
アジア・太平洋戦争中、日本の委任統治下にあったマーシャル諸島では、約2万人の日本兵が命を落とした。その一人、佐藤冨五郎さんは飢えで亡くなった。亡くなる数時間前まで書き続けていた日記は戦後、戦友によって家族のもとに届けられた。日本から遠く離れた太平洋の島での最後の日々が、克明に綴られている。 2歳で父と別れ、74歳になった息子の勉さんは、日記を手がかりに父の最期の地をめぐる旅に出る。マーシャル諸島に住んだことがある若者たちが案内役となった。 道中目に飛び込んでくるのは、旧日本軍が遺した建物を使った家、 錆びついた砲台で遊ぶ子供たち、地中に埋まった電線を掘り出して作った手工芸品、日本語の恋の歌を歌う人びと…マーシャルの暮らしのいたるところに、戦争の記憶が顔を覗かせていた。 ひとりの日本兵の魂を追いかけつつ、不意にマーシャルの人々の「記憶」に触れ、慌てる。 これは、ただの慰霊の旅なのか?美しい海と陽気なウクレレが心にざわめくドキュメンタリー。




(c)春眠舎