てくのすけ

フォックスキャッチャーのてくのすけのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.0
レスリング関連の実話という以外知らずに観たら最後ブッ飛んだ。今すぐ振り払いたい気持ちとヘヴィな余韻に浸りたい気持ちの板挟み。悲しみ怒り憎しみ寂しさ遣りきれなさ、様々な負の感情が喚起される。徹底して続く緊張感。これはドスンと来る。役者陣も素晴らしい。

これがあのチャニング・テイタムか?というくらい見事な演技。受け口気味な表情で愚直さを出しつつもイラつきながら一人もがく姿が痛々しい。マーク・ラファロが『はじまりのうた』とは全く異なる実直な人当たりの良さ。そしてひたすら気持ち悪いスティーヴ・カレルが凄い。

肥大化した自尊心、繰り返される妄言は滑稽を通り越して不快となり、やがて不気味さをまとう。極力排した音楽、常に薄曇りの天候もあって豪邸や広大な敷地とは裏腹にまとわりつく閉塞感。役者力の強さを保ちながら持続するサスペンスは観る者を絡め取って離さない。怖い。
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