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十字軍
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『十字軍』に投稿された感想・評価

デミル監督のモノクロ期最後の史劇大作。脚本に「知られぬ人」(1927)「見世物」(1927)のウォルデマー・ヤング。

12世紀、仏・英・伊の3人の国王が連帯し、キリスト教聖地回復のためイスラム教国家となったエルサレムに軍事遠征した”第3回十字軍(諸王の十字軍)”がベース。獅子心王と呼ばれるイングランド王リチャードと小国ナバラの王女ベレンガリア(ロレッタ・ヤング)の愛の道程を軸に描く。

デミル監督の聖書三部作のエピローグ的な内容。美術・衣装は相変わらず絢爛豪華で、戦闘シーンの大迫力など映像・演出も進化していて楽しめた。聖書原作ではない分、堅苦しさがなくエンターテイメントとしては強いと思われるが、当時の興行は成功できなかった。その理由は本作が勧善懲悪の物語ではなく、当時としては意外な平和志向の結末を迎えることにあると思う。

主人公のリチャードは獅子心王と呼ばれるほどの武闘派で、女性や信仰には興味がなく部下の野郎どもから慕われている男。一方、ヒロインのベレンガリアは敵にさえ慈悲を示す人類愛に満ちた女性。最初、二人はお互いを知らぬまま政治結婚するのだが、式にリチャードは参列せず代理として自分の刀剣を部下に持っていかせる。ヒロインは刀剣と結婚式を挙げることになり強い拒否反応を示す(そりゃそうだろう)。

その後、遠征の間にお互いの内面を知っていき愛し合うようになるのだが、最終的にリチャードは獅子心王の誇りとベレンガリアへの愛を天秤にかけられるのだ。二人の愛の選択に世界の行く末がかかるという物語は”セカイ系”の嚆矢とも言え、リチャードの選択は現代的には賛同されるべきものだが、強者を好むアメリカ国民にとっては好ましくもなかったのかもしれない。

沢山の見所がある作品だが、特に印象深いのは十字軍の兵士たちが息を引き取る直前に十字架を見るシーン。 光に照らされて階段を這い上がっていく映像が美しい。しかしその十字架は画面に映し出されることは無い。映さないことで彼らの心の中の信仰心を映し出しているのだ。

忘れられつつあるデミル監督作品の中でも、さらに忘れられた傑作。

※エイゼンシュテイン監督の「イワン雷帝」(1944)が「スター・ウオーズ」の美術や戦闘シーンの手本になっていることは有名だが、本作にも影響を与えたと思われる映像が多々見られた。そもそも十字軍のテンプル騎士団などが「スターウォーズ」の元ネタの一つかもしれない。

※有名なロビンフッドは獅子心王が十字軍遠征中のイングランドの物語
5.0
キリスト教とイスラム教両方の聖地エルサレムが、イスラム王朝アイユーブ朝のサラディンの征服下にあり、キリスト教圏の英仏独露等ヨーロッパの王が軍を出し十字軍として奪還に向かった第3回目の話。英国王のリチャードが主人公で、その粗暴さから獅子王と呼ばれ、他国王が帰還する中最後までエルサレムで戦った君主。
道中で、軍の食糧と引き換えにナバラ王国の王女と婚姻、双方気性が合わなかったが、それぞれの信念と人格に惹かれるようになる。戦闘シーンが迫力ある一方で、それぞれの宗教観と文化が尊重されるシーンが印象的で、現代の問題に通ずる部分がある。
hasse
4.1
イスラーム勢力からこイェルサレム奪還を目的とした、第3回十字軍遠征の史実をもとにしたストーリー。

宗教がらみの史劇といえばのセシル・B・デミル監督。主演はロレッタ・ヤング。オスカーを獲った『ミネソタの娘』くらいしか聞いたことがなかった俳優だが、華奢で目が大きく、深みのある声の美人。

イングランド王ながら即位後6ヶ月しかイングランドにおらず、冒険と戦争に明け暮れた獅子王リチャード1世を主人公として物語は進む。ところどころ脚色や省略はありつつも、仏王フィリップ2世の姉アリスとの婚約を蹴ってナヴァール王国のベレンガリア姫と電撃結婚したり、フィリップ2世と仲違いして十字軍を指揮したり、敵将サラディンと互いの武勇を認めあったりという流れは史実に即している。ただしラストはイェルサレムを解放しているが、史実では奪還できなかった(はず)。

リチャード1世の人物造形がうまい。傍若無人で粗雑な性格だがどこか飄々としていて、王様のくせに鍛冶屋に行って自分で剣を鋳ようとしたり、馬の怪我を手当てをしたり、死にかけの部下を抱えて励ましたり、庶民くさくて男くさい。フィリップ2世や弟ジョン(後のリチャードの後継者)や側近コンラッドからは王としての素質を疑われ、ナメられてさえいるのだが、部下たちからのリスペクトは高い。野営地で王を囲んで部下らが歌をうたうシーンもいい。「男が惚れる男」という感じで、史実のリチャード1世もひょっとしたらこんな感じだったのでは、と思わされる。

ベレンガリア電撃結婚パートがめちゃくちゃ面白い。リチャード1世は最初、ナヴァール王から持ちかけられた結婚に乗り気じゃないので「コレ、俺の分身だから」といって結婚式に自分の剣を出席させる。神父は王様の言うことなんで、剣にも人格を認め、結婚は有効だと言い張って式を進める。ベレンガリアは剣と愛を誓い合うが、さすがにやりきれなくなってすべて投げ出してしまう。部下が持ち帰ったベレンガリアのドレスの布切れを、リチャード1世は「ちょうどよかった」と馬の怪我の手当てに使う。翌日2人は初めて対面し、リチャード1世はベレンガリアのあまりの美貌に一目惚れし、ベレンガリアは「コイツ嫌いだわー」と冷めた目付きで見下ろしているが、馬の手当てを見て「意外と優しい面もあるのね…」と早くもギャップ萌えに傾くのである。剣や布切れといった小道具の使い方が巧妙なシナリオだ。

西欧、中東でそれぞれ強大化したローマ=カトリック世界とイスラーム世界の衝突において、双方とも己の信仰と大義のために戦わんと張り切っているんだけれど、ベレンガリアが言うように、もとはといえば同じ1人の神を信じる者同士がいがみ合う悲劇である。もしくは、見方を変えれば滑稽な喜劇でもある。

終盤にいくにつれて、宗教と信仰の濃度が増していく。あの傍若無人なリチャード1世が囚われの妻の帰還を願い人生で初めて神に祈り、死にゆく十字軍戦士たちが天国への階段を昇る宗教画のようなビジョンが映し出される。
現代日本人にとって、縁遠いテーマで敬遠しがちかもしれないが、現代までつづくキリスト教国家VSイスラーム国家の構図には考えさせられるものがある。構図自体は喜劇かもしれないが、多くの人々が犠牲になっているという時点でやはり悲劇である。

どうでもいいが、鍛冶屋ヘラクレスの死をリチャード1世が看取り、十字軍の旗を顔にかけてあげるショットで、目を開いたまま死んだはずのヘラクレスが、旗をかけられたときパチパチッとまばたきしている。こればかりは役者は悪くない、不可抗力だ。引きのショットで撮ってあげないと役者がかわいそうだ(笑)

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