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夢の島少女
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『夢の島少女』に投稿された感想・評価

菩薩
-
四季〜ユートピアノにそのまま引き継がれるモチーフも多々出て来るがより強烈なボーイミーツガールであり崇拝を通り越してもはや死姦にも近い圧倒的な危うさを感じる。澁澤龍彦のそれの様にも思えるフェティシズム、中尾幸世のただそれだけで強烈な視線、死と再生の象徴たる夢の島。自分で映画撮ってる人は観といた方がいいと思うけど、これを今やっても本当にやっすいエモにしかならない気がする…こんなの10代とかで観たら絶対に何かが歪む、怖っ…この人マジで何…。
TO
4.5
【ワンピースの少女】

川に倒れている少女 赤いワンピース 小鳥 何も覚えていないの 赤い車 駄目だぞ閉じ込めちゃ 白いワンピース 祖母のいる故郷 西洋の歌教えてあげようか もう嫌です もうお会いしたくありません これ弾いていい? パッヘルベルのカノン 怖いです 髪を梳かす 小夜子さようなら 八森駅 小指の傷 燃える家 松葉杖 夢の島 どうしたらいいの どうすればいいの 誰なの 紺のワンピース 帰ってきて 紅い花 白いワンピース 投げ縄 少女をおんぶ
NHKの伝説的なドラマ監督、佐々木昭一郎の「マザー」(1970)「さすらい」(1971)に次ぐ三作目。是枝裕和や岩井俊二に大きな影響を与えた一本。後に佐々木監督作品の常連となる中尾幸世(当時17歳)のデビュー作。原作は鈴木志郎康。

夢の島埋め立て地の岸辺。打ち上げられ意識不明の少女・サヨコ(中尾幸世)を工員の青年(横倉健児)が見つける。アパートに運び介抱するうちにサヨコは目覚めるが、やがて記憶の中に沈んでいく。彼女の故郷は秋田県の海辺の村だった。両親を海で亡くし独り東京に出てきたが・・・。傷ついた少女を気遣う青年。二人は別れ、彷徨い、そして再び夢の島で出会う。少女と青年の「生」と「性」をパッヘルベルの『カノン』にのせて幻想的に描く。。。

これだけセンチメンタルを究めた長編作品はちょっと他に思い当たらない。個人的には嫌いではないが、アートか独りよがりかで評価が分かれそう。70年代前半のロケーション、整備前の夢の島埋め立て地、ソフトビーニール人形工場、秋田・八森駅(五能線)周辺の海岸風景などは抜群に好みだった。

“オカッパ頭で浴衣を着たサヨコ”と言ったら、つげ義春の『紅い花』(1967)に他ならない。本作の青年も経血を流したサヨコを負ぶって歩き、さらに「眠れ」と語りかけるのだから同作をオマージュしているのは明らか。貧乏アパートに文鳥を飼っているのは『チーコ』(1966)を連想させる。

しかし『紅い花』のサヨコは小学生である。もし彼女が高校を卒業し現代(1970年当時)の東京に出て来たら・・・との幻想が佐々木監督と鈴木志郎康の起点にあったのではなかろうか。

冒頭に「ひとびとは遺失物を探していますー失くしてしまったいちばん大切なものを」と字幕表示される。本作は「青年が遺失した少女サヨコを探す」というプロットを辿るが、実のところ「男性性が結ばれることのなかった初恋の女性を追い求める」という幻想寓話に感じられた。

さらに言えば、佐々木監督が主演の中尾幸世に入れ込むあまり自身の“初恋の幻想”を投影しているようにさえ感じられた。その距離感が屈折したためか、劇中で青年とサヨコが心を通わせるシーンはすべて明らかな妄想として描かれ、二人が唯一会話を交わすホテルのシーンでサヨコは「みんな嘘よ、誰も信用しない」と青年を突き放す。“初恋の幻想”を一人の男性が独占することは許されない。

夢の島埋め立て地の大俯瞰から二人のFFにまで迫る奇跡的な空撮によって本作の謎が解き明かされる。一種の円環構造であり、サヨコの赤い服はあらかじめ失われた者だったことを示す。果たして原作通りだったのか。『紅い花』では語り部役がサヨコとマサジを見守ったが、本作の場合はサヨコの運命を改変したように思われた。

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