1960年代ニューヨーク州ハンティントン、しんしんと雪が降るクリスマスの季節、「RUDY'S BUS AND TRACK」と名付けられた修理工場の前、8mmカメラはマンガーノ一家の幸せな光景を映し出す。娘のジョイ・マンガーノには母親違いの姉ペギーと親友のジャッキー、一匹の犬と祖母のミミがいる。小さい頃から物作りが得意だったジョイはレコードの針を興味深そうに見つめている。大きくなったら世界中の人々に素敵な物を作ると将来の夢を語るジョイの姿に、ペギーはどこか白けた様子で応える。「大人になったら王子様を見つける?」という姉の問いかけに対し、王子様はいらない。私には不思議なパワーがあるのと自信満々に答えた10数年後の現在、ジョイ・マンガーノ(ジェニファー・ローレンス)の幸せな家族の姿はどこにもない。母親テリー・マンガーノ(ヴァージニア・マドセン)と修理工場を切り盛りする父親ルディ・マンガーノ(ロバート・デ・ニーロ)の関係はとっくに壊れ、失意のどん底にある母親はベッドから動かず、1日中TVドラマばかり観ている。ジョイはジョン・F・ケネディ国際空港のグランド・スタッフとして働くが、日々の生活は少しも楽にならない。そんな折、父ルディが2年間の蜜月関係を築いた愛人に愛想尽かされ、家に戻る。家長だったルディのみっともない姿に母テリーは嘲笑の言葉を浴びせ、怒り心頭の父は花瓶を叩き割る。父親を落ち着かせたジョイは地下室に父を案内するが、そこには既に元夫でヒモのベネズエラ人であるトニー・ミラン(エドガー・ラミレス)が呑気にAntonio Carlos Jobimの『Águas De Março』を歌っている。