトをすることとなったマーティンと、世間で起きている娼婦を狙った連続猟奇殺人事件が、どう絡んでいくかが見どころの一つなのだが、何と言っても本作品の特徴は、主な舞台が病院であること。
序盤、マーティンが夜警の仕事を辞める老人から仕事の引き継ぎを受けるシーンがあり、ここで一通りの設定が自然な流れで説明されることとなるのだが、無機質で薄暗い廊下が続き、天井の電灯には蛾が日に日に増えていき、謎の部屋があったり、挙げ句の果てには常に遺体が横たわっているモルグがあったりと、その雰囲気は抜群で、見ているこちらにも死臭が伝わってきそうなものとなっている。
そんな状況設定や、モルグの様子が描かれているイメージビジュアルから、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督『CUBE』や、ジェームズ・ワン監督『ソウ』といったソリッドシチュエーションスリラーのような展開や、はたまた冒頭書いたように「伝説の北欧カルトホラー」の文字がコピーとして躍っているように、グロさ全開のスプラッター的な内容かと思いきや、思いのほかホラー的な要素は薄く、どちらかと言えば青春ミステリに近かったかなと言うのが正直な印象であり、それ自体もミスリードになっていたのかもと感じた次第。
クルマ好きの視点からすると、序盤にデンマークの街中を走るバスが一瞬映り込むのだが、それが連接式であったような気がしたことと、終盤、捜査官が乗っていた覆面パトカーと思しき車両がプジョー・405のセダンであったのは見逃せないポイント。
気がつけば、序盤から巧妙な伏線が張られていたり、ジャンプスケア的なホラー演出ですらミスリードであったりと、散りばめられた仕掛けに見事騙されることとなったのは嬉しい誤算であったとともに、マーティンの親友イェンスの頑張りを応援したくなった挙句、ザ・ハリウッド的なラストカットに、爽やかさすら感じた良作。

火星へようこそ。

デジタルリマスター
初鑑賞

昔ながらの良き作品

展開とストーリーは捻りはないけど
シンプルに映像と音の組合せが
抜群に面白かった

• #25-003

性描写多めです、ホラー映画という感じはせずサスペンス映画でもあるなと思いました