
聴こえる「わたし」が見つめる、聴こえない両親の世界 表情ゆたかたな手話が交差する、静かだけれどにぎやかな家族のものがたり サッカー選手を目指した青年が、ある日教会で出会った美人の娘にひとめぼれ。青年と娘はやがて夫婦になり、ふたりの子どもを授かりました。つつましく暮らすどこにでもある家族ですが、他とちょっと違うのは、夫婦は耳が聴こえず、その子どもたちは聴こえるということ。泣き声が聴こえず、片時も目を離せない育児は大変な苦労でした。子どもたちには、幼いころから手話通訳をさせたり、理不尽な差別に悩ませてしまいましたが、夫婦は子どもたちを明るく愛情いっぱいに育てました。 早く大人になろうとした自立心溢れる姉と弟のきょうだいは、20代になり、親から離れる時期を迎えています。外の世界を知ることで、音のない世界と音であふれる世界のはざまにいる自分たちを徐々に受け入れてきました。耳の聞こえない両親への心配は絶えませんが、自分の将来について、それどころではありません。 聴こえない人たちは、ときに手をたたく代わりに手のひらを高くあげてひらひらときらめかせます。それは、もうひとつの世界へといざなう音のない拍手なのです。







