【何を考えるか】

1991年に第一部が、1992年に第二部が初演となったトニー・クシュナー作の戯曲が原案だ。

戯曲の方は、トニー賞、ピューリッツァー賞の演劇や戯曲賞を受賞し、演劇史上も非常に重要な作品とされている。

これが2003年にドラマ化され、アル・パチーノやメリル・ストリープが出演、これもエミー賞やゴールデングローブ賞で多くの賞を獲得した。

今回、新国立劇場小劇場で4月18日から1ヶ月以上にわたり、一部、二部、別々の公演だが、合計すると休憩をのぞいても6時間半の長丁場の戯曲として上演されることになった。

これを観た上でのことだが、過去に鑑賞したドラマにレビューとして感想を書いて残しておきたいと思った。

考えてみたら、ユダヤ人も、リベラルや保守のアメリカ人も、そして、モルモン教徒も、もともといた場所から逃れて来た人たちだ。
迫害もあった。

かつて迫害された人々の末裔が誰かを迫害する。

時々、多様性って、前より窮屈になったなんて考えることがある。

皆がまとまって権利を主張することは絶対必要なことだと分かっているけれども、LGBTQって単純にくくったせいで、妙に窮屈になったって、そんなふうに感じているのかもしれない。

モルモンで既婚だがバイの男。共和党寄り。

ユダヤ人で白人至上主義でパターナリズムの共和党員のバイで、エイズで死にかけてる男。権力を振りかざす。

両親がアカで、理屈っぽいゲイ。実は優柔不断。きっと、女性はこんな男に惹かれないと思う。

伝統的アメリカの旧家の出自で、ゲイでエイズで死にそうな男。純愛を信じている。

本当は、多様性とは個性をベースで考えるべきものじゃないのか。

モルモンでヤク中で、愛に飢えている女もそうだ。
被差別の対象である黒人のナースでドラッグクィーンは、何でもお見通した。愛が一番厄介みたいにいうけど、確かにそうだ。

5年近く前に観た、女性の同性愛者とイラン女性の交流を描いた映画「西北西」を観た時に、ノンバイナリーが人を好きになるのは、シスジェンダー男性の僕がふとしたことで女性を好きになるのと何ら変わらないと思ったことも思い出した。

だから、愛は厄介なのかもしれないけれども、とても愛おしい気がする。

人を好きになることは、本当に全ての人類にとって共通のことである気がするからだ。

この作品は、同性愛の恋愛に過度にフォーカスを当てたものではないが、登場人物に様々な角度で個性を与え、エイズを通して、その心理を印象的に描き方から、宗教や政治、時代まで様々に問いかける緻密な作品だと思う。

チャンスがあれば新国立劇場の舞台をチャレンジしてみてください。

352分（6章構成）再挑戦して一気鑑賞❗️
改めて良さを痛感、なんて素晴らしい👏🏻

そもそも『アプレンティス:ドナルド•トランプの創り方』から『ロイ•コーンの真実』を辿って再び鑑賞に至ったのは、作中の弁護士がロイ•コーンだったのを数年前は全く理解していなく、折角の作品の良さを感じ取ることが出来ず、また演劇がベースで独特の雰囲気もあって2章でリタイヤしていました。
ロイ•コーンをアル•パチーノが熱演しているのです。観る前に必要な知識、情報はつくづく大切だと思いました。


1990年代のアメリカの演劇を代表するトニー•クシュナーによる傑作劇。トニー賞とピューリツァー賞を同時に受賞。
こちらはそのテレビ映画版となります。

トニー•クシュナーと言えばこの他に以下4作品の脚本でも有名、全て観ています。
ミュンヘン (2005)
リンカーン(2012)
ウエスト•サイド•ストーリー(2020)
フェイブルマンズ (2022)


《内容》
80年代のアメリカが舞台。エイズに苦しむニューヨークのゲイたち。その恋人や家族の愛と悲哀を幻想とユーモアを織り交ぜ、人間の苦悩の根源に迫る。
宗教、政治、祖先、死生観などテーマが多岐に渡る。

《登場人物》
◉ゲイのカップル
⚪︎プライアー（ジャスティン•カーク）
　　↑の先祖1（マイケル•ガンボン）
先祖2（サイモン•キャロウ）
⚪︎ルイス（ベン•シェンクマン）

⚪︎プライアーの元カレでルイスの友達でロイの看護師ベリーズ（ジェフリー•ライト）

⚪︎プライアーの主治医/天使/ホームレスの3役（エマ•トンプソン）

◉ゲイの夫とその妻
⚪︎ジョー（パトリック•ウィルソン）
⚪︎ハーパー（メアリー＝ルイーズ•パーカー）

⚪︎ジョーの母ハンナ/エセル•ローゼンバーグの亡霊/ラビの3役（メリル•ストリープ）

◉悪辣弁護士ロイ•コーン（アル•パチーノ）
⚪︎ロイの主治医（ジェームズ•クロムウェル）



3つの◉のエピソードが絡んで入れ替わりながら交錯していくが、ロイ•コーンがどんな人物なのかさえ掴んでいれば物凄く楽しめる。

1章でロイ•コーンが主治医からエイズと知らされる。当時の大統領レーガンに早々に電話をして国立研究センターのエイズ専門治療の予約を最優先させてもらうとか、コーンがソ連のスパイ事件で死刑にしたローゼンバーグ夫妻。妻のエセルが恨んで亡霊で現れる。解ってるからこそ面白い🤣

プライアーがエイズに侵されていることを同棲しているルイス（ユダヤ人のゲイ:クシュナーも同じ）に告げる。ルイスは去ってしまうが後悔している。

ジョーはモルモン教徒（下着が教徒専用もの）でロイ•コーンの裁判所書記官。ロイに認められている。
夫婦仲が冷め切っている原因は、ジョー自らのマイノリティに悶々とするからで、ハーパーはそれを苦に薬物依存症。心配して母親が訪ねる。しかしジョーはルイスと出会い関係を結び多幸感を得る。

ベリーズは元ドラァグクイーンで常に冷静に物事を捉え、プライアーを介護し、ルイスに力付け、ロイにさえ優しく接している。一番真っ当な人物。

パチーノ（63歳）、ストリープ（54歳）、トンプソン（44歳）のベテラン勢がそれぞれの"らしさ"で特徴を出す最高の演技が拝めるので貴重品。

主役級のジャスティン•カークってあまり知らなかったが、イケメンで上手くて惹き込まれました💫オビー賞等を受賞していて舞台やテレビでも活躍している。

感じ入るものが多い作品ほど上手く纏められずですが、米大統領トランプを創ったとされるロイ•コーンを知り、関連作を楽しんで勉強にもなったし良い経験となりました。
長いけど夢中で時間は感じませんでした、お薦めです✨

• #のんchan_マイク•ニコルズ

これは、多分一番アル・パチーノに溺れている時期に観たんで凄く良かったという偏った感想

しかし、メリル・ストリープやエマ・トンプソン等のスター達が、LGBT、そしてAIDSというテーマと向き合って作品の質を高めている秀作だ👍

バイプレーヤーたち…パトリック・ウィルソン、メアリー=ルイーズ・パーカー、ジェフリー・ライト、ジェームズ・クロムウェル、マイケル・ガンボン（ハリポタの校長先生）

352分（6章）

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