ヒトラー関連の映画はおびただしい数があり、ヒトラー暗殺計画を部分的に描いたものも多くあります。だもんでどの映画にどんなシーンがあったのか、脳内で正確に分類できていません。

そんな中、ヒトラー暗殺計画で強く印象に残るのは本作とトム・クルーズ主演作品『ワルキューレ』。
本作はややスケールの大きな再現ドラマという規模ですが、トム・クルーズ版よりもずっと没入できました。映画館で良好に鑑賞できたなら、さらに差がついたと思います。

なんといってもこちらはドイツ製作、ドイツ語をしゃべる純正ドイツ作品で主演もセバスチャン・コッホ。
ドイツ将校をまともに演じるなら、古くはクルト・ユルゲンスとハーディー・クリューガー。近年ですとセバスチャン・コッホかトーマス・クレッチマンですもんね。
個人的に一番好きなのは『Ｕボート』のユルゲン・プロフノウですが。

ヒトラーはドイツ人ではなくオーストリア人ですし、第一次大戦では伍長に過ぎませんでした。
いっぽう本作の原題にもなっているシュタウフェンベルク大佐は、ミドルネームに「フォン」が付くドイツ貴族。
シュタウヘンベルクさんからすれば、よそ者の平民であるヒトラーにドイツが破滅させられるのは耐え難かったことでしょう。

ヒトラーを主体的に描いた作品には傑作がなく、ブルーノ・ガンツが演じた『ヒトラー 最期の12日間』が比較的に上出来でした。

日本人にはあまり馴染みのない名ですが、ドイツではシュタウフェンベルク、フランスではカエサルと戦ったウェルキンゲトリクスが英雄として称えられているらしいですね。
ウェルキンゲトリクスに興味がおありの方はクリストファー・ランバート主演の『グレート・ウォーリアーズ』をご覧ください。

2011/8/19鑑賞
【『ワルキューレ』との比較】

トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』を見たときにこの映画（TVドラマシリーズとのこと）を知り、いつか見てみたいと思っていた作品。

この作品は、ドイツでは誰でも知っている英雄シュタウフェンベルクの話を描いています。ドイツでのTV放送ということもあり、ほぼ国内向けの内容のためか、ハリウッド版の『ワルキューレ』と比較すると、「ワルキューレ作戦」を詳しく知らない日本人にとっては若干説明不足な感が見えてしまいます。

ただ、やっぱりすべてドイツ人俳優がドイツ語で作られているので、リアル感はハリウッド版に比べると雲泥の差なのは確かでした。

以前『ワルキューレ』のレビューで「娯楽映画としてはどうなのか？」という内容を書きましたが、本作と比べると、あのハリウッド版はしっかり娯楽映画として成り立っていたようにも見えます。

本作『オペレーション・ワルキューレ』のリアル感は素晴らしいものの、緊迫感やサスペンスの演出では、ハリウッド版が一枚上手だったかもしれません。

おそらく、ハリウッド版のエンタメ要素と、本作の圧倒的なリアル感を両方併せ持つ映画だったなら、最高の歴史大作になっていたに違いありません。

https://youtu.be/QGk6O_gI5hA

• #ナチスの上層部が解放軍という名目で兵士たちを派遣し虐殺行ってるのは今のロシアと同じ。大きな流れに飲み込まれ洗脳される者もいれば指導者の悪に気づく者もいる。隻眼で右の手首と左手の指2本欠損でも軍人を続けるのが凄い。逆に言えばそんな身体になったからこそ実行犯になったんだろう。
• #同僚が自決を強いられるも死にきれず、介錯されないまま連行されるシーンは痛々しい…享年36歳の主人公をセバスチャン・コッホが演じると何か違和感が…同じ題材の「ワルキューレ」は当初はトム・クルーズでなくトーマス・クレッチマンを想定して作られたらしいのでその配役で観たかった。