『恋する宇宙』　
原題Adam.
製作年2009年。上映時間99分。

アスペルガー症候群の青年と、心に傷を抱えた女子が織りなす切ない恋の行方をつづった米国産ラブストーリー。

ニューヨークで暮らす天体マニアの青年アダム。
アスペルガー症候群のため人づきあいが苦手な彼は、玩具会社で働きながら孤独な毎日を送っていた。
そんなある日、アダムは同じアパートに引っ越してきた童話作家志望の女性ベスと出会い、恋に落ちる。。。

今作品の2009年頃は、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろんな名称で呼ばれていたけど、2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症（ASD;Autism Spectrum Disorder）として、まとめて表現するようになってます。
今作品の感想はアルペルガー症候群の方を使っていきます🙇‍♂️。

アスペルガー症候群は、よくAD/HDと混同される。
両方とも『空気が読めへん』 から。
せや、AD/HDは周囲を気にせずに衝動的に行動し、計画的に物事を行うことが非常に苦手。
場当たり的な衝動で行動を起こしてしまうため、スケジュールがあったとしてもそれに従うことが困難です。
アスペルガーは他人の気持ちを表情や口調から察することができないが、優先順位を考えたり、他者の意向をくんだりして計画を立てることは苦手ですが、規則性を好むため、計画的に行動を行うことは比較的に得意。
アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)のサム・ガードナーの生き方に焦点を当てドタバタが起こる『ユニーク・ライフ』(Netflixでシリーズ4まで出てます)って米国ドラマにハマってよく観てましたが(新シーズン主人公がペンギンに会えるのか待ち遠しい)、こちらのドラマも巧く自閉症スペクトラムを描いてたし、お時間があり、また、Netflixなど利用できる環境で、この症状に興味がある方には合わせて見れば理解が深まるかと思います。

扨、今作品ですが、ニューヨークに住む主人公のアダムは、女性が重たそうな荷物を抱えて階段を上っているのを見ても助けようとしない。
アダムは毎日キッチリ同じことだけをして20年間生きてきた。
何着も持っている同じ服を着て、毎日同じチーズマカロニだけを食べる。
アスペルガーの特徴かな。
子どもの頃と何も変わらないアダムを守ってくれた父親が亡くなっちゃう。 アダムは一人で世界に対峙せざる得なくなる。
そんな彼が恋をする。 　
アスペルガー症候群の人にとっては異性を口説くどころか、目を見ることすら苦痛。
もちのロン、アダムも。
でも、アスペルガーとAD/HDにもある持ち味、どちらもいったん集中すると寝食を忘れて極め尽くすことができる。
そこでアダムは、彼女に向かって自分の好きな宇宙論を延々としゃべり続ける。
それが彼なりのラブコールなんやろけど、普通はキモいだけかもしれない(あくまでも症候群をもってないと云う前提で他者は見た目ではわからないし)。
ところがっ！幸運にも彼女は幼稚園の先生。
こどもが好きで、『星の王子さま』が大好きやった。
展開が面白かった。
今作品は、監督・脚本のマックス・メイヤー自身は、アスペルガーではない。 せやし、描かれるのはアスペルガーの現実じゃなく、コミュニケーションと人間の成長ちゅう普遍的な問題やと思います。
アダムは彼女を通して女子を知っていく。
初めて他者のことを学んでいく。
なぜ、アダムなんやろか。
最初の人類アダムは、神に守られて暮らしていた。
そこにエバが作られた。
アダムは女子という他者を知る。
ほんで彼女に誘われ安全な楽園を去り、死の恐怖が待つ荒野に踏み出す。その時、人類が生まれた。。。
そんな神話を秘めて作品は作られたんかと、ふと思う作品でした。

エンジニアのアダムは宇宙オタクなアスペルガー。そんな彼はベスに恋をする。

話が進むにつれてアダムに肩入れしたくなるだろうが、自分ならベスとは違った選択をするだろうか？


アスペルガーに関する作品を観ていると、多くの人が彼らの心の豊かさを埋められずに理解できないように感じる。

友人としてはクリアできても、それ以上の関係では果たしてどうなのか。と本作では問うている。


見た目はキツそうなベスのママがとても素敵なことを言っていた。
「愛されることより愛することの方が大事。」

• #アスペルガー

皆様書かれている通り、ビタースイートという言葉がぴったりの恋愛映画。アスペルガー症候群そのものを描いているというよりは、それが恋愛映画における笑いや切なさをもたらす要素として効果的に使われていて、とてもいい感じ。

アスペルガー症候群の主人公の青年アダムが直面する「心地の良い環境に留まっていては人生つまらないし成長もできない」というメッセージ性は、普遍的で誰もが自分のこととして非常に共感しやすい物語に仕上がっています。

全体には音楽も含め辛気臭いというかしんみり度が高いけど、特に前半は思わず声を上げて笑ってしまうところもたくさんあり！空気感は前半からの調子で後半も行って欲しかったなと思いつつも、ストーリーや落としどころは素敵で、観ている間もほっこりしたり切なかったり、観終わったあとの後味もよかったです。ニューヨークのロケーションもやっぱりオシャレ。

理論上はストーリー構成でうまく処理されているとはいえ、「やっぱりアスペルガー症候群の人とお付き合いするのは大変そうというか無理...」と思わずにはいられない病気の描写は賛否が割れる点かも。

安心して観れる展開も典型的ないかにもラブコメ的といったベタベタ感はなく、加えて笑いやほっこり、切なさなど恋愛映画の基本的な感情要素がしっかり味わえてなかなか満足度は高かったと思います😊