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あしたはどっちだ、寺山修司

あしたはどっちだ、寺山修司の作品紹介

あしたはどっちだ、寺山修司のあらすじ

1975年、4月19日土曜日、事件は起きた。 突然、銭湯で劇が始まり、別の場所では、箱に閉じ込められた観客が遠く離れた港に放置された。300台のオートバイが杉並を突っ切り、車椅子に乗ったミイラ男が、大勢の観客を連れて団地のドアをノックして歩く。違法放送局が電波を流し、街頭では、通行人がマンホールに引きずりこまれた。 寺山は杉並区一帯を使い、30ヶ所で30時間にも及ぶ市街劇「ノック」を一切の許可をとらずにゲリラ的に行ったのだ。 この同時多発のゲリラともいうべき市街劇により、街が無法地帯になることを恐れた警察は厳戒態勢に入った。学生運動の盛んな時代、暴動に発展することを恐れていたのだ。 寺山が掲げたテーマは、「人々の閉ざされた心をノックし意識を変革する。」 平穏な日常に突然、劇が侵入し刺激を与えるという「フラッシュモブ」過激版とでもいうべきものだった。住民の苦情があいつぎパトカーが出動、警官隊は予定していた劇を次々と中止させた。劇団員は逮捕され、寺山も警察に出頭した。 しかし寺山は警察の出動や批判するマスコミさえも市街劇の一部だと考えていた。寺山は、アナーキストを自負し、それ以前にも学生運動のセクトにゲリラのアイデアを提供したとして取り調べも受けていた。国家権力に立ち向かう寺山のエネルギーの原点はなにか? 寺山の過去を取材し、数々の証言を得るうちに、 演劇による革命を標榜した寺山が、最後に計画した幻の市街劇の存在が明らかになる。実験段階の記録映像によると、 それは国家権力へのリターンマッチとも思える過激なものだった。 寺山は、人生の最後にどんな過激な劇をたくらんだのか? 「幻の市街劇」を通して、 寺山修司の最後のメッセージに迫る。

あしたはどっちだ、寺山修司の監督

相原英雄

原題
製作年
2017年
製作国
日本
上映時間
100分

『あしたはどっちだ、寺山修司』に投稿された感想・評価

4.0
異端のマルチメディアクリエイターとしてその名を馳せた、寺山修司氏のドキュメンタリー作品。

自分と寺山氏との出会いは「競馬」を通じて。自分が競馬をはじめた頃には、寺山氏はもうこの世にはおらず、関連書物を読み漁ったのが今では非常に良い思い出となっている。それもあり熱狂的な寺山信者としてはありがたい作品である。

その後も小説などは沢山読ませて頂いたが、本作で触れられている、市街劇や舞台などをリアルタイムで体験出来てない身としては非常に興味深い内容だった。

それ以外にも、寺山氏のパーソナルな部分も浮き彫りにされており、感慨深く観させて頂けた。

「アナーキーだけど、孤独な異端児」そんなフレーズがしっくりくる。

「帰る場所」に導かれるラストも秀逸だった。

PS: 内容的には自主制作感満載の作品ですので、寺山氏のファンとしてのスコアとレビューとなりますのであしからず。
唯一の長編小説である「あゝ、荒野」の映像化作品が先ごろ公開されたばかりの寺山修司の謎に満ちた人生を追ったドキュメンタリー。作品前半で主に描かれるのは、1975年4月にゲリラ的に上演された市街劇「ノック」の顛末。東京の杉並区一帯を劇場に見立て、30か所30時間に及ぶ市街劇がどのように行われ、警察まで出動したこのハプ二ング満載の劇がどのように幕を下ろしたのかを、当時の多数の関係者にあたり明らかにしている。劇の終盤、この市街劇を権力への抗議集会に切り替えようと主張する寺山と、このまま最後まで上演を完遂しようとする劇団員の間で意見の相違が生まれていたという事実まで描かれている。

寺山修司が生前に主宰する劇団「天井桟敷」で上演した市街劇は、野外劇や街頭劇を含めても数えるほどしかないが、1983年47歳で早逝したこの「言葉の錬金術師」は、最後にどうしてももう一度「市街劇」を上演したかったと漏らしていたという。寺山の故郷である青森で、この幻の市街劇の行方を追いながら、彼の虚実入り混じった人生にもスポットを当てる。寺山が自らの人生についてフィクション化していたことは、多くの彼の人生を扱った著作でも明らかにされていることだが、この作品でも多くのかつての寺山を知る関係者の証言で、その実像に迫っている。すべてカメラの前での証言だけに、なかなか興味深いものがある。

監督の相原英雄は、映像業界に足を踏み入れた若い頃から寺山修司を追いかけており、このドキュメンタリーも彼の私的興味から出発し、関係者が次々とこの世を去っていく状況も考え、当初は個人製作としてプロジェクトはスタートしたという。それだけに足で稼いだ数々の証言は貴重なものとなっており、「ノック」を主導した幻一馬の正体など自分としては初めて知る事実も多い。

寺山修司に興味を持つ人間にはもちろんのこと、彼を知らずとも、寺山修司が意図した演劇による変革とはどんなものだったのか、ひとつの象徴的時代を描いたドキュメンタリーとしても、観る価値は充分にある。タイトルが意味するところは、いまひとつピンとこないが、ただの人物伝ではない、いつの時代であっても刺激を与え続けるであろう普遍的な精神を描いた作品であることだけは書き留めておこう。
この作品に出演していた元天井桟敷劇団員の方が偶々映画館の同じ列で鑑賞していたのだが、その方に上映後声をかけていただき、喫茶店で少しお話しした。実際に寺山の側で当時を過ごしていた団員しか知らないエピソードなどを色々伺うことができた物凄い貴重な時間だった。寺山はもちろんJ・Aシーザーや新高恵子、唐十郎などとも交流があり、新宿文化劇場や風月堂に実際出入りしていた方とこんな風にお話できるなんて…。
寺山は、市街も劇場になりえ観客もまた役者になり得ると言っていたが、映画館という場もただ座って映像を眺めるだけでは無い、予想外の出来事を引き起こす劇的中継地となり得るのだと実感した。

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